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2019年02月06日 09:18

健康を大切にする住宅づくりの名伯楽 次世代の担い手に贈る言葉(後) 時代を紡ぐ企業110社 

前福岡大学工学部建築学科教授 現名誉教授 須貝 高 氏

心の教育の大切さ

 須貝教授は、福岡大学で学生に建築の専門的学問を授けただけではなく、世の中に役立つための心についても一貫して指南し続けてきた。「教育の原点は、心の教育です。心の教育とは人に寄り添うことです。もちろん建築の専門をともに研究し、新たな建築環境について発見し学び続けることは、次世代の建築を進化させるために必要なことです。それとともに、人の心について説い続け伝えていくことも大切なのです。構造、設計、工法、断熱、湿度など、住まいについてのより深い学術的な研究を発表・発信していくことは大事ですが、もっと大切なのは研究したことを実践することです。実践するには、人々の心を勉強しなければなりません。それには、人の幸せを追求することが必要です。だから、心を学んでいかねばなりません」と力説する。「つまり建築では、元気な人を基準とした住まいづくりだけではなく、そうではない人々もいることを前提にしなければなりません。それには、現地に行って、部屋の温度をすべて測る、床下の状態を見るなど、自身の目と感覚、そして現場で測定したデータが重要になってきます。それら現場で調査した実証を基にしながら、どの人々も健康と幸せになる住まいづくりを行うことができ、社会に貢献できる人材を育てていくことが、我々教育に関わる人間の使命であります」としている。

 机の上や研究室だけでなく、現場に出ることこそが基本であること。研究や実証は、自分だけのためではなく、業界、そしてすべての人々のために活用されることこそ本物である─須貝教授は、自ら率先垂範しながら、次世代の学生とともに時を過ごしてきたのだ。

本気で取り組むこと

 須貝教授は、「私は建築について、学生との対話によって伝えてきましたが、同時に住まい手の方々にも伝えてきました。34年間、その思いで建築環境を通じて学生とともに歩んできました。そして全国の同志と本気で、人々の健康と安心と幸せのための住まいづくりに取り組んできました。福岡大学での教授生活は終えましたが、今後もこれまでと変わらず、本気で健康と安心、そして幸せな住まいづくりに取り組む方々とともに活動を続けていきます」と意欲を語る。

 これから次世代を担う人材や事業に取り組む人々には、「なぜ、その分野について学ぶのか。その分野の仕事に取り組むのか。必ず意義目的が必要です。そして学んだことをいかに社会や人々の幸せのため、健康のため、安心のために役立てていくかを、真剣に熟考して実践することです。企業も同様で、一番にお客さまの目線での事業展開を志向し、実行することです。そのためには、その分野について徹底的に研究し、実証を重ねながら、お客さまが一番満足する商品・サービスをつくり上げて、世の中に出し続けることです。それを真摯に続けている企業は、必ず地域や、市場でトップクラスになっております」とアドバイスを送っている。

 須貝教授は、住まいと建築を通して、生活者に密着した志向で日々活動することの大切さを伝え、啓蒙し続けてきた。その姿勢は不動である。

(了)

<プロフィール>
須貝 高(すがい ・たかし)

1947年9月生まれ。76年3月 東京大学工学系研究科博士課程修了、工学博士取得。 76年4月 東京大学建築学科環境講座文部教官。92年4月 福岡大学工学部建築学科教授に着任。『季間蒸暑地域に適する木造住宅に関する研究』を中心とした、健康と住まいをテーマにした研究を行う。それらに関連した著書および論文は多数。

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