2022年05月25日( 水 )
by データ・マックス

ロボット活用の最前線(後)

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 このように各分野にロボットが浸透しつつあるが、産業規模はどのようになっているのだろうか。米国の市場調査会社によると、世界のロボット産業の市場規模は、2016年が310億ドルで、2022年には、その約8倍の2,370億ドルになると予測されている。別の市場調査会社のIDCでは、ロボットの世界市場規模は2020年で1,880億ドルんなると予測している。技術の発達次第で、市場規模は大きくなることも縮小されることもあるようだ。日本は世界一のロボット大国で、2013年を基準に31万台以上のロボットが使われているとのことだ。2位のアメリカは16.8万台で、日本とは大きな開きがある。

 ロボットは半世紀前から産業現場に活用されてきた。人間のように疲れることもないし、同じような作業を繰り返しても文句をいわない。また人間と違い、集中力が落ちてミスが発生することもないので、産業現場で重宝されてきた。自動車業界などでは、ロボットによる生産現場は常識化している。世界最大手のインターネットモール運営会社のアマゾンが物流倉庫を自動化することにより、競争力を確保しているという話は有名である。
 中国アリババの子会社は新しい物流倉庫に200台のロボットを導入し、24時間稼動を実現することによって、年間100万個以上の貨物をさばくことができるようになったという。中国の統計局は、中国では昨年13万台以上のロボットが販売されたと発表した。

 韓国では最近、医療分野へのロボットの活用が増えている。IBMのワトソンの導入を始め、子宮、卵巣のように精緻さが要求される産婦人科手術にロボットを活用した手術が導入されている。
 ロボット手術とは、医者がコンソールに座って、3次元映像を見ながら、ロボットの腕、カメラなどを操り、狭くて深い部位の手術を行うことをいう。サムスン病院のロボット手術の広告に「人間の医者より手術能力が14%高い」ことを謳っている。日本でも介護ロボットを2025年までに940万台まで普及させるという目標を政府は立てている。
 しかし、ロボットがいろいろな分野に浸透しつつあることに対して、賛否両論がある。ロボットはあくまでも人間の仕事を補助し、生産性の向上に寄与するだろうというロボット賛成論者と、ロボットが人間の仕事を奪っていくというロボット脅威論者がいるのだ。
 アマゾンは最近5年間、物流倉庫に13万台以上のロボットを導入した一方、その代わりに社員にロボット管理者としての再教育を実施した。これによって、むしろ雇用は35万名増えたと発表した。
 アマゾンの副社長はロボットが雇用を脅かすということは神話に過ぎないと断言した。またコンサルティング会社で有名なマッケンゼーは米国の800の職業と2,000種類の業務を分析した結果、自動化によってロボットが完全に代替できる仕事はわずか5%に過ぎないと明言した。
 一方、国際ロボット連盟(IFR)の統計によると、世界の産業用ロボットはこの10年間で72%増加した反面、アメリカ製造業の仕事は16%減少したという。ロボットと人間の共存は今後、模索されるべき課題だろう。いずれにしても、日常生活でロボットが活躍する場が増えていくのは間違いない。ロボットによる生活革命は今後も続きそうだ。

(了)

 
(前)

関連記事