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2018年10月30日 08:30

ロボット大国日本と世界のロボット市場の最新動向(2) 未来トレンド分析シリーズ 

国際政治経済学者 浜田 和幸 氏

 今後はサービスや生産のあらゆる場面において、ロボットが人間に代わり、主役の座に躍り出る時代が間違いなく到来するといわれる。その「ロボット時代」の最先端を走っているのが、日本なのである。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを成功させ、新たな歴史を刻むため、我が国では「ロボット・オリンピック」も計画されているほどだ。本番のオリンピック開催の前にはプレ大会が実施され、世界中の最先端ロボットが日本に結集するはず。官民挙げて「ロボット新戦略」を推し進める日本とすれば、何としても成功させたいものだ。

 このようなロボットを使った第4次産業革命を進めるにあたって、日本の強みはいくつも指摘される。第一は、これまで培ってきた“モノづくりのノウハウ”。少子高齢化の影響を世界で最も早く経験している日本においては、労働生産性を高めるためにも匠の技をロボットに学習、体得させることが期待されている。2020年には大企業で25%、中小企業でも10%の仕事をロボットに委ねる計画が打ち出されているほどである。

 第二は、“サービスの向上にロボットをいかす発想”に他ならない。食品分野では2020年を目標にピッキング、仕分け、検品にかかわるロボットの普及率を30%まで高めるのが目標となっている。また、介護ロボットに対する期待は高まる一方で、2020年にはこの分野でのロボットの市場は500億円に拡大することが見込まれているほどだ。トヨタ自動車が注目しているのもうなずけよう。

 第三は、“インフラ、災害対応、建設、農林水産業の分野”である。就業者数が減少し、高齢化の波もあり、深刻な労働力不足に陥っている我が国にとって、とくに、こうした分野でのロボット労働力の導入は、待ったなしの課題といえよう。政府の開発資金を活用し、新たなロボットを20種類以上導入する計画が着々と進んでいる。

 民間サイドでの動きも加速する一方である。その旗振り役をはたしているのが、ソフトバンクが開発した、ヒューマノイドロボットの「ペッパー」であろう。愛嬌のある感情表現やコミュニケーション能力で人気を博しているのはご承知の通り。同社の孫正義氏によれば、「今後30年以内にIQ10000を超えるロボットが登場するに違いない」。平均的人間のIQは100。天才といわれる人で200である。そんな人間社会にIQ10000を超えるロボットが登場すれば、社会は前代未聞の大変革を経験することになるはず。蒸気機関車やインターネットの比ではないだろう。まさに「第4次産業革命」の幕開きだ。

 孫氏に言わせれば、「人間が開発したツールが人間を超える、という人類未踏の世界が目前に迫っている」というわけだ。そうなれば、まさに「シンギュラリティの到来」となり、あらゆる分野でロボットと人間が共存する生き方が求められることになるに違いない。はたして、日本人が世界に先駆けてロボットと共生するライフスタイルを実現できるようになるのだろうか。長年ロボット文化を培ってきた日本人の本領が発揮されるかどうか。

 現在、産業用ロボットの分野では、日本の企業が世界市場でシェア第一位を確保している。2015年の世界のロボット関連の市場規模は710憶ドル。2019年には、その2倍近い1354憶ドルにまで拡大するとの予測もある。安川電機、ファナック、川崎重工業、ヤマハ発動機、不二越など日本のメーカーが世界市場を席巻してきたものだ。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。16年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見~「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。

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