2024年04月25日( 木 )

十八銀行とふくおかFGとの経営統合~公取委今月末までに承認か

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

ふくおかFGと十八銀行との経営統合の流れ

◆2016年(平成28年)2月26日
 ふくおかFG(取締役社長 柴戸隆成)と十八銀行(代表執行役頭取 森拓二郎)は、経営統合の実現に向け協議・検討を進めていくことで基本合意書を締結したと発表し、以下のスケジュールを示した。

・2016年8月 両社取締役会で決議し、最終契約を締結
・2016年12月 臨時株主総会
・2017年4月1日 株式交換効力発生日(経営統合日)
・2018年4月 十八銀行と親和銀行の合併

◆当初は3月中の申請を予定していたが、届け出前相談の段階で想定以上に時間がかかったため、6月8日、公正取引委員会に届け出書を提出。
・しかし最終契約締結予定日1カ月前の7月8日、公正取引委員会が独禁法上の問題を提起したことから、赤信号が点滅することになった。
・公正取引委員会は届け出前相談を受けると、独占禁止法に基づき審査する行動を即座に開始。5月に長崎県内の企業約3,000社を対象に調査を実施。結果は「借りる先がほかになくなる」との回答が多かったことによる。

◆これによりふくおかFGと十八銀行は昨年1月20日、公取委の審査長期化にともない統合時期を10月1日まで半年延期すると発表。

◆2017年(平成29年)1月20日
 両社は、経営統合に関する公正取引委員会における企業結合審査が完了しないことから、「ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行の経営統合のスケジュールに関するお知らせ」にて、株式交換の効力発生予定日および経営統合後の合併を半年延期すると発表。

◆昨年4月17日、十八銀行の森拓二郎頭取は「構造的措置としてシェアを落とすことに踏み込まないといけない」と債権譲渡の可能性を示唆。今後県内9カ所で説明会を開催し、理解を深める方針を明らかにした。それを受けて、ふくおかFGの柴戸社長も4月21日に記者会見し、10月に半年延期した経営統合について、「現時点で、公正取引委員会の理解が得られていない。債権譲渡に踏み込まざるを得ない状況になってきた」と述べていた。

◆2017年(平成29年)7月25日
 ふくおかFGと十八銀行は公取委の審査が現在も継続中で進展が見られないため、再度延期すると発表。

◆長崎県内の企業向けの貸出金シェアは、十八銀行と福岡FG傘下の親和銀行(長崎県佐世保市)を合算すると約7割になる。【表3】の地元金融機関で見ると、2018年3月期における長崎銀行のシェアは4.7%となっており、年々悪化しているのがわかる。公取委は競争が減って借り手の企業に悪影響がおよぶことを懸念し、経営統合は無期延期となっていた。

◆今年4月、金融庁はシェアを引き下げるための措置が取られなければ、独占禁止法に基づき排除措置命令を出す旨を伝達。
 そのためふくおかFGと十八銀行は長崎県内の全融資先の意向を調査し、債権譲渡1千億円弱の貸出債権を他の金融機関へ移す計画を立てた。その結果、7月31日までに債権譲渡額は1,000億円弱に増え、公取委は競争環境が保たれるとの見方を強めたためだ。

今後の問題点

 金融庁は、ふくおかFGと十八銀行との経営統合を承認する方針だが、ただ債権譲渡で済む問題ではなくなってきているのも事実。十八銀行と親和銀行の合併は【表4】の通り、重複する多くの支店を閉鎖することになる。そうなれば、債権譲渡だけではなく、「行員・店舗・債権」の「ヒト・モノ・カネ」を譲渡することも考えられるからだ。十八銀行にとっても、親和銀行にとっても、いわんや行員にとっても、経営統合の本当の苦しみはこれからなのかもしれない。

※クリックで拡大

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

関連記事