2024年05月08日( 水 )

世界に広がる日本食ブームと健康長寿への処方箋(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年7月20日付の記事を紹介する。


 近年、有機農産物への消費者の関心が高まっている。これは安全、安心を求める消費者の自然な流れであろう。農薬も化学肥料も一切使わない農業のことである。確かに、安全であろうが、気になるのは病気や害虫の影響は受けないのだろうか、という点である。実際に有機農業を行っている稲作農家の実態を調べてみると、技術の向上のおかげもあり、10アールあたり500㎏程度の収穫が上がっており、従来型の農家の実績とほとんど遜色がない。中には従来型農業をはるかに上回る収量を生み出している農家もある。

 しかも、有機は付加価値が高く、消費者もそれなりの値段を受け入れるため、利益率は極めて高くなる。農薬や化学肥料のコストも要らない。また、生産者である農家にとっては農薬のもたらす害から自ら解放されるわけで、歓迎されることになる。

 有機農産物の生産はアメリカでも普及が見られるが、より消費者受けがいいのはヨーロッパにおいてである。遺伝子組み換え食材に対する表示方法もヨーロッパはアメリカよりはるかに厳格な制度設計となっている。その対極にあるのが、自然に任せた有機農産物である。とはいえ、世界的に見て、有機農産物の生産量はまだまだ限定的に止まっている。となると、日本農業はその分野で世界の先頭を走る可能性がある。
 海外から日本を訪れる観光客は年々うなぎ登りで増えている。2017年には2,000万人を軽く突破。そこで日本政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの年には4,000万人の受け入れを目標に掲げている。このままいけば、この目標は達成できそうだ。

 そこで注目すべきは、こうした海外からの来訪者にとって何が日本の魅力かという点である。2017年に観光庁が実施した調査によれば、第1位は「日本食」(68%)で、第2位は「買い物」(53%)であった。それだけ、日本食に対する関心が高いのである。見た目も美しく、旬の食材を生かした健康にプラスというイメージが定着しているわけだ。

 もちろん、海外でも日本食のレストランの数は増加の一途である。2006年には3万軒であったが、2017年には12万軒に増えている。日本のお米の輸出も拡大している。2017年には数量、金額とも過去最高を記録した。1万2000tが輸出され、その代金は32億円に達した。しかし、まだまだ拡大の余地はありそうだ。

 日本農業は輸出に関しては後発組。お米はもちろん国産和牛への関心も需要も高まる一方である。残念ながら、海外における日本食への関心の高まりを日本の農家は十分活かしていない。日本では国内産のお米の数量は750万トン。そのうち、海外に輸出されているのは1%にも満たないからだ。

※続きは7月20日のメルマガ版「世界に広がる日本食ブームと健康長寿への処方箋(後編)」で。


著者:浜田和幸
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