2024年03月29日( 金 )

【パチンカー代の『釘読み』】Daiichi~強さの秘訣は多角化とユーザー目線

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 パチンコメーカーのDaiichiこと(株)大一商会。遊技愛好者がストレスなくパチンコで連チャンを楽しめるように生み出された「加速装置(※)」でお馴染みのメーカーだ。1952年に名古屋で創業して以降、北は北海道、南は鹿児島まで、全国主要エリアに営業拠点を置き、存在感を高めてきた。

キャラクター事業が好調

 同社はグループを形成し、事業の多角化を進めている。グループでは、有名モデルがプロデュースしたカラーコンタクト「Twinkle Eyes」の製造・卸売販売や、人気アニメ「おそ松さん」などのキャラクターグッズの企画・製作販売を手がける(株)ディ・トレード。スマートフォン向けのアプリやウェブサイトの制作を手がける(株)ディ・テクノなどが名を連ねる。遊技機関連事業を中核としながらも、その事業領域は実に幅広い。

 中でもキャラクターグッズの販売は好調で、映画・アニメ・漫画などのポップカルチャーの祭典「東京コミコン2018」では、おそ松さん×Daiichiブースで販売されたアクリルスタンドキーホルダーが即日完売になるほどの人気を博した。同事業を手がける(株)ディ・トレードの2017年9月期時点での利益剰余金額は、第11期目ながら3億8,656万円に上る。

驚異の無借金経営

 グループで多岐に渡る事業を展開する大一商会だが、基盤である遊技事業の調子はどうか(下図参照)。

意匠が凝らされた筐体

 市場規模縮小の影響が見て取れるが、規制強化の度に適合機の開発費用がかさむメーカーでありながら、創業から60年以上無借金経営を続けているというからすごい。こうした強固な財務体質はもちろん魅力的だが、Daiichiブランド最大の武器はやはりエンドユーザーを意識した遊技機の開発にこそある。

 平成最後の新春商戦に、同社は業界初となるハズレがない「無敵タイム」を搭載したパチンコ「CR NOLSOL JC」を市場投入予定だ。無敵タイムとは、簡単にいうとパチンコ玉が必ず大当たりの穴に入るように、一定時間ハズレの穴がシャッターで塞がれるシステム。遊技愛好者にとっては、盛り上がり所が明確になった格好だ。

 加速装置に無敵タイム。同社が提供する遊技機に施された仕組みからは、徹底した遊技者目線が感じられる。そこに同社の社是でもある3C(Creation=創造・Challenge=挑戦・Chance=機会)イズムの追求が加わることで、『Daiichi』は業界での地位を確立した。

 淘汰が進む業界において、100億円企業であり続ける同社。そこには、複合企業体としての強みと、メーカーとしての個性の両立がある。

【代 源太朗】

※加速装置:パチンコの確率変動中(大当たりしやす内部状態)の1回転の図柄変動時間が0.26秒、次回大当たりまでに要する時間は平均42秒という驚異のスピードを実現した仕組み。

関連キーワード

関連記事