小水力発電がつなぐ地域コミュニティの未来
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年03月05日 09:01

小水力発電がつなぐ地域コミュニティの未来

(株)リバー・ヴィレッジ

 九州大学工学研究院流域システム工学研究室を前身とする(株)リバー・ヴィレッジ。九州大学の卒業生を中心とする7人が、研究成果の実社会における活用と持続可能なコミュニティ形成に挑む。キーワードは「小水力発電」だ。

小水力発電で始まる地域再生

(株)リバー・ヴィレッジ 村川 友美 代表

 (株)リバー・ヴィレッジが提案する「小水力発電」は、地域固有の資源である「水」を生かしたエネルギー創出。ダムや土地の大規模な開発を必要としない小規模な水力発電は、地域の水資源を効率的に活用できる自然エネルギーだ。発電量が小さくても、低コストで実現できれば、地域に根ざした自然の恵みを地域で開発できるというところが最大の魅力だ。
 小水力発電事業において重要なのは、事業性の正確な評価だ。使用水量が確実に確保できるか、利用する水量や事業目的に、地域住民からの賛同は得られているか―。だからこそ調査・設計を慎重かつ確実に行い、関係者と丁寧に調整を進める必要がある。

 「水利権(※)を始めとする法的手続きや関係各所との調整など、1つの案件に5年以上かかるケースも珍しくありません。要になるのは適切な事業性評価です。私たちは10年後、20年後も継続可能な事業として地域の役に立つのか―その視点を大切にしています」(村川代表)。
 同社の丁寧な仕事ぶりに対する、地方自治体からの信頼は厚い。設立からわずか5年で、長期プロジェクトである小水力発電事業を10件以上(進行中のものも含む)も手がけている。精力的な活動を支えるのは、地域コミュニティに対する思いだ。

 「若年層の流出などにより、過疎集落化する市町村が相当数あります。小水力発電の設置を契機に地域住民が事業主となり、地元で雇用を生み出し、若者が故郷に残れるようにする。私たちが提案するのは小水力発電というモノではなく、過疎集落再生までを見据えたプロセスなのです」(村川代表)。

【代 源太朗】

※水利権
特定の目的のために河川の流水を排他的・独占的に利用する権利

白糸の滝Project

白糸の滝

 観光地として全国的に知名度がアップしている福岡県糸島市。同市の観光名所「白糸の滝」でも、同社提案の小水力発電所が稼働し、地域のエネルギー自給に貢献している。

 「このプロジェクトは、九大と糸島市の連携事業として始まりました。白糸の滝の最盛期は夏ですが、冬も営業しているので一定の電力需要があります。白糸は水を生かし、水にこだわってきた地域です。河川を活用した小水力発電による電力の自給自足は、地域特性との親和性も高かったと思います。白糸では住宅約10軒分相当の電力(設備容量:15kW)を生み出しています」(村川代表)。

 白糸の滝プロジェクトは反響を呼び、地方自治体や民間組織による現地視察も多い。
 「今後は地方自治体に加え、民間組織とも連携を深め、より横断的に地域コミュニティの再生に取り組んでいきたい」と意気込む村川代表。2015年12月には、エフコープ生活協同組合と共同でSeeds of energy有限責任組合を設立。再生可能エネルギーを活用した地域づくり支援事業などに取り組んでいる。そんな同社の存在は、すでに民間組織からも注目され始めている。

 「地域でのエネルギーの開発と消費という暮らしの新しい基盤づくりを通じて、人口減少・競争激化が進む社会で、1つでも多くの自立可能な集落や地域をつくり出していく。私たちは、営利企業という既存の企業観を超え、地域コミュニティを次世代につなげていくための仕事をしていきます」(村川代表)。

 九州大学発のベンチャー企業は今、社会に真に求められる新鋭企業として飛躍の時を迎えている。

白糸の滝 小水力発電PJ

白糸の滝小水力発電所

 糸島市と九州大学の連携事業として2011年より始まった『白糸の滝1、2、3夢プロジェクト』。ステップ2の発電所は、設備容量15kWで、クロスフロー水車・ペルトン水車の2タイプの水車を見ることができる。発電した電気は、白糸の滝にある食事処で利用し、余った電力は九州電力へ売電している。

設置場所:福岡県糸島市白糸
期 間:2011~2014年
業 務:流量調査、基本設計、プロジェクトマネジメント

ほかにもまだある!地域再生の実績

事例)宮崎県のとある地域
 同社が小水力発電所設置にともなう調査・設計、権利調整などを手がけ、高い事業性評価を得る。事業主となるのは高齢の地域住民だったが、1億円の融資を受けた。
 小水力発電所の運営を通じて電力の自給と余剰電力の売電を実施。売電による地域の収入は1,300万円/年に上る。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:村川 友美
所在地:福岡市西区今宿1-20-16
リサーチラボ:九州大学伊都キャンパス内 ウエスト2号館10F 1008室
設 立:2013年10月
資本金:1,000万円
URL:https://www.ri-vi.com

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年07月19日 17:44

ザ・ビッグ久留米すわの店オープン ドミナント強化へNEW!

 マックスバリュ九州(株)(本社:福岡市博多区、佐々木勉社長)は19日、福岡県久留米市に「ザ・ビッグ久留米すわの店」をオープンした。

2019年07月19日 16:59

M&Aブームに陰り?世界的にM&Aによる減損が拡大

 世界的に活況を呈しているM&Aだが、中国においても例外ではない。2015年前後、中国当局は金融緩和、規制緩和を実施。その結果、M&Aブームが起こることとなった。

2019年07月19日 16:54

モデルハウスで民泊収入~モデルハウス民泊運用プロジェクト説明会&セミナー開催

 建築業界専門のホームページ制作などを手がける(株)D-gripシステム(東京都新宿区)を中心とした9社による「モデルハウス民泊運用プロジェクト」の説明会とセミナーが...

2019年07月19日 15:23

ドラッグイレブンPRALIVA(プラリバ)店、26日(金)にオープン

 JR九州ドラッグイレブンは26日(金)に「ドラッグイレブンPRALIVA(プラリバ)店」を福岡市営地下鉄西新駅直結の商業施設「PRALIVA(プラリバ)」の地下2階...

2019年07月19日 15:00

令和で最初(福岡労働局管内)のユースエール認定

 (社福)信愛会(糟屋郡篠栗町)が6月20日にユースエール認定を受けた。福岡労働局管内では2019年(令和元年)度で初の認定となる。

2019年07月19日 14:38

宗像市の塗装業者を排除通報 代表者が暴力団と密接交際

 福岡県警は7月18日、福岡県宗像市田熊の塗装業者「森下悟塗装店」(森下悟代表)が指定暴力団神戸山口組系組員と密接に交際していたとして通報した。

2019年07月19日 14:09

「アルゾひびきの店」9月オープン 万惣が九州4号店

 万惣の「アルゾひびきの店」は9月オープンの見通しとなった。九州では飯塚、甘木、吉野ヶ里店に続く4号店。大和ハウス工業子会社の建設した2階建ての建物の1階に出店する。

2019年07月19日 13:35

ドンキ福重店、開店から1カ月 「遊び心」で客つかむ

 MEGAドン・キホーテ福重店(福岡市西区)がオープンして1カ月余りの17日午後、同店を訪れてみた。業績不振のユニーを繁盛店に蘇らせたというだけあり、ダイエー・イオン...

2019年07月19日 11:46

アンチ・エイジングからリバース・エイジングへの発想転換(後編)

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から...

悪魔の消費税増税に警鐘鳴らす株式市場

 反ジャーナリストの高橋清隆氏が指摘するように、マスメディアが日本をダメにしている元凶である。2001年の小泉純一郎内閣誕生のころから、この傾向がとりわけ顕著になって...

pagetop