2024年05月02日( 木 )

大谷翔平鮮烈デビュー、ベーブ・ルース以来の二刀流メジャーリーガーに

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 投げれば三振、打てばホームラン。子どもの頃からエースで4番……。
 まるでマンガのような、というとマンガ家から怒られるだろう。プロ入り前、野球通が「現実的じゃない」と評していた大谷翔平の投手・打者の「二刀流」。日本プロ野球の成績は、5シーズン通算で投手として42勝15敗1S防御率2.52、打者として打率.286、本塁打48本。2015年には最多勝・最優秀防御率・最高勝率(15勝5敗、防御率2.24)、16年には打率.322、本塁打22本を記録して最優秀選手、史上初の投手・野手同時ベストナイン受賞を成し遂げた。

 これまで日本プロ野球界は、さまざまな名選手を輩出してきたが、大谷のような選手はハッキリ言って異次元の存在。「打撃のよい投手」といえば桑田真澄(元巨人ほか。通算打率.216は歴代最高)、金田正一(元国鉄、巨人。通算本塁打38本は歴代最多)などの名前が挙がるが、当然ながらこれら投手の「歴代最高」記録は大谷の前では意味をなさない。投手と野手の兼任というと、近年では阪神の遠山奬志・葛西稔両投手が一塁手との兼任で交互に登板した例もあったが、これはあくまで特殊な継投パターンであり、大谷のケースとはまったく異なる。
 そもそも近年、プロ野球の戦術はいかにスペシャリストの選手を育成し、その選手たちの個性を生かした采配で勝利を得るか(中継ぎ・ワンポイント・抑えの分業化、守備固め・代走・バント専門代打など)がトレンドになっている。大谷の「投げてはエース、打ってはクリーンアップ」というプレーは、この潮流とは完全に逆行することになる。

 このように日本プロ野球の常識を完膚なきまでに破壊した大谷が、次にチャレンジしたのはメジャーリーグ。さまざまなチームからのオファーを受けた大谷が選んだのは、西海岸に本拠地を置くロサンゼルス・エンゼルスだ。当然メジャー挑戦に際しても「投手か打者か」論争はあったものの、大谷は日本と同じく自らのプレーで、この論争にケリをつけてみせた。
 3月30日、開幕戦に8番・指名打者で出場した大谷。第1打席初球、インコース低めのストレートを振りぬくと鋭い打球はライト前へ。いきなりメジャー初打席・初安打をマーク。打者として、まずは及第点といえるスタートとなった。
 そして4月2日。第3戦の先発投手として登板した大谷は、160km超えの速球を連発(平均球速は157km以上とか)。さらに切れ味鋭いスライダー、高速で落ちるスプリットで6つの三振を奪った。投手としては間違いなくメジャーで一線級の実力をもつことは、だれの目にも明らかになった。

 今後エンゼルス首脳陣が、「打者・大谷」にどれだけのチャンスを与えるかはわからないが、投手としての先発ローテーション入りはほぼ確実。これ以上ないスタートを切った二刀流・大谷翔平のメジャー挑戦。日本の野球ファンとしては、「2ケタ勝利・2ケタ本塁打」を期待したいところだ、

【深水 央】

 

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