「スマコン」のショールーム「コマツIoTセンタ九州」に潜入
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2018年09月04日 09:36

「スマコン」のショールーム「コマツIoTセンタ九州」に潜入

 「スマートコンストラクション」を掲げる建機メーカーのコマツ(登記社名:(株)小松製作所)(本社:東京都港区)のグループ会社であるコマツカスタマーサポート(株)九州沖縄カンパニー(本社:福岡市東区箱崎)は今年4月、熊本県大津町にICT建機のデモ施工などを体験できる「コマツIoTセンタ九州」を開設した。九州でのIoTセンタは、2016年6月の「IoTセンタ北九州」(嘉麻市)についで2カ所目になる。「IoTセンタ」とは何か、センタ開設の目的などについて、取材した。

福岡県嘉麻市、熊本県大津町にIoTセンタを開設

▲参加者によるデモ施工の様子

 コマツでは、2016年1月の「IoTセンタ東京」(千葉市美浜区)開設を皮切りに、全国11カ所(18年7月時点)でIoTセンタを開設。センタをスマートコンストラクション(以下、スマコン)のショールームと位置づけ、地域建設会社などを対象に、説明会、デモンストレーション見学会、ICT建機試乗などを行っている。

 熊本県での九州2カ所目のIoTセンタ開設は、九州南部を始め、九州全域からのアクセス向上を狙ったもの。熊本のIoTセンタには専任スタッフが常駐し、常時見学会を開催できる態勢を整えている。一方、嘉麻市のIoTセンタにはスタッフは常駐せず、事前にリクエストがあった場合のみ見学会を行う。

 熊本のIoTセンタには、女性2名の専任スタッフのほか、グループ会社他社の社員20名が常駐。女性による同社センタ運営は、全国唯一。センタには、2,200m2の施工ヤード、オフィスや見学室などを備える管理棟、重機のメンテナンスなどを行う設備などがある。見学会の定期開催日は、毎週水曜日。説明会で用いるPRビデオ、ナビゲーションの文言などは全国統一のもの。見学会の目的は、ICT建機の販売促進のためのPRだが、高校生や小学生向けにも開催。一度に最大45名まで対応が可能(嘉麻のIoTセンタは最大27名)。毎月約150名の参加者が訪れている。

肉眼とモニターで最新ICT建機のデモ施工を見学

▲モニターと実際のデモ施工を組み合わせた
 説明会の様子

 見学会では、女性スタッフによるモニターやデモ施工ヤードを使ったナビゲーションのほか、希望者のICT建機試乗などが行われる。ナビゲーションのウリは、モニターで映し出される重機操縦席内の様子と、重機の作業の動きを同時に見られること。操縦席に設置されたモニターも確認でき、今の作業がどのような重機操作で行われているのかが、手に取るようにわかる。デモ施工では、インテリジェントマシンコントロール油圧ショベル「PC200i」、ブルドーザ「37PXi」という最新モデルが使用されている。

 「『見て、触って、体感』してもらうことを目的に、現場の生産性向上を伝えることができる施設として、IoTセンタを開設した。この施設をコマツグループ3社の合同拠点とすることで、経費削減も行っている」(林田清春・コマツカスタマーサポート(株)九州沖縄カンパニースマートコンストラクション推進部長)という。

他社にマネできない商品サービスソリューションを提供

 スマコンとは、ICT建機を用い、測量、施工、出来形検測までの全工程を3次元データ化する同社サービスの総称。大手建機メーカーの強みを生かし、ICT建機とリンケージしたさまざまな生産性向上のための各種ツールをラインアップしている。ICT建機とは、位置情報を利用した操縦システムである「MC/MG(Machine Control system/Machine Guidance system)」を搭載。建機に3D設計データを取り込み、操作や制御を行う建機を指す。

 スマコンを進めるなかで、「ダントツ商品」「ダントツサービス」「ダントツソリューション」などのキャッチフレーズを採用。ICT建機のリーディングカンパニーとして、「他社にはマネできないものを提供するんだ」という自信とプライドのほどがうかがえる。

 同社ICT建機には、ICTショベル(バックホウ)、ICTブルドーザがある。ショベルの場合、GNSS(グローバル衛星測位システム)による位置情報と3D設計データ、アーム制御システムを備え、セミオート操作が可能。操縦席内のコントロールボックス(情報化施工専用モニタ)のタッチパネルで操作する。ブルドーザは、GNSS、コントロールボックスなどを搭載。レバーを一度操作するだけでブレードを自動制御できる。施工データ確認が可能で、生産性、安全性などが向上。「素人でもベテラン並みの施工」も実現できる。

 だが、ICT施工による生産性向上には、ICT建機だけでは不十分だ。測量、設計から納品までをすべて3Dデータ化する必要がある。コマツでは、ドローンによる測量、3D設計データ作成、施工シミュレーションなどの現場施工のトータルサービスを提供している。データのクラウド管理により、スマホなどでの随時確認が可能。コマツでは「現場を『見える化』ができ、生産性向上につながる」と謳っている。

 林田部長は、「建設業界では、労働力不足が深刻な問題になっている。そのような状況下で、必要な品質を確保しつつ、一定の工事量を消化するためには、コマツも建設現場の生産性拡大が必要になるという考えがあった」と指摘する。

コストダウンなどに今後の課題が

 地域建設業にとっては、ICT建機のメリットを生かせるような土量の大きな工事を受注する機会は少ない。建機を含むICT導入に必要な投資も少なくない。ICT建機は、従来の建機に比べ、陳腐化しやすいため、リセールバリューに乏しく、在庫化するリスクもある。地域建設会社にとって、ICT建機導入には、相応のビジョン、戦略が必要だ。多くの会社は「必要な場合にはレンタルで済ませよう」というスタンスをとっている。今後、中小企業向けにコストダウンなどを図っていけるかが、ICT建機普及のカギになりそうだ。

【大石 恭正】

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