2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

【進化する粕屋町】住みやすさと住民幸福度の追求で、市制を見据えた基盤整備のまちづくり

粕屋町長 箱田 彰 氏

町民の9割超が満足する住み続けたい町

 ――現在、粕屋町では人口増加が続いていますが、まずは町の魅力についてお聞かせください。

箱田 彰 氏

 箱田町長 粕屋町は、約14km2という狭い町域でありながら町内にJRの駅が6駅もあり、福岡市に隣接している立地もあって、通勤・通学や買い物にも便利な交通利便性の良さが町の魅力の1つとしてまず挙げられます。またそれだけではなく、実は町域のうち約半分が市街化調整区域であるなど豊かな自然がいまだ多く残っていることも魅力の1つで、「駕与丁公園(かよいちょうこうえん)」などの大きな公園も含めて、町民からは「自然の憩いを感じる」というご意見も多くいただいています。

 住民アンケートによる意識調査でも、町の良いところとして「医療・福祉面の充実」「防災・防犯」「自然と都市機能が調和している」などを挙げていただいており、粕屋町に「満足している」「住み続けたい」などの定住意向を示す回答をしてくれる方が9割を超えています。また、交通利便性だけでなく、買い物などの生活利便性も重要です。町内には「イオンモール福岡」という大規模商業施設のほか、スーパーやディスカウントストアなども充実しており、こうしたさまざまな魅力が、人口が増加している大きな要因なのではないかと考えています。

 ――粕屋町においては、とくに若年層の人口が増えているようですね。

 箱田町長 2025年の国勢調査では、町の人口が5万人を超えることが予想されています。若年層の生産年齢人口も多く、町民からは「保育や教育関係の充実」についての要望が非常に高くなっています。そのため、この10年で町内の保育園・幼稚園の数は3倍近くまで急増しており、4月1日現在で保育園は町立・私立を合わせて計10園、幼稚園は4園あります。また、小・中学校については、やはり将来的には教室が足りなくなる懸念がありますが、それまでは増築で対応していこうと考えています。

住居を中心とした旺盛な開発進む

 ――現在、町内では大小さまざまな開発が進められている印象を受けます。

 箱田町長 たとえばJR酒殿駅の駅前では、区画整理事業により戸建を中心とした300戸を超える規模の開発が進められようとしていますが、ほかにも「阿恵大池公園」の周辺などの住環境の良いところで、とくに旺盛な開発が行われていますね。先ほどもお話ししたように、町域の約半分が市街化調整区域であり、まだまだ開発の余地は大いにあると見ています。

 ――九州大学・原町農場跡地の今後の開発についても気になるところです。

 箱田町長 古代の粕屋町には、当時の大宰府政庁に向かう官道が通り、大宰府政庁に納めるものをしまう「屯倉(みやけ)」という倉庫があったとされており、この農場跡地がちょうどその場所に該当します。そこで遺跡などの発掘調査を行ったところ、歴史上とても重要な遺物かもしれないようなものが発見されました。そのため現在は、調査のために文化庁からストップがかかっている状態であり、しばらくは開発できません。

 一方で、この農場跡地を通る都市計画道路「福岡県道24号福岡東環状線」の整備計画もあります。こちらも現在は文化庁との協議のためにストップしている状況ですが、方向性が見えてきており、先行して開通すると思われます。

子育て・教育環境や防災面の充実を

 ――2025年の国勢調査で人口5万人達成を見込まれているとのことですが、粕屋町の将来については、やはり市制施行を目指されているのでしょうか。

 箱田町長 人口が5万人を超えても、市制を施行する・しないは自由です。まずは、メリット・デメリットを含めた“市制とはどういうものなのか”の研究を行いたいと思っており、役場内でも若手を中心として研究グループを組織しています。そのため、市制を目指すのではなく、市制を見据えながら、いつでも施行できるような基盤整備を行っていきます。差し当たっては、粕屋町のこれからの都市の在り方のプランとして、10年計画で進める「都市計画マスタープラン」の新しいものを2020年に策定しますが、今後の市制施行の可能性もにらんだうえで、きちんとした都市政策のプランを練っていきたいと考えています。

 ――今後、粕屋町が目指していく方向性について、箱田町長の考えをお聞かせください。

 箱田町長 これから日本全体が人口減少社会に突入していくなかで、行政としても昔のようにハード面の“箱モノ”ありきではなく、住民の幸福度の追求が一番重要になってくるだろうと思います。たとえば子育てがしやすい環境や教育環境の充実などもあるでしょうし、これから先は住民の高齢化にともなって、買い物難民のための交通手段の確保も必要になってくるでしょう。行政として、そうした住民の住みやすさに関する課題には、1つひとつ丁寧に対応していきたいと考えています。

 また、近年は日本全国で大規模な自然災害が頻発しています。そのため、河川の改修や防災拠点の整備などのハード面だけでなく、町民への防災意識の啓発などソフト面も含めて、住民の安全・安心のための災害に強いまちづくりも進めていかなければなりません。

 このように、住みやすさを中心とした住民の幸福度を追求しながら、これまで以上に町民の皆さま1人ひとりと向き合い、地域の力を結集したまちづくりを進めていきたいと思います。

【坂田 憲治】

<プロフィール>
箱田 彰(はこだ・あきら)

1954年4月、粕屋町出身。福岡高校、中央大学を卒業後、79年に粕屋町役場に入庁。収納課長や経営政策課長を経て、2013年4月から15年11月まで副町長を務める。18年9月に粕屋町長に初当選し、現職。

▼関連リンク
【進化する粕屋町】利便性と居住環境の良さにより、人口が増え続ける粕屋町

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