2024年04月24日( 水 )

人質事件解決の基本すら理解していない安倍政権~ジャーナリスト・安田純平さんが帰国

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
成田空港に到着した、安田純平さん
(NHK「ニュースウォッチ9」Twitterより)

 ジャーナリストの安田純平さんが25日午後6時20分ごろ、3年間の拘束生活を耐えてようやく母国の地を踏んだ。シリア北部で武装組織に拘束されてからの日々を、安田さんは「地獄だった」と振り返っているという。

 安田さんは2015年6月、シリア内戦を取材するためトルコからシリア入りした後に行方がわからなくなり、アルカイダの関連組織「タハリール・アル・シャーム機構」(旧・「ヌスラ戦線」)に拘束されたとの情報もあった。

 『亡国の首相 安倍晋三』(七つ森書館)で、韓国政府が人質事件の解決に成功した例を取り上げたジャーナリストの横田一氏は、3年間もの長期にわたって安田さんを救出することができなかった安倍政権の「外交オンチ」ぶりを指摘する。

 


 安田純平さんの解放にはほっとしました。というのも2015年1月に、イスラム国の人質になっていたジャーナリスト・後藤健二氏が殺害されたことがどうしても脳裏をよぎるからです。後藤氏が殺害された際、安倍首相は「政府として全力で対応してきた」などとしていましたが、中東で軽率な発言をするなどして本気度を感じませんでした。人質事件の解決に成功してきた韓国などと比べると、日本政府(安倍政権)の初動遅れや連携不足は明らかです。

 イスラム武装勢力に拘束されながらも、自ら交渉して解放されたことのある韓国人ジャーナリスト・金栄美氏は後藤氏が人質になった際、日本政府の初動の遅れを問題視していました。金氏は「拉致されてから1カ月が『ゴールデンタイム』だ」として、イスラム国が正式に人質を交渉に出す前に解放に向けた努力を密かに進めていたら、解放される確率が高かったとしています。イスラム国がいったん人質を公開して交渉を始めたら解決できる可能性が低いからです。

米大リーグ・シカゴカブスのダルビッシュ有選手は、
安田さんバッシングの風潮に真っ向から反論している

 アジアを代表する戦場ジャーナリストでもある金氏は、韓国の民放テレビ局SBSの元プロデューサーで、シリアやトルコ―シリアの国境地帯でイスラム国を取材しています。日本では安田さんのことを「自己責任」などと責めたてる者もいますが、危険な紛争地帯に入るジャーナリストがいなければ、そこが「危険かどうか」すらわからない。本末転倒でしょう。

 安倍政権は後藤さんの解放や安田さんの解放にあたって、イスラム国と接点のあるイスラム法学者の中田考氏やジャーナリストの常岡浩介氏らに協力要請などをしていませんが、金氏は「人質事件においては、ジャーナリストと政府が積極的に協力することが非常に大事」と話していました。人質事件解決の基本すら理解していないのが安倍政権といえるでしょう。(ジャーナリスト 横田一氏)


 

関連記事