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2019年05月24日 07:00

中国経済新聞に学ぶ~「パパと結婚するのをやめて、大学に進んで」(後)

母親が背負うべきものとは?

 「君に休みを取る必要があるのか?」

 これは映画「半辺天」インド編のヒロインであるインド人の専業主婦が1カ月の休暇を取りたいと言い出した時に、仕事に忙しい夫が顔を上げて問い返してきた言葉だ。

 彼女は、思わずムッとしたように、「私に休みは必要ないっていうの?あなたたちの面倒を見る以外に、私には自分自身の時間は必要ないということ?」と反論した。

 このインド人夫妻が交わすやりとりは、わたしたちの日常でも身近に生じている類のものだ。

 なぜ慌てて母親になる必要がないのかとするのは、どうして母親はこれほど多くの責任を負わなければならないのか、そして一体誰がこうした母親を「解放」してくれるのかといった問題をまずは解決しなければならないからだ。

 これはまたイプセンの「人形の家」に関して魯迅が問いかけた「ノラは家出してからどうなったか」という問題にも関わってくると言える。魯迅はこれについて、「独立する意識しかなく、独立した経済力が無かった場合、家を出たノラには2つの道しかないだろう。堕落するか、そうでなければ家に帰るかだ」との見解を示している。

 現代のノラには、経済力がある。しかし直面する問題もより多い。この問題が最初に提起されてから100年近く経った現在でさえも、答えはまだはっきりと出ていない。

 「半辺天」中国編では、ひとつの答えが模索されている。それは自分で自分を「解放」するという答えだ。映画で、母親は料理人との再婚を願ったが、娘から反対される。なぜなら娘にとっては料理人という職業が、院士である実の父親とはあまりにもかけ離れていると感じたからだ。

 しかし、母親は、自分は料理人と一緒になって初めて本来の自分に戻ることができると主張する。前夫との生活では、母親は相手に合わせるしかなく、自分を押し殺して控えめに生きてきた。娘もまた同様の問題に直面しており、他人からはとても優秀で、仕事でも順調に昇進していたが、彼女の日々は毎日が緊張の連続だった。最終的に娘は母親の再婚に同意しただけでなく、自分も本当に好きな仕事に就いた。

なぜ母親になるのか?

 なぜ母親になる必要があるのか?子供が好きだから、という人もいれば、子孫を残したいという人もいる。両親に催促されたという理由の人もいれば、子供に老後の面倒を見てもらうため、という人もいる。

 またなかにはビジネスキャリアを理由に子供を産む人もいる。職場では、既婚で子供のいない男性に比べ、同じ状況の女性は、より悪しき立場に置かれやすい。特に一定期間務めあげて仕事でボトルネックに直面し、転職したいと思ったとき、彼女たちがまず考えるのは、子供を産むことだ。

 では一方で、母親になることをためらう女性は、一体何をためらっているのだろうか? 青青さんは今年結婚したばかりだが、子供をもつかどうかについて、まだ夫と合意に達していないという。結婚前、2人はこのことについて何度も話し合った。夫は、「今年結婚したから、来年には子供をもってもいい」考えていた。

 しかし青青さんは、「自分に決定権があるなら、産まない選択をする。子供を産み育てることは、心身ともに疲れるだけでなく、スタイルは悪くなるし、さらに重要なのは暮らしの中心がすべて変化してしまうこと」としている。

 これまで、彼女は大学院博士課程受験のための準備をしてきた。合格した場合、子供を産むとさらに面倒が増える。しかしその一方でこの問題は彼女1人で決定できる問題ではないことは青青さん自身も十分理解している。

 また、なかにはディンクス(子供をもたない共働き夫婦)を選択する人もいる。経済的条件が不安定で、子育て費用をまだ貯めていないからという人もいれば、まだ母親になる準備ができていないからという人もいる。それだけでなく「子供が母親にとってどんな意味があるのか?」「私は良い母親になれるのだろうか?」「子供を産んでから後悔しないだろうか?」と思い悩む人もいる。

 女性が母親になることについて見せるためらいを「エゴ」や「わがままな甘え」とみなし、「誰もがみなやってきたことなのに、なぜ貴女だけが耐えられないのか?」とする人も一部いる。

 しかし母親になる前に、まずやらなければならないのはしっかりとした自分を作り上げることだろう。焦って母親にならないことは間違いかと言えば、そうとも限らない。なぜならしっかりした母親になれないことの方がむしろ間違いだといえるからだ。

(了)


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