2024年04月25日( 木 )

利益額グループナンバーワンへ、金融と不動産で強い事業力を構築

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(株)第一ゼネラルサービス

 第一交通産業(株)の完全子会社・(株)第一ゼネラルサービスと、その完全子会社である(株)エフ・アール・イー。不動産担保融資と不動産再生を主に手がける両社の業績は、右肩上がりで推移している。とくに利益額の推移は目を見張るものがあり、グループ全体に占める割合も伸ばすなど大きく存在感を増している。

2016年7月、第一交通が完全子会社化

 グループの金融事業を担う(株)第一ゼネラルサービスは、第一交通産業が発行済株式数の69.93%を占める子会社だったが、2016年7月に簡易株式交換により第一交通産業の完全子会社となった。合わせて第一ゼネラルサービスの完全子会社である不動産再生事業を担う(株)エフ・アール・イーは孫会社となった。

 完全子会社化の目的としては、「不動産関連に特化した金融事業をグループの成長事業と位置付け、機動的な意思決定および事業展開を加速し、一層の企業価値向上を実現するため」(第一交通産業)を挙げていた。不動産情報のさらなる共有化など親子会社間の連携を強化し、これまで独自路線で高収益体質を構築してきた金融事業をより強化するため取り込んだかたちだ。

 第一ゼネラルサービスは1975年の設立当初、不動産仲介業をメインに行っていたが、後に貸金業へシフト。地場のマンションデベロッパーを主要顧客とした不動産担保融資を主軸に、事業を拡大していった。銀行と比較して書類作成が比較的簡素で済むノンバンクが、融資において有利な面は少なくはない。ノンバンクで調達し着工にこぎつけたところで銀行融資に借り換えるといった手法で用地取得に至るケースは、マンションデベロッパーとの取引では一般的となっている。

 リーマン・ショック時など、銀行が融資引き締めを行うときには中小企業の融資元として収益を伸ばし、不動産市場が活況で銀行融資が付きやすい場合にも、前述のように短期の融資では銀行に勝る魅力もある。

事業領域拡大し、融資から不動産再生へ

 さらに近年では、第一ゼネラルサービスの子会社であるエフ・アール・イーとの連携で、不動産再生事業を伸ばしている。融資先からの情報を基にした不動産売買や関東・関西での仕入販売も増加傾向で推移。第一ゼネラルサービス=融資、エフ・アール・イー=不動産再生事業の2本柱となって以降の同社の収益性はぐんぐん伸びている。

 また、マンションデベロッパーとの取引は融資だけではない。共同事業も数多く行われている。単に資金を融通するだけではなく、エフ・アール・イーが事業主となってデベロッパーと共同で投資マンションを開発する。完成後、一定の期間を経てデベロッパーが買い取るという流れ。これにより、デベロッパーは販売期間を短縮すれば金利負担が軽く済むメリットがあるだけでなく、事業のスピードアップを図ることができる。

融資事業も再び拡大基調へ

 「銀行に比べ金利で競争力が劣るため、銀行の融資攻勢が強まっていくにつれ、取引先、取引金額ともに減少傾向で推移してきました。リーマン・ショック後の最盛期から比較すると、取引社数は半分以下に落ち込みました。ただ、最近ではマンションデベロッパー、宅地造成業者などを中心に再び顧客数が戻りつつあります。銀行融資が不動産から若干距離を置き始めたからでしょう」(吉田社長)と話すように、銀行が融資引き締めを行うときには中小企業の融資元として収益を伸ばし、不動産市場が活況で銀行融資が付きやすい場合にも短期の融資では銀行にも劣らない魅力がある。時代の波により、銀行の融資姿勢に変化が見られ始めたこれからは、再び注目を集めることになりそうだ。

収益力強化でグループトップの採算性へ

 「利益額グループナンバーワン」を目標に据える第一ゼネラルサービスの利益額は、右肩上がりで推移している。18年3月期(連結)は前期比で大きく減収となったにも関わらず、経常利益は11億7,782万円と前期比4,760万円増加(4.21%増)。6期連続で最高益更新をはたした。さらに、第一交通産業グループの連結経常利益額に占める第一ゼネラルサービスの利益額の割合も2期連続で増加。18年3月期は17.52%を占めるまでに存在感を増している。

 12年3月期に8,305万円だった最終利益は、18年3月期には7億3,140万円にまで増加。利益額の増加にともない、12年3月期は40億円だった純資産額も、18年3月期には75億円にまで着実に積み上げてきた。同社の販売用不動産の仕入れは最大で純資産額までに留めているが、取り扱う不動産の規模も拡大傾向にある。融資・不動産の両輪で市況の浮き沈みに関わらず業績を伸ばしてきた第一ゼネラルサービスは、少数精鋭ながら、すでに第一交通産業グループに欠かせない存在となった。

【永上 隼人】

<COMPANY INFORMATION>
(株)第一ゼネラルサービス
代 表:吉田 邦宏
所在地:福岡市博多区東比恵2-17-15
設 立:1975年4月
資本金:5億8,595万円
TEL: 092-475-1040

 

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