2024年04月20日( 土 )

礒山福岡商工会議所の会頭が任期途中で退任~その舞台裏を検証する

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 コダマの核心レポート【提言】礒山誠二福岡商工会議所会頭、今こそ胆力を如何なく発揮してください(無知な記者)
 ここから見えるそれぞれの思惑の違いを検証してみることにしたい。

鶴の一声で決まった礒山誠二氏の会頭就任

 2015年、福岡商工会議所は、体調不良のため任期途中で辞任したコカ・コーラウエスト会長の末吉紀雄会頭の後任に、5人いる副会頭の中から西日本シティ銀行副頭取の礒山誠二氏を押す動きが出てきた。

 礒山氏本人は次期会頭候補の話が持ち上がった際に眠れない状態が続いた。「副会頭で一番の新参者が会頭を受けていいのだろうか?」と悶々した心境に陥った。また「我が銀行には上司として偉大な会長・頭取が存在している。下っ端の自分が会頭を引き受ける資格はないのではないか」と苦悶していた状況を目撃したという関係者もいる。その礒山新会頭候補の揺れ動く心を前に押し出したのは久保田勇夫会長の一言だったようだ。
 「礒山副頭取、気にするな!!福岡商工会議所会頭に就任できることは銀行にとって名誉なことだ。しっかり大役をこなしなさい」という祝辞をくれたとか。ここで礒山氏は迷いを一掃させて会長職を引き受ける決断をしたようだ。

2015年9月3日 NetIB-News
礒山福岡商工会議所会頭誕生の裏に西シ銀・久保田会長の度量」(一部抜粋)

 礒山氏の会頭就任応諾の意向を受けて福岡商工会議所は2015年9月18日、臨時議員総会を開き、末吉紀雄会頭の後任に、西日本シティ銀行副頭取の礒山誠二副会頭を選任した。

それぞれの思惑の違い検証する

<久保田勇夫会長>
◆礒山副頭取の福岡商工会議所会頭の任期は末吉氏の残任期間の2017年11月まで。西日本シティ銀行の役員をもう1期再任すれば任期は2018年6月。病で倒れた末吉前会頭の任期をやむを得ず引き受けたものであり、会頭は引き受けた1期限りで十分だ。もし再任されるようなことになれば任期は3年であり、2020年まで副頭取を続けさせることになる。そうすれば西日本FG及び西日本銀行の役員人事が停滞する。やはり2018年には退任してもらおう。

<礒山誠二副頭取>
◆久保田会長が福岡商工会議所会頭就任を認めてくれたおかげで、来年も再任され2018年6月まで役員でいることが確約された。もし、もう一期3年、福岡商工会議所の会頭に再選されるようであれば、2020年11月まで西日本シティ銀行の副頭取、うまくいけば別枠で、代表取締役副会長でいられるかもしれない。会頭を引き受けて良かった。

<福岡商工会議所及び会員>
◆福岡商工会議所は礒山会頭の人事権を誰が持っているかは知らないため、昨年11月8日の臨時議員総会で、熊本地震や九州北部豪雨で復興対応にあたった実績などを評価し、礒山誠二・西日本シティ銀行副頭取の会頭再選が決まった。喜んだのは礒山氏だったのではないだろうか。

礒山会頭退任の雰囲気づくり台頭

◆しかし2期目がスタートして5カ月を過ぎた4月25日、一部地方紙で福岡商工会議所の礒山誠二会頭が2018年6月で西日本FH及び西日本シティ銀行を退任すると報じた。コダマの核心レポートから誰がリークしたかは推測されるだろう。
・西日本シティ銀行は下図の通り、責任者の名もなく、力なくその報道を否定するニュースリリースを掲載していた。

◆しかし5月10日、西日本FHは副社長の礒山誠二氏(福岡商工会議所会頭)が6月の任期満了にともない退任し、九州リースサービスの会長に就任すると発表した。これにともない、福岡商工会議所の会頭も、礒山氏から九電工会長の藤永憲一氏に交代する見通しと報道されたのだ。

むすび

 筆者著の「実録頭取交替」(講談社)。維新銀行では人事権のある代表取締谷野銀次郎頭取を多数決で更迭し、古谷政治を頭取に引き上げたのは過半数の取締役を支配下に置いていた陰の実力者である甲羅万蔵相談役だった。舞台となった山口銀行では毎日出勤していた田中相談役が昨年暮れに特別社友となり、出勤はしなくなったと聞く。

 話を元に戻そう。久保田会長は自分の思惑通りにいかなかったために、礒山代表取締役副頭取を当初の予定通り退任させたのだ。「維維銀行」とは違い、人事権は正当な権力者である久保田会長にあり、三者三様だった思惑のひずみを一気に解消したことになる。

 しかし礒山福岡商工会議所会頭退任の後遺症は、今後大きく西日本シティ銀行に跳ね返ってくることになるのではないだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

 

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