2024年05月12日( 日 )

黒田日銀総裁のマイナス金利政策~息絶え絶えの地域金融機関

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 黒田東彦日銀総裁は31日に開催された金融政策決定会合後の記者会見で、米国が仕掛ける貿易戦争について触れ、「保護主義的な政策は当事国だけでなく世界経済全体に影響をおよぼす可能性がある」と述べて、警戒感をにじませた。

 日銀は今回の決定会合で、現行のマイナス金利政策を継続するとともに、現況の景気については「緩やかに拡大している」との判断を据え置き、「貿易摩擦の影響は限定的だ」との認識を示した。

 日本経済は内外の堅調な需要を追い風に拡大基調が継続するとのシナリオを描いていた日銀だったが、米中の貿易戦争の展開次第では大きく崩れるリスクに直面している。
 日銀の政策委員9人のうち、4人が18年度の成長率の「下振れリスクが大きい」とみている。

 ある政策委員は決定会合前に「なぜ、まだ経済統計に貿易摩擦の影響が出ていないのか不思議だ。これから影響が出るだろうから、経済見通しを下げておいた方がよいかもしれない」と述べたという。
 【表1】の日経平均株価、【表2】の九州地銀の株価推移表を見ていただきたい。

※クリックで拡大

この表から見えるもの

◆9月28日の日経平均株価は2万4,120.04円だったが、11月1日の前場(終値)は、2万1,749.78円となっており、その下げ幅は▲2,370.円26銭と急落している。10月に入り激しさを増す米中の貿易戦争の影響が如実に出ている証拠ではないだろうか。

◆その影響を受けて九州地銀 (含むFG・FH)の株価も、全行が9月末と比べて大幅な下げとなっているのがわかる。
 日銀が「2%」の物価安定目標を掲げたのは2013年4月。それを達成するためにゼロ金利政策、さらにマイナス金利政策を推し進めたものの、5年余り経過した今も、エネルギーを除くベースでは「0.4%」にしかなっていない。
日銀のためにと歯を食い縛って我慢を重ねてきた地銀ではあるが、もう我慢の限界にきている。地方銀行が倒産するようなことになれば地域経済はガタガタになることは必定である。黒田総裁の任期は2023年4月8日まであるが、目標達成ができなかった責任を取ってお辞めいただきたいというのが、地域金融機関トップ全員の本音ではないだろうか。

黒田 東彦(くろだ はるひこ)氏の経歴
・1944年(昭和19年)10月25日生まれ(74歳 )。
・福岡県大牟田市出身。東京大学法学部卒業し、1967年大蔵省(当時)入省。
・榊原英資氏の後任として1999~2001年の3年間財務官。
・財務官を最後に財務省退官(愛称はクロトン)。一橋大学大学院教授・アジア開発銀行総裁を経て、第31代日銀総裁に就任。任期(2013年3月20~2023年4月8日)。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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