ここでしかできない開発 ホテルではなく、「まち」をつくる(後)
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2018年12月29日 07:00

ここでしかできない開発 ホテルではなく、「まち」をつくる(後)

(株)LANDICホールディングス
代表取締役社長 中山 朋幸  氏

IMD Alliance(株)
代表取締役兼CEO 麻生 宏  氏

 ――淘汰されないホテル開発とは。

手前を流れるのが那珂川、奥に見える建物が貴賓館

 麻生 そこにしかないものを、どうつくるかということでしょうか。ホテルというのは単に宿を提供するというより、そのエリアに1つの文化をつくることなのだと思います。たとえば、いくらカッコいいマンションが福岡にできても、それが世界的に知られることはまずありません。

 ですが、話題のホテルというのは、そのデザイン性やコンセプトが世界レベルで紹介される可能性があるのです。ホテルというビジネスをADR(平均客室単価)と広さ、設備、アメニティという要素だけで見れば、どこに行っても結局は同じものにしかなりません。そういったものだと、景気が悪くなったときには、値段を下げるしかない。本質的な価値を磨いていくことが、大事ではないでしょうか。

 中山 そのあたりの考え方は、我々がやってきたマンションづくりと似ています。他社が売れなくても、こちらは売れるものをつくろうという価値観は、麻生社長がおっしゃっていることに近いと感じます。たとえば、マンションを建てるにしても、整形の土地に対して単にまっすぐ建てるのではなくて、街並みに対して建物を建設することがあります。これは、一見無駄なスペースをつくることにもなりますが、その空間がまちの空気感をつくり、お客さまにとってはそれが付加価値となるのです。

 ――意図する価値が伝わらないことは?

 麻生 開店してから2~3年も赤字の飲食店は、たくさんあります。「このやり方で間違ってないよな」と自問することなんて、しょっちゅうですよ。福岡市の大名にある「博多廊」も180坪という広さですから、最初はみんなから失敗すると言われました。しかもアパレルが入居するようなビルの5階です。そこで、九州にこだわる旬の和食を、居酒屋でもなく、料亭でもない業態というものをコンセプトにスタートしました。しかし、なにぶん箱が大きいので、何度もくじけそうになりましたが、そういうなかで、日々ブラッシュアップを重ねていくことが、我々の仕事なのです。来店されるお客さまはすべて口コミですから、いったん根付くと非常に強い。そうなるまでには、時間はかかります。

 中山 その時間は真似ができないですよね。時間を常に改革して、凹んだら上げる作業をして、ダメなら変える作業をして、そこでいろいろと悩む時間がある。でもそれが実業の部分で、気がついたら競合他社やライバルが追いつけない領域に至っている。地道に時間をかけて実現する価値は、よそでは真似ができません。

 ――今後、2社が提携する可能性はありますか。

 中山 具体的な検討に入った案件は、ほかにもあります。麻生社長の古巣であります、カトープレジャーグループ(KPG)の加藤社長とも先日お会いしまして、西中洲を足がかりに今後の開発案件も含めて、付加価値の高いサービス、開発を「3社提携してやりましょう」とお話しさせていただきました。IMD、KPGの事業に関する考え方は、トータルマネージメントシステムという仕組みのなかで事業に責任をもって対応されている、日本には数少ないプレジャーグループ企業です。LANDICとして、我々にはない事業領域に力を貸していただけることに感謝しています。

 麻生 単一的なホテルやマンションではなく、まちづくりという観点での開発が出てくれば、面白い連携ができるのだと感じます。我々のこれまでの経験を生かし、全体としてどう良いものをつくるのか―。今だからこそやれる仕事で、連携を図っていければと思います。

 中山 我々は、マンション開発のみに偏ることなく、点から面開発、まちづくりもできる、総合不動産デベロッパーを目指しています。25年前にLANDICを設立しましたが、社名の由来は、「land、design、idea、creative」の造語です。「大地にデザイン、アイデアを描く、クリエイティブな企業を目指す」というのが起業の背景です。今では金融機関、建設会社などステークホルダーの皆さまのご理解とご支援のおかげで、グループ売上高160億円を超える事業実績を継続させていただいています。

 これまでやってきたことに加えて、IMDアライアンスやカトープレジャーグループという事業パートナーと提携することで、新たな分野に新たなアイデア、デザイン、クリエイティブな部分の引き出しが増えると確信しています。

 IMDアライアンスは、ソフトやサービスを得意とされていますので、お互いが補い合う良い事業パートナーとなる大きな可能性を感じています。たとえていうと、森や村をつくるために、さまざまな連携が必要になるイメージです。木を植えるのではなくて森をつくる、家を建てるのではなく村をつくる。そういうサスティナブルなまちづくりや開発の意識をもった事業者と連携して、福岡のより良いコミュニティづくりに貢献できると嬉しいですね。

(了)
【文・構成:児玉 崇】

 

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