2024年04月24日( 水 )

景気基調判断が悪化に改定され消費税増税は凍結へ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は野党共闘の枠組みを割ってでも、明確な政策公約を明示することが重要だと訴えた5月8日付の記事を紹介する。


 10連休が終了し、2019政治決戦・夏の陣が始まる。参議院議員通常選挙を軸に、衆参ダブル選の可能性をはらみながら事態が進行する。戦局を左右する核心は消費税増税である。

 5月13日に3月の景気動向指数が発表される。3月の景気動向指数は4月26日に発表された鉱工業生産指数が前月比0.9%減少したことを受けて、企業活動をめぐる7つのデータのうち5つが悪化して前月比でマイナスになる。

 景気動向指数の基調判断は、1月と2月の「下方への局面変化」から「悪化」に変化する見通しである。「悪化」は日本経済が景気後退局面に移行したことを示唆するものになり、2013年1月以来、6年2カ月ぶりのことになる。政府による景気の基調判断は5月下旬に閣議決定される月例経済報告を待たねばならない。公表日程は未定である。

 5月20日に1-3月期GDP統計が発表される。実質GDP成長率はマイナスになると予想される。同時に2018年度の実質GDP成長率も発表されるが、限りなくゼロに近い数値、場合によってはマイナス数値が発表される見通しである。

 海外要因では米中通商協議が焦点であるが、米中交渉が大詰めで波乱含みの展開に移行している。すべてを総合して、安倍首相は消費税増税を再々延期する可能性が高い。

 3度目の延期になるが、今回は「延期」でなく「凍結」とする可能性が高い。このまま消費税増税に突き進む場合、安倍自民党は参院選で大惨敗することになるだろう。

 2016年の前回参院選で安倍自公政権は改選議席121のうち、69議席を獲得した。与党補完勢力の大阪維新も7議席を獲得した。合計76議席を獲得している。自公維以外の勢力の獲得議席は45議席にとどまった。

 安倍内閣が消費税増税を強行する場合、自公維で76議席を獲得することは不可能である。参院改憲勢力は大幅減少することになる。

 安倍首相は在任期間中の業績として憲法改定を実現することを目論んでいる。この目論見が完全に崩壊することになる。したがって、消費税増税が延期ないし凍結される可能性は極めて高いと考えらえれる。

私は昨年秋の段階からこの見通しを一貫して示し続けてきた。
『日本を直撃する「複合崩壊」の正体』(ビジネス社)
『金利・為替・株価特報』=TRIレポート

 6月末にはG20首脳会議が日本で初めて開催される。世界経済の下方リスクが認定され、日本は議長国として日本経済の成長持続に責任を持たねばならないとして、消費税増税凍結を提示することになるのだろう。

 本音は単なる選挙対策である。日本の主権者多数は安倍政治を終焉させたいと考えている。安倍政治は日本の主権者多数に利益を付与していない。第2次安倍内閣発足後の6年半の経済パフォーマンスは最悪である。

 大企業の利益は増加したが、労働者の実質賃金が5%も減少した。格差は拡大するばかりであり、生活苦にあえぐ主権者が激増の一途を辿っている。

※続きは5月8日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「ガーベラ推薦基準は原発停止・消費税減税・最低賃金1500円」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

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