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2018年08月15日 07:01

今注目したいガイドライン 食品安全の見える化~HACCPで企業力を強化へ(中)

エッセンシャルワークス 永山 真理 代表

 今、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)が各食品業界で注目されている。衛生管理のガイドラインとして米国で開発され、日本でも多くの企業が導入されているものの、世界的に見れば大きく後れを取っており、今回の食品衛生法の改正によるHACCPの制度化により、その対応が急がれている。HACCPの導入・運用支援コンサルタントとして、各種食品工場などで支援を手がけてきたエッセンシャルワークスの永山真理氏に話を聞いた。

制度化と認証の違い

 ――九州では何か動きが出ていますか。

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 永山 福岡県内(福岡市、北九州市、久留米市、大牟田市を除く)では、食品営業更新許可の査定の見直しが行われ、従来の評価法である施設の優良性12項目(5~8年の許可年数)に加え、今回の制度化にあたる衛生管理の優良性8項目についても評価し、許可年数最長10年となるよう見直しをされるとのことで、HACCPの考え方に基づく衛生管理を後押ししているともいえます。今回の法改正のなかには、営業許可制度の見直しが含まれているので、このようなかたちで事業者へのメリットも生まれてくると考えています。

 ――先程も触れましたが、今回のHACCP制度化を「認証取得が義務化になる」と勘違いされている方が多いそうですね。

 永山 私の方にも「いつまでにHACCPを取らないといけませんか?」というご質問をいただきますが、これは完全に誤解です。そもそもHACCPとは衛生管理のガイドラインであり、認証の規格ではありません。「HACCPは取るものではなく、やること」なのです。ただし、制度化の経過措置としては2年と言われているので、2年以内には導入の取り組みを行うことになります。よくいわれるHACCP認証を取得するというのはどういうことなのか。

 これは、自分たちが行っているHACCPが正しく運用されていることを第三者機関が認証することです。食品安全マネジメントにまつわる認証規格としてはISO22000やJFS A/B、C規格などさまざまありますが、これらはすべて、その要求事項にHACCPが含まれているということになります。

 ――認証取得の流れを具体的に教えてください。

 永山 認証を取得する場合は、それぞれの規格を審査できる審査会社から現地に審査員が訪問し、現場や文書・記録の検証やインタビューなどを行い、規格の要求事項に対する適合性を確認していきます。規格によって違いますが、概ね3年間の有効期間と1年ごとに中間審査があります。

 毎年何かしらのかたちで審査を受けることになりますので、HACCPの運用を効果的に改善していくためには非常に有効だと考えます。

 しかし、今回の制度化で求められる内容はあくまでも「HACCPに基づく衛生管理」「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を自主的に行っていくことです。

 ――衛生管理を自主的に管理していくということですね。

 永山 しかし、この「自主管理」がなかなか難しい。アルバイトやパートを含むすべての従業員に対する教育の時間、誰が講師を行うのか、どんなことを教えたらいいのか、毎日の忙しい業務の合間や繁忙期も加味しながら実行していかなければなりません。

 審査のように期日が決まっているものであれば、強制的にやらなければならないところも、自主管理だとどうしても優先順位として後回しになってしまうのが現実です。しかし、一度でも食中毒事故などを起こせばお客さまとの信頼関係は一気に失われてしまうことになります。それを考えれば衛生管理は「無理やりさせられること」ではなく、「積極的にやること」として取り組んだ方が会社としてはプラスになるのではないでしょうか。

 ――HACCPは厚労省のどの機関が情報を発信するのですか。

 永山 HACCP制度化の具体的な情報については、保健所が発信していくこととなります。現実にはこれから運用が始まるものであり、細かい個別ケースへの対応や基準について、すぐに回答が一律に得られるものではないと考えています。

 管轄の保健所が主催する説明会やホームページなどの情報を見ながら順応していく心構えは必要です。個別の導入事例(健康食品、外食産業、食品スーパーの総菜工場など)を含めHACCPを導入するという決断に至るにはそれぞれにきっかけがあります。

 今回の制度化が決まる以前にHACCPに取り組まれた事業者では、「サプライヤーからの要求」「大手との商談をしてもらうために」など営業的な効果を見越してというところもあれば「クレームで取引停止になった」「クレームが減らず、今の状態で製造をすることが不安」とネガティブな状況から脱出したいと考えたところもあり、きっかけはさまざまです。

(つづく)

<プロフィール>
エッセンシャルワークス 永山 真理 代表

福岡県大牟田市出身。2012年、自然食品店長時代にメーカーと消費者との「食品安全」の認識のずれを感じ、双方がWin-Winとなる方法はないかと考えていた時にHACCPと出会う。その後、HACCP導入、運用支援コンサルタントとしてさまざまな業種の食品工場へのHACCP導入に携わる。ISO22000審査員補(IRCA登録)、JFS-A/B規格監査員、国際HACCP同盟登録 HACCPリードインストラクター。

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