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2019年06月15日 07:00

ますます加速するシニアシフト 変化に対応し、価値を創造することが重要(中)

超高齢化社会を見据えマルチ対応で進化

 こうした一連の取り組みは、シニアを意識しながらも、単身者や若い女性も想定したマルチ対応となっており、幅広い需要を取り込むことに成功している。

 高齢者に便利なサービスも展開し取り込みを図っている。弁当、総菜、飲料など商品を届ける「セブンミール」は、500円以上購入すると無料という手軽さで利用が増えており、60歳以上の利用が6割を超えている。高齢者の自宅に商品を届けることで、安否確認にもつながることから、見守りサービスなどで自治体と協定を結ぶケースも出てきた。

 商圏人口が少なく出店が難しいエリアでは、高齢者を中心にした買物難民救済策として、移動販売サービスを展開しており、老人ホームなど高齢者施設に出向く出張販売も実施しているケースもある。

 シニアの健康を守る取り組みも展開されている。ファミリーマートはドラッグストアと一体型の店舗を出店、管理栄養士や栄養士が常駐し地域住民の栄養ケアを行う「栄養ケア・ステーション」を設置し、地域住民の健康相談に対応する店舗もある。同社やローソンは調剤薬局を併設したタイプの店舗も展開する。

 「ケアローソン」は介助事業者と連携し、店内に高齢者の家族に向けたケマネージャーが常駐する介護窓口を設け、介護関連商品の取り扱いを行う。さまざまな世代が交流できる「サロンスペース」もあり、シニア向けのイベントを開催するなど、地域のコミュニティ機能もはたしている。

 セブン‐イレブン・ジャパンでは、今後取り組むべき重点課題の1つとして、「高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供」を挙げている。コンビニを拠点に今後もさまざまなサービスが導入される可能性は高く、コンビニがシニア御用達の店舗としてさらに進化していくことは確実だ。

健康をサポートし新たな市場を創出するドラッグストア

 ドラッグストアもシニアの取り込みに力を入れている。端的な例が調剤薬局の導入。調剤機能を備えた店舗は増加の一途をたどっている。業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)によると、ドラッグストアの調剤の売上は全体の約13%だが、今後は20~30%程度まで伸びると予測している。

業界トップのウエルシアホールディングスの売上はすでに1,000億円を超え、大手調剤薬局チェーンに割って入る存在に成長している。

 JACDSでは、単に医薬品や日用品や食品を販売するだけではなく、「街の健康ハブステーション構想」を掲げて、地域と生活者に頼りになる、身近で手軽に、何でも相談でき、顧客の悩みを解決する、新たな役割を目指そうとしている。そのために、「次世代ドラッグストアビジョン」を設定し、コンサルティング機能や健康測定器を備え、健康や介護などに関する情報提供を行い、商品構成も新たにした、「健康サポートドラッグ」を認定し、店舗を増やしていく考えだ。

 「コンシェルジュマスター制度」も導入し、健康や食、栄養、病気予防などのコンサルティング機能を拡充していこうとしている。薬剤師や登録販売者だけではなく、ヘルスケアや漢方などのアドバイザーの育成に力を入れ、今年5月からはスマートフォンからも相談を受け付ける。

 とくに意識しているのが高齢者で、適切な情報を提供し、地域包括ケアシステムとも連携して支援していく考えだ。(株)スギ薬局の子会社のスギメディカル(株)は、すでに、訪問介護と居宅介護支援を中心としたサービスを、東京、大阪、名古屋で提供するなど事業として取り組んでいる。

 自分の健康は自分で守る「セルフメディケーション」の普及にも力を入れており、かかりつけの医者と同じく、かかりつけ薬局としての役割も果たそうとしている。

 医食同源という言葉があるように、健康と食は切っても切り離せない。健康を意識した食への取り組みを強めている。

 食と健康に関わるカテゴリーの育成と新しい売り場づくりにも取り組むため、地域や生活者の健康づくりを支援する「食と健康」をテーマにした商品構成を考えるプロジェクトチームを発足させた。今年2月から4店舗で実証実験を開始し、6月には売り場づくりの指針となる運営マニュアルを作成し、加盟各社に配布していく予定だ。

 こうした取り組みにより、健康サポートドラッグ機能を高め、ドラッグストア独自の新しい市場を創出し、シニアの需要も取り込みながら業界全体の成長にもつなげていく。現在、市場規模は約6兆9,000億円だが、2025年には10兆円産業を実現させる計画だ。

(つづく)
【西川 立一】

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