2024年04月26日( 金 )

【続報】不動産取引トラブルの女性が転落死~紹介者は元住人?

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悲劇を招いた二重取引

 今年3月、福岡市博多区美野島で、不動産取引のトラブルに巻き込まれていた50代の女性が、自宅マンションから転落して亡くなった。この女性に17年6月、不動産取引をもちかけたのは、自称リフォーム業者「R studio」の代表・小田勝治氏。

 小田氏は、データ・マックスの質問に対し、この女性の死を「自殺」とし、同女性を含む複数の人物に同じ物件(マンションの一室)の取引をもちかけたことを認めた。また、取引のトラブルは「終わっている」と話しており、預かった手付金などはすべて返したと主張している。

 しかし、16年10月27日付で同物件の売買契約を結んだ買主の1人は、「最近まで物件の引き渡しを待っていた」とし、小田氏に渡した手付金50万円が返金されていないと主張する。また、16年11月から12月にかけて、小田氏から不動産投資話をもちかけられ、合計5,500万円を小田氏に融資したが返済期日が過ぎても返済されていないという人物の存在も明らかになった。

 女性は17年6月8日付で不動産売買契約書にサインをし、手付金として立会人になった小田氏に180万円を渡した。このほかにも、複数の案件で小田氏に2千万円以上を渡したと話していたという。女性が、自宅マンションから転落したのは、自身が売買契約を結んだマンションに、ほかの買主がいる事実を知った数日後であった。

 さらに関係者の証言から、小田氏自身が、トラブルになった不動産物件の住人であったことも判明した。近隣住民からは問題の物件周辺で小田氏の目撃情報も得られており、マンション管理組合によると、同物件の居住届は今年3月まで小田氏のままで変更がされていなかったという。

 所有者から頼まれ、同物件の売買をもちかけたと説明していた小田氏だが、実際に同物件の売買契約を結んだ買主の1人は、小田氏が居住していたことについて「(小田氏から)そのマンションの部屋に小田氏が住んでいたという話は一切聞いていない。ただ、賃借人がいるので家賃収入の心配はないと話していた」という。

物件情報のビラでトラブルに

 近隣住民によると、問題の物件を格安で販売すると案内したビラが、マンションの各郵便受けにポスティングされたことがあったという。同物件に関しては、小田氏が、データ・マックスが売買契約書を確認した2人以外の人物にも取引をもちかけていた可能性がある。

 データ・マックスの調査に対し、小田氏は「この数年のなかで数名の方にお声がけをしています」と説明。同物件の登記上の所有者は、13年3月14日から変わっておらず、少なくとも小田氏が関わった同物件の取引は成立していないことは事実といえる。

 不動産業の免許を有していない小田氏だが、不動産投資話の提案については積極的な活動を行っていたようだ。ほかでも、小田氏は自身が居住していたマンションで、不動産取引をもちかけるビラをばらまいていた。

 実際に昨年5月下旬ごろに小田氏がまいたビラを特別取材班が入手した(画像)。「新着物件情報!」と題打ったビラには、マンション名や値段、間取り・広さの記入があるが、部屋番号は記されていない。このビラがまかれたマンションの区分所有者によると、「ビラは、ポストや車のフロントガラスに貼られ、迷惑に感じた住民が警察を呼ぶなどの騒ぎになった。また、相場よりも破格の安値が提示されていたため、実際に売りに出していた区分所有者からは『建物の価値が下がる』という苦情が出た」という。

 自ら、不動産業の免許を有していないと取材班に語った小田氏。自分の不動産ビジネスに関する同氏の説明を要約すると、トラブルが多い分、見返りが大きい「ハイリスク、ハイリターン」の案件と言いたいようだ。契約を結んだ物件の引き渡しが遅れることも「リスク」と言いたいのだろうが、なかには、「所有者が大安の日でないと決済をしない」との理由から物件の引き渡しが1年以上も行われていないという信じ難い話もある。

 小田氏の“ビジネス”は、いろいろな意味で相当のリスクを覚悟する必要がありそうだ。

【特別取材班】

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