2024年03月29日( 金 )

ベルフェイスの中島社長に聞く(1)~営業マンが移動にかける時間は約52時間/月。オフィスにいながらどこへでも営業ができるウェブ会議システム「bellFace」

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 営業に特化したウェブ会議システム「bellFace」を提供するベルフェイス(株)を代表取締役・中島一明氏が福岡で立ち上げたのは、2015年のことだ。2007年から始めた社長専門のインタビューサイト「社長.tv」を全国に広げるなかで、代理店を経由すると思ったようにインタビュー数が伸びず、自社で見つけようとインタビュー先を探しはじめたのがきっかけだった。全国に営業するために遠方まで出向いて1件1件をまわる訪問営業のスタイルは、時間も人手もかかってしまい、インタビュー先の企業を新規開拓するには限界があった。

中島 一明 氏

 そこで福岡にコールセンターをおいて1件1件の企業に電話で連絡をとり、FAXやメールを組み合わせて営業を始めた。初めて連絡をしたお客さまに、どうしたらうまく電話でコミュニケーションをとれるかを考えて工夫する毎日だった。個人むけの電話営業のノウハウをもっている企業は多いが、企業むけの電話営業はいまも多くの業界でノウハウがしくみとして共有されていない。当時、どのような方法でお客さまとコミュニケーションしたらよいかと試行錯誤しながら温めていたアイデアが、パソコンで画面を通してお客さまと商談ができる「bellFace」の誕生につながっている。

大切なのは『接続の簡単さ』と『使いやすさ』

 電話営業は顔が見えないぶん、初めて連絡をすると不審がられることも多かった。話を聞いてもらうためには、お客さまに顔を見てもらい安心してもらうことが必要だと中島社長は感じたという。また電話にFAXやメールを組み合わせても、オフィスに訪問してお客さまに会って話すときにくらべて情報が伝わりにくかった。そこで、Skype(スカイプ)などのインターネットサービスを使って、パソコンの画面で相手の顔を見ながら話す営業手法にもトライした。するとその手法がうまくはまり、1年半で全国の約6,000社との商談を実現した。電話のみで営業していたときには2年で約300社だったこととくらべると、商談数は約20倍に増えた。

 しかし使ってみたからこその欠点もみえてきた。Skypeなどのインターネットサービスは、社内会議などで使いやすいが、いざ営業で使うとなると、お客さま側にもアプリのインストールや事前の設定をしてもらう必要がある。そのため、実際の営業シーンで活用するのはハードルが高い。

 お客さまに電話営業をして、やっと話を聞いてもらえるチャンスに出会っても、すぐにパソコンを設定できなければ、せっかくのチャンスをのがしてしまう。数多くの既存サービスを試したが、いざ営業で使うとなるとお客さまに負担をかけさせるため使いやすくはなかったと中島社長は話す。誰にでも使いやすいサービスが必要と考えて、それならば自社で営業で使えるウェブ会議システムをつくろうと決めたという。

リリース3年半で、有料導入社数1,000社を突破

 インターネットがあれば5秒でつながるウェブ会議システム「bellFace」を開発したことで、電話してすぐにお客さまがパソコンなどで営業マンの顔を見ながら話を聞いてもらえるようになり、わずかな時間も商談のチャンスとして生かせるようになった。また徹底的に営業現場に寄り添った開発を行い、誰でもわかりやすく使いやすいサービスをつくったことが、大手企業をはじめとした1,000社の導入実績につながっている。

 お客さまと会って話すときのコミュニケーションに限りなく近づける工夫がいまにつながっている。いままで移動にかかっていた時間から解放されることで、営業現場での生産性向上、ひいては新たな働き方の推進につながっている。

(つづく)
【取材・文・構成:石井 ゆかり】

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