2024年05月08日( 水 )

札幌・ひき逃げ警察官に求刑1年

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札幌市豊平区の事故現場

 今年4月に北海道警の男性巡査長(当時)が起こした重傷ひき逃げ事件の論告公判が8日午前、札幌地方裁判所(中桐圭一裁判官)であり、検察は「故意性を否認するなど態様は悪質」と被告の高田積伸・元巡査長(28)に懲役1年を求刑した。

 高田元巡査長は4月11日夜、私用車で札幌市豊平区の市道を走行中、近くに住む女性(27)をはねて大けがを負わせ、そのまま逃走したとされる。道警は防犯カメラの映像などから加害車両を割り出し、7月17日に道路交通法違反(ひき逃げ)などの疑いで元巡査長を逮捕した。捜査段階で「事故に気づかなかった」などと供述していた元巡査長は、9月25日にあった初公判でも、起訴事実を認める一方で「ひいた認識はなかった」と主張、整合性のない弁明を繰り返していた。

 8日の公判で意見陳述に立った被害女性は「初公判を傍聴して気分が悪くなり、2度ほど廊下に出ざるを得なかった」と元巡査長の主張に不快感を示し、「事故前の私に戻してほしい」と訴えた。女性は腕や頭などを骨折する全治3カ月の重傷を負い、今もリハビリ通院中。右目の神経が切れて視力が落ち、回復の見込みがなくなったほか、腹部や背中などにケロイド状の傷が残った。婚約者との結婚話は破談になり、1人で外出することに恐怖を覚えるようになった。

 札幌地検は同日の論告で、元巡査長が事故直後に現場に戻り、無関係を装って警察とやり取りしたことなどの悪質性を指摘。事故に気づかなかったとの主張を「相当の衝撃があったはずで、不自然かつ不合理」と一蹴し、懲役1年を求刑した。

 道警は事件後の8月27日、元巡査長に「停職3カ月」の懲戒処分を言い渡し、本人はこれを受けて依願退職している。辞職後、元巡査長は被害女性への謝罪文と慰謝料を代理人に託したが、被害者側ではいずれの受け取りも拒否しているという。

 判決は20日午後、札幌地裁で言い渡される。

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