2024年06月16日( 日 )

最盛況のマンション開発エリアは中央区 福岡市7区の明と暗

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2017~18年の間に福岡市に届けられた建築確認申請書を基に、福岡市内のマンション開発状況を集計。そこからみえてきたのは、博多区と中央区の活況、そして底堅い福岡不動産市場の強さだった。


17年の開発総延面積はヤフオク!ドーム約12個分

『Brillia Tower西新』

 まずは福岡市における2017年のマンション開発状況を見ていく。17年の開発総延面積は「福岡ヤフオク!ドーム」11.9個分(建築面積換算)にもおよぶ。これだけでも、市内における不動産市場ならびに建設業界の好況ぶりがうかがい知れる。

 福岡市7区のなかで、最もマンション開発棟数が多かったのは博多区だった。博多区では17年当時、(株)LANDICの「(仮称)比恵計画」(RC造12階建て、ワンルーム55戸の延面積1,815m2)や、(株)NTT西日本アセット・プランニングの「(仮称)YM東比恵マンション1期A棟新築工事」(RC造10階建て、ワンルーム外40戸の延面積2,839.99m2)など、JR博多駅周辺以外のエリアでも多くの小・中規模マンションが建設されていた。

『ザ・パークハウス福岡タワーズ』完成予想模型

 次いで多くのマンションが建設されたのが中央区。さらに細かくエリアで分けると、高砂エリアでの開発が目立つ。「(仮称)ネストピア高砂」(RC造10階建て、ワンルーム36戸・ワンルーム外18戸、延面積2,145.40m2)や、「(仮称)エステート・モア高砂倶楽部」(RC造15階建て、ワンルーム52戸・ワンルーム外2戸、延面積1,931.48m2)などが当時計画されていた。

 博多区、中央区の2エリアだけで、17年の総開発棟数の半数以上を占める。そのほか5エリアとは明確に差が出た格好だ。博多区、中央区ともに、鉄道沿線という強みを生かした物件が複数棟建設。良好な交通アクセスに加えて、九州最大規模の繁華街「天神」、西日本最大の歓楽街「中洲」が生活圏であるという便利の良さが、博多区・中央区の人気を支えている。

18年の開発規模は前年比で縮小

『ネストピア高砂』

 続いて、福岡市における18年の開発状況を見ていこう。17年と比較すると開発戸数は減少したが、わずかな範囲のものであり、福岡の不動産市場は底堅く推移したといえる。ただし、開発総延面積は17年と比較して15万7,054.59m2減少している。これは、単純計算すると、RC造14階建て・150戸程度の中規模マンション17棟分に相当するものだ。

 一方で18年は、複数の話題の物件が着工した年でもあった。真っ先に思い浮かぶのは、三菱地所レジデンス(株)が積水ハウス(株)、西日本鉄道(株)と共同で、福岡ヤフオク!ドーム至近で開発中の「ザ・パークハウス福岡タワーズ(以下、タワーズ)」。

 タワーズは、WEST棟(RC一部S造28階建て、全292戸)とEAST棟(同)からなるツインタワーマンションで、18年11月21日に開業した商業施設「MARK IS 福岡ももち」と合わせると、その開発敷地面積は5万4,000m2におよび、商業施設と住宅の複合開発としては九州最大級のもの。しかし、一部では慢性的な交通渋滞を始めとする周辺アクセスの悪さや、1LDKで2,600万円~という強気の価格設定から、「売れるのか?」という疑問の声も上がっている。入居開始は20年3月下旬ごろを予定しており、竣工後の動向も注目される。

 開発面積ではタワーズに劣るものの、その立地の良さから注目されているのが、18年3月に着工した、東京建物(株)が手がける「Brillia Tower西新」(以下、ブリリア西新)だ。

 ブリリア西新は、15年7月31日をもって閉店した商業施設「西新エルモールプラリバ」跡地で建設中のタワーマンション。RC一部S造40階建ての全306戸で、同マンション内には店舗の入居も予定されている。福岡市営地下鉄空港線・西新駅から徒歩1分という交通アクセスの良さが大きな魅力だ。入居開始は21年3月下旬頃を予定している。

 18年で開発が活況だったエリアは、17年と変わらず博多区、中央区の2エリアだった。ただし、両エリア間における開発棟数の差は21棟あり、17年時の7棟から大きくエリア間の差は広がった。18年における中央区のマンション開発は、博多区のそれと比べ、開発延面積1,000m2以下のものが目立った。物件の小規模化が、中央区での開発棟数増加に寄与したと考えられる。

顕著に表れるエリア間格差

民家がマンションに生まれ変わるパターンも散見される

 17年、18年ともに、博多区・中央区の両エリアが福岡の不動産市場を牽引していることは明らかだ。3番手のエリアとして、東区が30棟台で堅調に開発されているように見受けられるが、南区・西区・城南区・早良区は波がある印象だ。とくに開発案件が少ないのが城南区で、住友不動産(株)による「(仮称)鳥飼6丁目計画」(RC一部S造、ワンルーム外59戸)など、大手が手がけるマンション計画もあるが、エリア全体としては低調に推移した。
 南区では(株)グッドライフカンパニーの「(仮称)GLC高宮」(RC造、ワンルーム22戸・ワンルーム外22戸)などが計画された。なかでも、計画地として平和、井尻エリアが目立った。

 西区では、姪浜や九州大学・伊都キャンパス近接の元浜エリアでの開発が目立った。姪浜駅南エリアでは、JAM.SCENARIO DESIGN(株)による「(仮称)姪浜駅南2丁目ビル/3丁目ビル」が計画された。元浜では、セトル(株)が九大生向け学生マンション「(仮称)BASEⅡ」を新設予定。依然として“九大効果”が働いている様子がうかがい知れる。

 早良区でも、穴吹興産(株)が「(仮称)アルファステイツ飯倉」(RC造5階建て、ワンルーム外63戸)を開発するなど、中規模マンションの計画が複数あった。

 それぞれのエリアで、注目すべき物件や地域特性が見られたものの、結果として、博多区・中央区の2エリアに開発は集中している。福岡市7区のなかで、トップ2エリアとそのほかのエリアとの最大の違いはどこにあるのか―。それはやはり、「日常生活」のなかでどれだけの満足感を得られているかという、住人の体感に依るところが大きくなる。

 城南区は、福岡市7区内では中央区についで2番目に面積が狭い。福岡市営地下鉄七隈線の駅が点在するほか、自動車での移動も国道202号や福岡外環状道路が整備されており、多少の混雑はあるものの、不便さは感じられない。しかし、福岡大学や同大学病院の存在からもわかるように、文教地区としての存在感が強く、プライベートで遊べるような場所は少ない。

 この“遊べる場所”の少なさは、西区・早良区にとっても課題といえる。「イオンモール」や「木の葉モール」など、買い物をする場所はあっても、ついでに楽しめる場所がない。帰って食事をし、眠るだけの場所であればそれでも問題はないが、休日に友人や家族と気軽に出かけられる場所となると、物足りない。各エリアともに、交通アクセスは決して悪くないが、博多区・中央区に比べ、圧倒的に“遊び”が足りないのだ。

 19年も、福岡市内の開発は博多区・中央区が先行して進んでいる。巨大な商業施設やブランドショップが林立する両エリアの優位性は、当面のあいだは変わることはないだろう。しかし、開発が可能な土地にも限りがある。両エリアでの供給がいよいよ限界となったときに備え、そのほかのエリアでは、開発者の興味を引けるような好材料をそろえておく必要がある。とはいえ、福岡市といえども、やがては人口が減少する局面に突入することを考えれば、その影響は当然ながら考慮しておかなければならないが―。

【代 源太朗】

 

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