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2019年01月08日 07:02

2019年の注目経営者、日産自動車の西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)~「ゴーン・チルドレン」は修羅場を切り抜けることができるか?(中)

リーマン・ショックで無配転落、ゴーン氏は責任を取らず

 志賀氏と西川氏の力関係が逆転するのが、2008年のリーマン・ショックである。リーマン・ショックが今回の「ゴーン事件」の発端になる。日産は2009年3月期連結決算で2,337億円の最終赤字を計上。翌2010年3月期は無配に転落した。グループ全体で2万人のリストラを断行し、管理職には5%の賃金カットを実施した。

 この時、ゴーン氏は20億円の役員報酬があったのに、有価証券には10億円しか計上せず、残り10億円を隠していた。役員報酬の過少記載が逮捕容疑になった。過少記載したことについて「社員のモチベーションが落ちるかもしれない」と供述したと報じられた。

 無配、大リストラ、管理職の賃金カットをやるからには、経営トップが役員報酬を全額返上するぐらいの範を示すのが常識だが、ゴーン氏はそうしなかった。経営責任よりも、自身の懐が何より大事なゴーン氏の強欲ぶりが、如実にあらわれている。

 『履歴書』は自慢話のオンパレードだが、リーマン・ショック後については、ほとんど触れていない。経営者失格を意味する無配の無の字も出てこない。ゴーン氏にとって「責任」とは自分が背負うものでなく、部下に負わせるものだ。

志賀氏から西川氏へ権力が移る

 志賀氏は経営悪化の責任を問われ中枢から外されていく。2013年11月、ナンバー2のポストである代表取締役、最高執行責任者(COO)から、中二階ともいえる代表取締役副会長に棚上げ。COO職は廃止になった。2015年6月には 代表取締役も外れ取締役副会長。2017年6月には平取締役に格下げになった。

 代わって、西川氏が権力の階段を駆け上がる。2011年6月、代表取締役副社長に昇格。2013年4月、代表取締役副社長兼チーフコンペティブオフィサー(CCO)に就任し、研究・開発・生産、SCM(物流)、購買、TCSX(品質) を担当した。

 志賀氏が更迭されて、西川氏は2016年11月、共同最高経営責任者、副会長に就いた。この間、2006年から2016年までルノーの代表取締役を兼務していた。会長兼社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏が社長とCEO職を退き、2017年4月、西川廣人氏が後任の社長兼CEOに就任した。

 仏政府と渡りあった手腕が評価され、西川氏は社長兼CEOの座を射止める
西川氏が日産のCEOに就いたのは、仏政府とルノーの対立が背景にある。仏政府は2014年春に「フロランジュ法」を施行した。株式を2年以上保有する株主に2倍の議決権を与えるというものだ。仏政府が企業への発言権を高めて、雇用の維持を迫ることを狙った。

 仏政府はルノーの15%の株式を保有。ルノーが43.4%を保有する日産への影響が懸念された。この時、ゴーン氏は日産の経営陣と足並みをそろえて、仏政府と対決した。

〈私はルノーのCEO(最高経営責任者)であり、日産のCEOでもある。複雑だった。ルノーの取締役会では利益相反を防ぐため、この問題を話す時は議長を外れた。日産の主張はルノー取締役でもある西川広人さん(現日産共同CEO=当時)に代弁してもらった。〉(『履歴書』より)

 西川氏は仏政府との粘り強い交渉で、「日産の経営には干渉しない」との確約を取り付けた。この交渉力を評価して、ゴーン氏は西川氏を日産の社長兼CEOに起用した。

(つづく)
【森村 和男】

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