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2019年04月22日 16:40

日本におけるグローバル教育の本来あるべき姿とは!

4月17日(水)の午後5時30分~8時30分まで、東京・新宿「安代ホール」7階において、28周年記念・第164回「ビジネスインテリジェンス情報研究会」が開催された。会場は満席となり約80名の有識者が参集した。今回の統一テーマは「グローバル化が急速に進展するなかで、日本のグローバル教育はどうあるべきか」であった。

 平成最後の情報研究会で功労者の表彰が行われた

中川 十郎 理事長

 今回は年号「平成」における最後の情報研究会である。次回からの年号は「令和」になる。そこで、中川十郎理事長(名古屋市立大学22世紀研究所 特任教授)から、これまでに同会に多大な貢献のあった会員に対し感謝状および記念品が贈呈された。

 栄誉に授かったのは、ドクター中松義郎氏(中松総研代表、工学・医学博士)、西原春夫氏(元早稲田大学総長)、橋田久仁雄氏(元日本郵船ヨーロッパ支配人、元タタコンサルタンシー顧問)、中島綱子氏(垂水温泉水「寿鶴」・東京所長)、山本奈津江氏(リコーロジスティクス・ソリューション本部企画課)の5名である。代表でドクター中松義郎氏が『発明と創造教育』と題して講演(米国CNNが作成した“Father of Invention”という5分間の動画放映)が行われ、その後プログラムに入った。

国際化とグローバル化の違いが体得できていない

表彰式(中川十郎理事長とドクター中松義郎氏)

 当日は、西原春夫・元早稲田大学総長、孔令傑・清華大学日本校友会元会長(Think Digital 社長)、近藤武彦・元財務省副財務官(元浜松学院大学学長、元JETRO理事)、渥美育子・グローバル教育研究所理事長、井出亜夫・JCMSアジア交流塾長(元日本大学大学院学科長、元慶応義塾大学教授)の5名が短い講演を行った。

 渥美育子氏は、長い米国経験(1973年にボストン郊外でビジネスと文化を一体化した「21世紀型研修会社」を設立して以来米国に在住、2007年に帰国)に基づき3つの世界共通の時間軸・プラットフォームを提示した。

(1)「国際化時代」(1945年の第2次世界大戦終焉~1991年の冷戦体制崩壊):教育は「国際化教育」~この教育の欠陥は(1)大局が読めない(2)自国の文化のメガネで見る(3)現地人をマネジメントできないという欠陥があった~その後2000年までは世界の仕組みが大転換していく(2)「グローバル時代」(意識のグローバル化の2000~2013年):教育は「グローバル教育」(グローバルな視点、多様性の理解と活用、マトリックス思考)~2013年からは「超グローバル時代」に突入、教育は「21世紀型人財の育成」を必要としている。

 渥美氏は日本のグローバル教育の問題点を3つ挙げた。1つ目は国際化とグローバル化の違いが体得できていないこと。2つ目は2013年からは超グローバル時代になったが、その世界の猛スピードについていけていないこと。3つ目は、グローバル時代になって30年も経つのに、学校教育がまだ閉ざされた世界のままであること、である。

優秀な学校に入るためには難問への“挑戦”が必要

 孔令傑氏は『中国清華大学から見た国際教育とベンチャービジネス創出』と題し、清華大卒業生ならではの情報を披露した。~国内外に300以上のサイエンスパークを経営管理。堅い絆で結ばれた「校友会」(国内143、海外53)や「清華企業家協会(542名)」(民間企業経営者の卒業生で組織、母校への教育支援も行う)の存在など。

ドクター中松義郎 氏

  “ベンチャー魂”養成で面白かったのは、中国と日本の入試配点の違いである。日本では小学校から大学まで、難易度に関わらず、問題の配点が同じであることが多い。「基本を大切にやさしい問題を落とさないようにしなさい」と受験指導を受ける。一方、中国ではやさしい問題は2点、難問は20点~25点という大きな差が出る。優秀な小学校~大学に入学するには必然的に難問に“挑戦”しなければならない。

 近藤武彦氏は、長いフランス滞在経験(留学と2度の大使館勤務で通算7年)を基に、『ヨーロッパから見たグローバル教育の在り方』と題して、フランスのエリート教育(シアンスポ・パリ政治学院~ENA・フランス国立行政学院)について語った。そして、フランスでは、貧富の差に関係なく優秀であれば、誰でもこのコースを歩めると付け加えた。

知識の獲得法ばかりでなく人の心を捉える技も必要

西原 春夫 氏

 西原春夫氏は、『民間の実践活動から見た日本のグローバル教育の在り方』と題し、ここ30年で88回訪中して中国の刑法学者と付き合った経験を基に3つの提言を行った。

 1つ目は「令和日本は、『法治有徳の平和国家』として世界に先駆けて生きていくべきである」2つ目は「グローバル教育に必要なのは哲学と歴史である」3つ目は、「グローバル教育は、単に知識の獲得法を教えるばかりでなく、人の心を捉える技も教え込まなくてはいけない(人間の総合力)」(結論)

 井出亜夫氏は『第3の開国へ向かう日本とグローバル教育』と出して講演、日本のグローバル教育を考える場合、「私たちは今何処にいるのだろうか」と鳥の目と時の目で見る視点(グローバルな視点)が大事であると語った。そして、テクノクラート養成に主眼が置かれ、リベラルアーツ、歴史認識を埋没させてきた、明治以降の日本の教育の在り方を戒めた。最後に「世界は大きな転換期にあり、現代の日本は明治維新、戦後改革につぐ新しいパラダイムの形成、第3の開国が求められている」と結んだ。

 講演後、青野友太郎・高等教育情報センター代表、勝俣美智雄・グローバル人材育成教育学会会長(国際教養大学名誉教授)2人のコメントがあった。勝俣氏は日本人の「英語力」と「日本語力」の相関関係に触れ、グローバル人材にとって、「英語ができることは、必要条件でも、十分条件でもない」と喝破した。

 研究会終了後、参加者有志は隣接のビルに移り夜遅くまで、夕食・懇親を楽しんだ。

 【金木 亮憲】

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