2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

SDGsで実現目指す「元気な街、心豊かな暮らし」

大英産業(株) 取締役マンション事業本部長 茅原 嘉晃 氏

大英産業(株)はSDGs(持続可能な開発目標)を経営戦略に取り入れることにより、経営理念である「元気な街、心豊かな暮らし」の実現を目指している。SDGsを取り入れたきっかけやこれまでの取り組み、そして今後目指す方向性について、同社取締役本部長・茅原嘉晃氏に話を聞いた。

まちづくりを通じて地域貢献を目指す

 ――まず、SDGsに取り組み始めたきっかけを教えてください。

茅原 嘉晃 氏

 茅原 弊社は数年前に、経営理念を「元気な街、心豊かな暮らし」に変えました。経営理念を実現するうえで、企業にとって社会的責任をはたすとはどういうことなのか、具体的な取り組みを模索していたときに出会ったのが、SDGsです。北九州市もSDGsに全面的に取り組んでいると知り、市役所に直接うかがって話を聞いたこともありますが、市の考え方と我々の想いは合致する部分が多いと感じました。

 私たちがここまで成長できたのは、地元の北九州市に育ててもらったからです。事業を通じて地域に貢献し、お互いがWin-Winの関係性になれるような取り組みをしたいと思い、SDGsを中心に据えた経営活動を行っていくことにしました。

 ――SDGsでは、世界を変えるための17の目標が設定されています。このなかで御社がとくに力を入れていることは何でしょうか。

 茅原 11番目の「住み続けられるまちづくりを」に力を入れています。弊社の経営理念とも考えが近く、どんなまちをつくればいいのか、そのためにはどんな事業をすればいいのかがイメージしやすいからです。北九州市のほうからも、「これを皮切りに、17の目標全部に取り組んでほしい」と期待もいただいています。住み続けられるまちづくりを達成するために、まずは社内で社会の変化や課題をたくさん出し合い、そのなかで弊社が課題解決のためにできることを考えました。

 ――「住み続けられるまち」とは、どのようなまちだと考えられますか。

 茅原 弊社の近くには、今から40年くらい前に造成してつくられた団地があります。できた当時はファミリーがマイホームを買って移り住んでいたようですが、40年近く経った今では、当初あったスーパーや病院はなくなってしまいました。住民が歳を重ねていく一方で、新たな住人が移り住むといった人の循環はなく、私たちから見ても「このまちはどうなるのだろうか」と思うくらいでした。

 そうしたなか、私たちが手がけている戸建住宅事業で、たまたま住み替えなどによってできた空き地・空き家を買い取らせていただき、1宅地35~40坪の建売を行ったところ、20~30代のファミリーが入ることになりました。結果的に世代の幅が広がり、もともと住んでいたご高齢の世帯も、日々お孫さんたちと会うような感じで彼らと接することができたそうです。そして町内会や町の行事に積極的に参加することで地域コミュニティが活発になり、徐々に街が生き返っていくという現象が自然発生的に起こりました。

 弊社ではこれを「既存区画の再生」と呼んでいますが、この経験から、住み続けられるまちには外から新しい人が入り、それが循環できる仕組みが必要だと感じました。北九州市の課題といえば、人口減や定住減が挙げられますが、この取り組みは北九州市の人口をとどめることにもつながるのではないかと思っています。弊社のこれまでの実績を生かし、今後もお客さまのニーズや価値観に合わせたさまざまな住まいのかたちを提供することで、地域に新しい人が入ってくる循環を促していきたいと思います。

企業理念を具現化し、もっと住みやすい街に

 ――SDGsを取り入れたことで、社内に良い変化はありましたか。

 茅原 たとえば私が事業部の責任者と会話する際は、「会話の内容と事業とをどうつなげていくのか」「私たちの事業は社会にどう貢献しているのか」を、SDGsを用いて会話するようにしています。会話を通じて、「うちにはこういう事業ができる」というアイデアが生まれるほか、「会社にとっての社会貢献はボランティアではなく、事業を通じて貢献し、評価として利益をいただくということ」を彼らに理解してもらうことができ、彼らも口に出してくれるようになりました。

 話し合われた内容は経営陣にも共有しています。経営陣もそれに対して共感をしながら、SDGsを始めたことで社員が成長していることを嬉しく思っています。弊社の目指すべきところをSDGsと上手に合わせながら伝え、弊社が地域に求められている事業体だということを社内で浸透させられるよう、引き続き推進していきます。

 ――SDGsに取り組むうえで、課題を挙げるとすれば何でしょうか。

 茅原 SDGsを1つの長期的ビジョンとして据えたうえでの企業経営・経営戦略に関する取り組みについては、基本的な部分がまだしっかりできていません。SDGsを取り入れた企業の前例がないため、まだまだ手探りの部分があります。

 ひと昔前の弊社は、「北九州で一番のマンション会社になる」「福岡県で一番になる」というように、どちらかといえば業績重視、それに応じた給与体系で、それに合わせた人材が集まってきました。しかし近年は、単に給与待遇が良いというだけでは優秀な人材を獲得できません。組織自体を強化するためには、営業以外の部門も強化する必要があります。

 ――最後に、SDGsの取り組みを通じて、御社はどのようなことを目指していきますか。

大英産業本社

 茅原 地域を代表する会社として、社員が自分たちで北九州市を良くしていくのだという自覚をもち、「北九州市をもっと住みやすいまちにしたい。そのためにはこんな事業も必要なんじゃないですか」と自らいえるような社員を増やしたいですね。

 そういう社員に新しい事業を任せることで、やりがいや責任感が生まれ、人が育つ。人が育つことで人材が輝き、より良い会社になれる。そして事業を通じて、1人ひとりがより良い社会を実現する。これがSDGsを通じて目指していることです。弊社は社員を「人財」として大切にする会社ですから、やはり最後は社員の成長につなげていきたいですね。

【長谷川 大輔】

<COMPANY INFORMATON>
大英産業(株)

代 表:大園 信
所在地:北九州市八幡西区下上津役4-1-36
設 立:1968年11月
資本金:9,800万円
TEL:093-613-5500
URL:https://www.daieisangyo.co.jp

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