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2019年02月05日 14:06

健康を大切にする住宅づくりの名伯楽 次世代の担い手に贈る言葉(前) 時代を紡ぐ企業110社 

前福岡大学工学部建築学科教授 現名誉教授 須貝 高 氏

健康を求め続ける

 福岡大学で34年間に渡り、教壇に立った須貝高名誉教授。首尾一貫『健康』をテーマに、研究と実証を重ねながら多数の門下生を育成し、住宅業界に人材を輩出してきた名伯楽である。須貝教授は、同学での教育・研究活動にとどまることなく、全国各地での講演や住宅建築の企業へのアドバイスなど、戸建を中心とした住宅業界の進化・発展のために寄与してきた。須貝教授の氏名をインターネットで検索すると、全国各地の多数の戸建住宅を供給する企業名が続々とヒットする。各メディアでの住宅に関するコメント、そして論文など数え切れないほどの『健康と住宅』の提言を行ってきた。従って、我が国の住宅業界で、須貝教授の名前を知らない関係者を探す方が難しい。

 須貝教授の専門は建築環境で、長年健康住まいづくり研究会を主宰。研究人生を通じて、2018年3月10日に行われた、須貝氏の福岡大学での最終講義の題目である『体の健康・心の健康・建物の健康(耐久性)を育む住まいづくり』のコンセプトを確立させた。とくに、熱・温度・湿度・空気環境、床下環境、冷暖房負荷、断熱性、電磁波に関する研究と実証と論文が中心であり、須貝氏が住宅に対して『健康』を追求してきたことの証である。須貝教授の研究と実証は単なる理論ではなく、実際に人間が住むなかで、どのような結果が出て、その原因と対策がわかりやすく述べられていることが特徴で、国内随一の実践的研究者として知られている。

五季の住まいづくり

 須貝教授は、健康に関連して、日本独特の高温多湿な気候に則した住まいづくりが不可欠であることを提唱し続けている。その基本となる考えは、1年を春夏秋冬と梅雨の五季だと定義していることである。「日本の季節は一般的に春夏秋冬の四季と言われていますが、日本にはもう1つ梅雨という季節があります。この高温多湿の梅雨の季節を考慮した住まいづくりの設計と施工を行わなければなりません」と力説する。続けて「最優先すべきことは、日本独特の高温多湿な気候の特色を十分理解し、それに適した住まいづくりを実践することです」と述べている。 四季と梅雨を足した五季を想定した住まいづくりを提唱するのは、「住まいとは人の健康が最優先」とする須貝教授の信念があるからだ。

高齢者と乳幼児への配慮

 須貝教授が提唱する「人の健康を大切にした住まいづくり」の礎となっているのが高齢者と乳幼児への配慮である。以前、データ・マックスのインタビューで、住まいについて以下のように語っている。「私は快適であることを求めるのではなく、自分たちの命が長く保てるかどうかという、『健康』という観点で考えていくことが重要だと考えています。室内温度は18℃か22℃か、などという快適さを議論する前に、夏は猛暑に対する対処を、冬は冷えに対する対処を行い、安心して健康に暮らすことができる住まいづくりをしていくことが必要です。日本の場合、春夏秋冬に加えて梅雨の時期もあり、カビや湿気などの問題も出てきます。これらのさまざまな問題に対し、どのような対策を行っていくかを考えなければなりません。とくに、抵抗力が弱くなっている高齢者や乳幼児などに配慮した住宅をつくることです。一番大切なことは、人間にとって、健康でいられる住宅をつくっていくということではないでしょうか」。たとえば、夏の日射対策では縦型のルーバーを設けることで太陽光線を遮り、風を送り込む。集合住宅を中心とするコンクリート住宅に多いヒートアイランド現象には、最上階の緑化を実施し、土そのものの断熱性と緑の葉からの水蒸気により温度が下がることで、室内の気温が適正化される。戸建住宅においては、基礎断熱(基礎コンクリートの床下側に断熱材を入れ、床下換気はしない)を徹底し、1年を通して安定した温度を保つ地熱を床下に導入し、夏は涼しく、冬は暖かい環境を設えるなどの提言は、高齢者や乳幼児が安心して暮らせる住環境をつくることを原点としている。とくに近年は、ヒートショックが要因とされる中高齢者の脳卒中など、循環器系のトラブルを未然に防ぐ家づくりを全国各地で提唱し続けている。

(つづく)

<プロフィール>
須貝 高(すがい ・たかし)

1947年9月生まれ。76年3月 東京大学工学系研究科博士課程修了、工学博士取得。 76年4月 東京大学建築学科環境講座文部教官。92年4月 福岡大学工学部建築学科教授に着任。『季間蒸暑地域に適する木造住宅に関する研究』を中心とした、健康と住まいをテーマにした研究を行う。それらに関連した著書および論文は多数。
 

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