2024年03月29日( 金 )

消費税増税是非問う参院選なら野党連合圧勝も

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、もし安倍内閣が消費税増税断行の旗を掲げるなら、反安倍勢力が大同団結して対応すべきだと訴えた6月11日付の記事を紹介する。


 安倍内閣が夏の国政決戦について、参院選単独実施とする方針を固めたと報じられている。通常国会は延長せず、6月26日に閉幕されることになる。国会は開店休業状態であり、国会議員に対する歳費は過大である。国会議員の歳費を大幅に引き下げることを検討するべきだ。

 国会議員の人数を絞るのではなく、1人当たりの歳費を抑制するべきだ。国会議員を営利的な職業にしてしまっている者が多い。なかには、政務調査費や交通通信費を不正受給し、公費で私腹を肥やす行為に進む者さえいる。刑法上の背任や詐欺に該当する悪質事例も散見される。このような者を国会から排除することが必要である。

 安倍内閣が消費税増税を凍結して衆参ダブル選に突き進むなら、安倍内閣与党が国会多数議席を占有してしまう可能性は低くないと考えられる。安倍内閣が消費税増税を凍結してしまう、あるいは、消費税減税にまで踏み込むと、野党の主張の比較優位が消えてしまうからだ。

 参議院では曲がりなりにも共闘体制が構築されつつあるが、衆院の候補者調整はまったく進んでおらず、この状況下で衆参ダブル選が実施されれば、野党の惨敗も懸念される状況にあった。とはいえ、安倍内閣から正式の発表があったわけではないから、意表を突く衆院解散の可能性を否定し切るべきではない。

 2019政治決戦の帰趨を考える限り、消費税増税強行=参院選単独実施の方が、野党にとってははるかに好都合である。敵を油断させて意表を突く策略が張り巡らされている可能性に警戒が必要だ。

 安倍首相が消費税増税強行=参院選単独実施の腹を固めたとするなら、その背景に財務省による脅し=ブラフがあったと見るのが適正だろう。安倍首相は2017年2月17日の衆院予算委員会で、森友疑惑に関して、「自分や妻がもし関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」と明言した。しかし、その後に明らかになった事実は、安倍首相夫人の安倍昭恵氏が、森友学園の国有地激安払い下げ事案に深く関わっていたというものである。

 この点について、財務省および近畿財務局関係者が、事実をありのままに明らかにしていたなら、安倍首相は総理大臣も国会議員も辞めなくてはならない状況に追い込まれていたと考えられる。この状況はいまなお変わらない。

 財務省から真実の事実関係が暴露されれば、安倍首相は厳しく責任を問われることになる。この問題があり、財務省は安倍首相に揺さぶりをかけてきたのだと考えられる。この問題がなければ、安倍首相が選挙での敗北のリスクを冒して、消費税増税に突き進む妥当な理由が見当たらない。

 あえて可能性を挙げるなら、安倍首相が首相辞任の腹を固めており、安倍内閣のレガシー(遺産)として、消費税率を5%から10%に引き上げたという歴史事実を後世に遺すことを意図しているというものだ。

※続きは6月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「2019政治決戦で安倍内閣与党を必ず打ち破る」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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