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2018年08月14日 07:03

今注目したいガイドライン 食品安全の見える化~HACCPで企業力を強化へ(前)

エッセンシャルワークス 永山 真理 代表

 今、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)が各食品業界で注目されている。衛生管理のガイドラインとして米国で開発され、日本でも多くの企業が導入されているものの、世界的に見れば大きく後れを取っており、今回の食品衛生法の改正によるHACCPの制度化により、その対応が急がれている。HACCPの導入・運用支援コンサルタントとして、各種食品工場などで支援を手がけてきたエッセンシャルワークスの永山真理氏に話を聞いた。

認証取得の義務化ではなく、制度化による導入推進

 ――HACCP導入の現状について教えてください。

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 永山 HACCPは、食品安全を担保するうえで重要な衛生管理のガイドラインとして米国で開発され、現在、国際標準的管理手法として採用されています。

 今回の食品衛生法による制度化を危惧されている企業も多いと思いますが、認証を取得しなければならないことを強制しているわけではなく、あくまでも制度化によるHACCP導入の推進です。弾力的なもので、従来一律で「こうしなければならない」ではなく、各事業者が現場に応じて合理的かつ、有効性のある取り組みを策定し、実行することができる仕組みになっています。

 ――近年、注目されている理由についてはどう思われますか。

 永山 海外ではすでに米国、EUでは義務化、そのほか水産加工品、乳製品等に義務化としている国が多くあります。衛生管理について、進んでいるように感じる日本ではありますが、世界に目を向けてみると、グローバルスタンダードからは大きく後れを取っているのが現状です。

 HACCPを取り組む以前に、まず基本的に食品製造にまつわる法律を知って理解して運用することが前提です。食品衛生法、食品表示法のほか、業種ごとに定められた法律やガイドライン、景品表示法や計量法といったものまで、各業種によってさまざまです。いわゆるコンプライアンスには法律や条例などだけではなく、クライアントからの仕様についての要求や会社のルールといったことも含んで考える必要があります。

 ――各種業界の関心度はいかがでしょうか。

 永山 食品のみならず、近年は日本企業による品質問題・不正の隠蔽行為などが大きなニュースとなっています。その業界を食品業界に置き換えて考えてみると、「食」は人の命をつくるものであり、また、食中毒やアレルギーなどで直接、命を落とすこともあります。フードチェーンのうちどのような形態であれ、食を取り扱う事業者はこのことを理解しておく必要があります。HACCPは衛生管理の取り組みのなかで、食中毒事故などを起こす原因となるものを許容値まで減らすことができる仕組みということは知っておいたほうが良いでしょう。

 ――制度化に向けた国(厚労省)の動きについて。

 永山 わざわざHACCPを制度化してまで取り組まなければならないのか、それは昨今の情勢を知ることで制度化の背景を理解することができるかもしれません。今回の制度化の背景には、(1)中食、外食の重要の増加、(2)広域的な食中毒の発生、(3)輸入食品への依存、(4)健康食品に起因する健康危害の問題、(5)東京オリンピックを見据えての対応などとしています。

 ――さまざまな事象が重なり、国として動かざるを得ない、という判断になったのでしょうか。

 永山 15年ぶりとなる今回の食品衛生法の改正について、6月7日に衆議院本会議にて全会一致で可決されました。これにより、国内すべての食品等事業者に対して、HACCPに基づく衛生管理、またHACCPの考えを取り入れた衛生管理の導入が求められることになります。

 今まで、セミナーなどでは食品衛生法改正案の概要ということで知らされてきましたが、やはり気になるのはその具体的な内容です。しかし、現状決まっているのは大きな柱であり、具体的な内容については、これからというところでしばらく私たちはやきもきしながら今後を見守ることとなります。
今回の改正案の概要としては、(1)広域的な食中毒事案への対策強化、(2)HACCPに沿った衛生管理の制度化、(3)特別の注意を必要とする成分などを含む食品による健康被害情報の収集、(4)国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備、(5)営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設、(6)食品リコール情報の報告制度の創設などとなっています。経過措置期間は2年とのことですが、昨年関東圏で発生した広域食中毒事故(行政区域を越えて発生)もあり、広域的な食中毒事案への対策強化については1年以内に、と優先順位をつけながら段階的に行われていくようです。

 しかし「HACCP制度化」という大きな柱がぶれることはありませんので、これからその概要に従い、事業者は衛生管理の仕組みについて順次見直しをしていくことになります。

(つづく)

<プロフィール>
エッセンシャルワークス 永山 真理 代表

福岡県大牟田市出身。2012年、自然食品店長時代にメーカーと消費者との「食品安全」の認識のずれを感じ、双方がWin-Winとなる方法はないかと考えていた時にHACCPと出会う。その後、HACCP導入、運用支援コンサルタントとしてさまざまな業種の食品工場へのHACCP導入に携わる。ISO22000審査員補(IRCA登録)、JFS-A/B規格監査員、国際HACCP同盟登録 HACCPリードインストラクター。

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