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2019年06月02日 07:00

HC市場規模の比較とDIYの現状 背景にある日米のライフスタイルの違い(3)

情報発信の違い

お客は楽しい売り場を求める

 日本のHCとアメリカのそれとの違いはホームページ(HP)を見ると明らかである。まず、何といってもその楽しさである。アメリカのHCのHPには予算と時間に合わせてDIYを楽しむための情報があふれている。

 その特徴はモノを売るに加えて『コト』と『スタイル』を売るというやり方である。そこにはアマチュアだけでなく、プロフェッショナルにとっても大いに価値のある提案やデザインがこれでもかという具合に詰め込まれている。さらに商品案内、作業アドバイスなど、その顧客アプローチは日本のそれとは明らかな差がある。アメリカのHCはまさに至れり尽くせりなのだ。

 それができるのは顧客が何を求めているかを追求し、それを満たすとともに、その先のニーズや楽しさも考えてHPを構成しているからだ。プロでもアマチュアでもお客はそれを見てさまざまな情報を手にすることができる。

永遠に通用する経営モデルはない

従来型チェーンストア理論の終焉

 より多くの店を出店し、より多くの商品を売ることでメーカーや問屋に影響を与え、さらなる優位な条件を獲得して、ますますその力を強化するというのがチェーンストアの基本である。しかし、この基本が最近急激に変わり始めている。より多くの商品を売るということは同じだが、違ってきたのは多くの店を出すという部分だ。

 業態に関わらず、出店が止まりつつあるのだ。HCも例外ではない。逆に目立ってきているのはチェーンストアの閉店だ。より広く、よりたくさん、より大きくというチェーンストア理論で成長し、世界中から多くの見学者が訪れた有名小売業が今や多数の店舗の閉鎖を余儀なくされている。GAP、メイシーズなど専門店、百貨店、総合スーパーとその顔触れは多様だ。トイザらスのように全米735店舗を閉鎖してその姿を消す企業も少なくないのである。リアルからEC(電子商取引)という変化は業態の境目も消し去ろうとしているのだ。

選択の違い

 九州に11店舗を展開するハンズマンは女性や若い家族にも人気が高い。これはHCには珍しいことだ。入店口の店頭には輸入枕木、レンガ、そのほかの庭つくり用のグッズを並べ、入り口にはアウトドアガーデン関係のグッズや花、苗などを季節に合わせて楽しく展開し、それにつながるインドアガーデンの鉢植えやフェイクプラントも品ぞろえが多彩だ。

 ハンズマンの品ぞろえは決して効率的とはいえない20万品目。しかも商品はバーコード管理をしておらず、常識的に見れば無謀に近い。その理由は機械的管理ではなく、人的管理によって従業員に、より商品を知ってもらうためだという。

 バーコード管理はあらゆる業界で今や常識だ。それは商品の流れや在庫状況の把握に欠かせない。だが、そこには人を介した顧客の要望や意思は含まれない。客の店や商品に対する意思や要望を確認するには、従業員が商品を介して客と直接会話する必要がある。データと利便性が客を見えなくするという考え方だ。そのために、あえて非効率な人的商品管理と面積あたりの従業員の増加という時代と逆行する方法をとっているのだ。

 そんなハンズマンは基本的に「客の要望はたいていのことを受け入れる」ことにしている。店内に入ると天井がとてつもなく高いことに驚く。その壁面に天井の高さを利用し、売り場案内を兼ねる商品の実物を用いたパネル状のデコレートが壮観だ。

 品ぞろえ、店舗、売り場づくりのいずれもが、どう見ても効率化とは程遠い。だが、20万品目の品ぞろえは見応えがある。いわゆる「非効率の効果」だ。

(つづく)
【神戸 彲】

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)

1947年、宮崎県生まれ。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。

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