2024年05月02日( 木 )

大規模プロジェクトが目白押し 変化が著しい東部エリア

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市内で最も多い人口抱える 都心部のベッドタウンエリア

 福岡市7区のなかで、北東部に位置する福岡市東区。面積では早良区(95.87km2)、西区(84.17km2)についで3位の広さ(69.36km2)だが、隣接する糟屋郡の新宮町、粕屋町、志免町などとともに市内都心部に対してのベッドタウンとしての位置づけが強く、福岡市内で最も多い30万3,941人の人口(住民基本台帳人口・2016年9月現在)を抱える行政区である。また、博多湾に浮かぶ人工島「福岡アイランドシティ」を始め、九州大学箱崎キャンパス跡地など大規模な開発プロジェクトを多く有しており、市内でもとくに変化が著しいエリアでもある。

 区内の小学校区別の世帯数および人口(17年9月末現在)では、松島校区が9,326世帯・1万8,627人でトップ、ついで香住ケ丘校区の9,042世帯・1万7,913人、名島校区の7,322世帯・1万6,398人と続く。比較的若い世代の転入者が多く、ファミリー向けの中高層集合住宅やワンルームマンションの立地が進む松島校区のほか、海に面する緑豊かな良好な住宅地が広がる香住ケ丘校区、国道3号線や同バイパスなどの主要幹線沿いに住宅地が広がる名島校区など、人口上位の校区はいずれも古くからの住宅地。一方で、近年開発が進んでいるのは、千早駅周辺やアイランドシティなど、比較的新しく誕生したエリアが主となっている。

都市機能の拡充進む「アイランドシティ」

アイタワー(左)とアイランドタワースカイクラブ(右)

 1994年から埋め立てが進むアイランドシティでは、05年12月から「照葉のまち」への入居が開始され、07年4月の照葉小学校の開校にともない新たに「照葉校区」が誕生。翌08年4月には照葉中学校も開校し、福岡市初の施設一体型小中連携教育校「照葉小中学校」がスタートした。14年11月には中央区唐人町から移転した「福岡市立こども病院」が開院したほか、15年8月には九州最大級の24時間営業のスパリゾート施設「照葉スパリゾート」が、16年2月には福岡市新青果市場「ベジフルスタジアム」が開業するなど、年々目に見えるかたちでまちづくりが進行。中央部に位置するアイランドシティ中央公園(05年開園)および一体的に整備された「グリーンベルト」により緑地空間が創出されているほか、マンションや戸建住宅、商業・娯楽施設などの開発が相次ぎ、都市機能の拡充が進んでいる。

 そのアイランドシティのなかでも、一際目を引くのは、福岡市内ではあまり目にする機会のない超高層マンションの存在だ。現在、島内には「アイランドタワースカイクラブ」(08年8月竣工)と「アイタワー」(16年3月竣工)の2つの超高層マンションがそびえ立っているが、それに加えて現在、3つ目の超高層マンションとなる「センターマークスタワー」の開発が進んでいる。

 「センターマークスタワー」は、西日本鉄道(株)、三菱地所レジデンス(株)、京阪電鉄不動産(株)の3社が建設中の、地上46F、高さ152m、総戸数283戸の超高層分譲マンションで、設計・施工は(株)竹中工務店。竣工は19年2月下旬を予定している。同物件の最大の特徴は、安心の住環境とバス交通拠点が一体となっていることが挙げられる。敷地内にはバス営業所を新設して交通利便性を向上させるほか、街区内にはテナントゾーンやコミュニティセンター、多目的ホールなど、多世代交流をコンセプトにしたタウンマネジメントを計画。福岡市が策定した「“超高齢社会対応型”健康ネクストタウン計画」を基に、充実したライフサポートの提供や生活利便施設、交通利便性の向上が図られている。

 アイランドシティでは今後、第一交通産業(株)による「アーバンパレス照葉」(320戸、18年4月ごろ着工予定)といった大型マンションのほか、商業・宿泊の複合施設「(仮称)ぐりんモール」の誕生や「(仮称)福岡市総合体育館」の開館、さらには19年春には新設小学校「照葉北小」の開校なども予定。さらには福岡高速6号線の延伸も計画されている。

博多バイパス開通間近 開発進む千早エリア

千早駅

 東区内でほかに、開発が活発なエリアの1つが千早エリアだ。同エリアでは、93年度より始まった「香椎副都心土地区画整理事業」により、JR香椎操車場跡地を含めた66.3haのエリアにおいて、JR鹿児島本線および西鉄貝塚線の高架化や新駅の設置なども含めた副都心形成に向けたプロジェクトが進行。道路などの都市基盤が整備されたほか、中高層住宅や商業施設などの立地が進み、エリア内の千早校区では15年までの10年間で人口が倍増している。とくに、JRと西鉄とが相互乗り入れしている「千早駅」の駅前での開発が活発で、「NTTドコモ九州香椎ビル」(03年6月竣工)や「プレミスト千早タワーツインマークス」(11年9月竣工)などの高層ビルが並ぶほか、16年6月には、東市民センターや東図書館、千早音楽・演劇練習場、千早証明サービスコーナーの機能をもつ複合施設「なみきスクエア」がオープン。福岡市における東の副都心としての進化を続けている。さらに千早駅の南側では現在、18年3月の全線開通を目指して、国道3号線の「博多バイパス」の工事が進んでいる。同バイパスの全線開通により、国道3号線の交通混雑の緩和による通勤や買い物などの暮らしの快適性向上に加え、生活道路の安全性の向上、業務・物流の生産性向上などが期待されており、今後はバイパス沿線も含めて、さらなる都市開発が進んでいくと見られる。

 東区ではそのほかにも、九州大学・箱崎キャンパス跡地再開発といった、福岡市都市圏における一大再開発プロジェクトが控えるほか、香椎駅周辺や香椎浜エリアなどでも都市再開発の動きが活発だ。今後も東部エリアは隣接する新宮町などの周辺部も含め、都心部のベッドタウンとしてだけではなく、新たな都市の一部としてさらなる変貌を遂げていくだろう。

【坂田 憲治】

 

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