2024年04月27日( 土 )

ガム市場凋落の原因は?(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 「キシリトールガム」が登場したことで、ガムの市場規模は3倍になり、「キシリトールガム」はガム市場全体の8割を占めるほど成長した。「キシリトールガム」はさまざまな機能性ガム開発の起爆剤にもなった。2000年にキシリトールガムが登場したことによって、1995年にはガムの市場規模は1、500億ウォンに過ぎなかったが、2003年には4、000億ウォン~5、000億ウォンとなり、市場は8年ぶりに3倍ほど成長する結果となった。しかし、「キシリトールガム」のブームは、それほど長くは続かなかった。「キシリトールガム」は市販3年目にピークが過ぎ、2004年度から販売量は急激に減少し始めた。「キシリトールガム」の販売に占める割合が大きかっただけに、市場規模にも少なからぬ影響を与えた。

 それでは、ガム離れの原因にはどのような要因があるだろうか。その原因として、社会環境が変わったことが挙げられている。以前は移動中にガムを噛むことが多かったが、今はガムを噛むことよりも、スマホを弄ることが多くなっている。かつては暇なときは、ポケットやカバンからガムを取り出して食べていたが、最近では、ガムではなくスマホを取り出して、インターネット検索をすることが多い。

 2000年代には食後に口直しにガムが噛むことが多かった。しかし、食後に食べられるものが多くなり、ガムの人気が衰えていることも、もう1つの原因だろう。生活水準の向上によって、ジュース、コーヒー、ヨーグルト、アイスクリーム、チョコレートなど、食後の選択肢が増えている。さらに、ガム需要の減少を経済成長の面から説明する場合もある。ガムは国民所得の少ない国で愛用されている食品の1つであるので、所得水準が向上すると、代替商品が多く登場し、ガム離れが進むことになるという。またガムは噛み終えた後、ごみになることで敬遠されたのも、ガム離れの理由の1つだろう。

 このようなガム市場縮小に対して、ガムメーカーはどのような対策を考えているのだろうか。実はガム離れに歯止めをかけるような有効な打開策は、まだ見えない状況である。韓国のガムメーカーの場合、海外輸出にその活路を求めている。韓国ガム市場の7割以上を占めているロッテ製菓では、海外輸出のための現地生産合計額が年間500億ウォンを上回っている。それをもっと拡大させるという戦略である。

 ロッテ製菓の中国市場での売上高の23%は、ガムで占められている。オリオンは2001年に北京工場にガムの生産設備を増設し、中国市場を攻略している。昨年のガム売上高は1、700億ウォンで、オリオンの代表商品であるチョコパイ(1,400億ウォン)よりも売上高が大きかった。しかし、このような海外市場拡大戦略について、世界的にガムの需要がある国は米国、中国、日本など限られているし、韓国メーカーが狙っている地域には、すでにグローバル企業が進出しているので、競争は避けられないという指摘がある。中国のように競争の激しい国よりは、中東、東南アジアなどが可能性が高いことも付け加えた。市場が縮小しているなかで、機能性を追求してガムの付加価値をいかに高めていくのかがガムメーカーの課題になりそうだ。

(了)

(前)

関連記事