• このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年09月14日 11:35

矛盾だらけの新聞業界既得権への安住から斜陽産業へ(前)

 さまざまな調査で新聞の凋落が浮き彫りになっている。(社)日本新聞協会の調査によれば、2007年には一般紙とスポーツ紙を合わせ約5,200万部が発行されていたが、17年には約4,200万部にまで減少している。▲1,000万部だ。ただし、これは発行部数の合計であり、実態はもっと厳しいと言われている。

発行部数は地盤沈下が続く

 ※クリックで拡大

 NHK放送文化研究所は、1960年から5年ごとに「国民生活時間調査」を行っている。時間という尺度で国民の生活実態を捉えようというもので、何に時間を使っているかを調べている。そのなかには新聞に関するものもある。電子版を含む新聞の行為者率(新聞を読む人)は、国民全体で2005年には44%だったが、15年には33%まで減っており▲11%だ。調査対象は10代以上であるため、10代以上の人口約1億1,500万人に▲11%を掛け合わせると▲1,260万人と推測できる。多少の時期的なずれはあるが、発行部数の減少よりも2~3割程度、実際の減少幅は大きいのではないか。行為者率には電子版も含まれているし、発行部数には販売店に眠っているものも含まれているからだ。

 ここまでは地方紙まで含んだ新聞全体の数字だが、読売、朝日、毎日、日経、産経の全国紙に限れば、事態はもっと深刻だ。(社)ABC協会の調査によれば、直近の18年7月度では、読売が838万部、朝日が584万部、毎日が273万部、日経が240万部、産経が146万部にまで落ち込んでいるという。いずれも前年、前月ともにマイナスの状態で地盤沈下が激しさを増している。読売1,000万部、朝日800万部と言われた時代は、遠い昔のことになってしまった。

日本の新聞業界はガラパゴス

 そもそも日本の新聞業界は世界的に見ても極めて特殊な業界である。全国紙の部数が大きく減少しているとはいえ、いまだに世界の新聞で発行部数の1位、2位は読売と朝日だ。インドの新聞が台頭してきているが、それでも毎日新聞と同程度の300万部台だ。日本の全国紙は世界トップ10の常連である。アメリカはローカル紙が主流であり、ニューヨークタイムスやワシントンポストなど、世界的に有名な新聞でも数十万部の規模だ。経済誌であるウォールストリートジャーナルで210万部程度、タブロイドながら一応全国紙のUSAトゥディで180万部程度である。各国の人口まで合わせて考えれば、いかに日本が新聞大国であるかがわかるだろう。

 こうした特殊な状況を生み出した背景には、再販制度や1951年にできた日刊新聞法などの、新聞業界にとって既得権ともいえる制度がある。とくに日刊新聞法では、株主を事業に関係ある者に限る株式の譲渡制限が可能とされているため、簡単に新聞社の株主にはなれないのである。各新聞社には有名な創業家の存在があり、大企業であるのに上場もしないのは、そうした理由が大きい。上場しないのは公平性や中立性のためといわれることがあるが、海外メディア、他媒体のメディアを考えれば、あまり説得力はない。企業統治(ガバナンス)の在り方として甚だ時代錯誤の感じがする。経営陣に対して株主からの厳しいチェックがなければ、自ずと経営陣は長期政権となる。既得権に守られ自浄能力もない組織を、さらに「記者クラブ制度」を参入障壁にして守る。それが今の新聞社の姿である。

(つづく)
【緒方 克美】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年11月21日 17:16

九州自動車道で渋滞が発生NEW!

 九州自動車道(上り線)では21日午後5時現在、筑紫野IC~太宰府IC間で7kmの渋滞が発生している。

2019年11月21日 15:21

【政界インサイダー情報】国土交通省、国へのIR申請期間を正式に提示NEW!

 NHKなどで報道されたので、皆さんもすでにご承知のことと思いますが、国土交通省は19日、先日ご説明した「RFP」について、IRに関する各候補地の管轄行政から国への申...

美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─(4)NEW!

 大きな被害に見舞われた朝倉市立松末小学校(2018年3月閉校)の復旧活動の先陣を切り、地域を一体にするきっかけをつくった公益財団法人朝倉青年会議所(朝倉JC)。

2019年11月21日 14:14

九州地銀の2020年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する(1)NEW!

 九州地銀(18行)の2020年3月期の第2四半期(中間期/9月期)決算発表日の推移表をみると、トップで発表したのは西日本FH(西日本シティ銀行・長崎銀行)で、昨年よ...

2019年11月21日 13:43

『脊振の自然に魅せられて』「見事な脊振の紅葉」

 「そろそろ脊振の紅葉時期だ」。4駆のマイカー(トトロ2号)で椎原のバス停から板谷峠に続く県道136号の山道を走る。上り坂の中間地点にある荒谷集落付近は2年前に起きた...

2019年11月21日 13:17

続々・鹿児島の歴史(3)~大隅の神宮と寺院~

 平安時代、政府の地方支配は重税の関係から徴税が困難な状況で、深刻な状態でした。『今昔物語』巻二四に「大隅国の郡司和歌を読めること」という説話史料があります。趣旨は、...

2019年11月21日 11:17

【業界ウォッチ】渋谷スクランブルスクエア

 東急が中心となってJR東日本、東京メトロも参画する高さ約230m地上47階地下2階の大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」が11月1日に開業した。17階...

2019年11月21日 11:11

スーパーマーケット 表の事情と裏の事情(15)~揚げ物ばかりの総菜売り場

 惣菜のポイントは「選べる質と量」だ。店舗にとって生産性を考えると揚げ物が一番良い。加工のほとんどを店の外で行えるからだ。店舗では揚げるだけだから手間ひまは加工食品に...

2019年11月21日 10:57

【凡学一生のやさしい法律学】憲法改正について(8)

 安倍晋三総理大臣は自衛隊の存在が常に憲法違反だと野党勢力によって非難されていることは、自衛隊職員にとって、いわれなき苦痛であり、自衛隊の存在を憲法違反と非難されない...

2019年11月21日 10:49

アベノミクスがもたらした日本経済崩落 政治刷新による国家保障最低ライン引き上げ急務(1)

 日本経済の凋落が目を覆うばかりである。メディアによるアベノミクス礼賛と茶坊主言論人の日本経済礼賛は戦時下日本を彷彿させる。大資本利益極大化と国民窮乏化を追求する政策...

pagetop