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2019年06月25日 16:15

シリーズ・消えた「流通企業」 日本から消えた海外勢~テスコ、カルフール、ブーツetc

 「ジャパン アズ ナンバーワン」と持て囃された1980年代。海外企業にとって日本は天国のような豊かな国に見えたのかもしれない。

 ブッシュ大統領が、非関税障壁の代表として我が国の大店舗法を槍玉にあげ、「トイザらス」を強引に進出させたのが1991年のこと。その後、続々と外資企業が日本上陸をはたすが消えていった企業も多い。

 もともと、小売業の国際化はほかの産業と比べて難しいとされてきた。その理由は簡単で、顧客である国民文化(とくに食文化)と商慣習の違いからである。

 流通先進国といわれてきたアメリカでさえも、かつてカナダやオーストラリアなど、比較的国民性が近い国々に進出したが失敗に終わっている。

 ところが、1980年代後半からヨーロッパのカルフール、オーシャンなどが米国市場に参入すると様相は激変する。衣・食・住をそろえたフルライン型低価格店舗(ハイパーマーケット)が国境を超えてアメリカ国民に受け入れられたからである。

 これはEDLP(エブリデー・ロープライス)政策と呼ばれ、ウォルマートが食品も取り扱うハイパーマーケットを開発した経緯となった。欧州小売業のアメリカ戦略は、結果的には失敗に終わるが、その後の小売業の国際化に大きな影響を与える。

 とくに東南アジアにおいては欧米小売業の草刈り場となった。引き金は1997年のアジア通貨危機。国家的な金融危機に陥った韓国、タイなどの東南アジアは、小売業がバタバタと倒産し壊滅状態になった。

 そこに進出したのがウォルマート、カルフール、メトロなどの欧米小売業者たち。自慢のEDLPを武器に、インフレに悩む消費者たちのハートをがっちりつかみ躍進した。時に東南アジアは世界の最新業態が一目で見られる先端エリアになった。

 しかし、我が国は事情が異なった。それは大店舗法という壁があったからだ。海外企業から見れば厄介な法律で、冒頭にも記したようにアメリカなどは、強引にこじ開けた観がある。

 その後、続々と日本進出を図るが、主だった企業は数年で撤退した。代表的な例は仏カルフールだ。

 イオンの本拠地である千葉・幕張に第一号を出店、その後、数店舗を出店するが、メーカーとの直接取引がうまくいかず、5年後に撤退、残った店舗は皮肉にもイオンが引き取った。

 これと同じく、強烈なインパクトを与えたのが、英テスコ。

 シートゥーネットワークを買収し、日本市場に参入したが、テスコにとっては、得意の顧客データ分析を行うには規模が小さすぎた。思うような展開ができずに、やはり6年後に撤退している。

 そのほか、英国のドラッグストアであるブーツも商社経由で、日本に上陸するも、すぐに本国に引き引き返した。また、変わり種では香港のスーパーマーケットであるデイリーファームは西友と業務提携するも、日本の税金の高さに驚き、撤退したケースもある。

 もちろん、IKEAやコストコなど、日本市場でも確実に消費者を捕まえて成功している企業もあるが、ウォルマートなど、撤退か残留かの話題に事欠かない外資企業も少なくない。

<主な海外企業の日本参入と撤退>
1991年12月 米 トイザらス    参入
1995年   香港 デイリーファーム参入
1999年 4月 米 コストコ     参入
2000年12月 独 メトロ      参入
2000年12月 仏 カルフール    参入
2001年 7月 英 ブーツ      参入
2002年12月 米 ウォルマート 西友提携
2003年 3月 英 テスコ      参入
2005年 3月 仏 カルフール    撤退
2009年 5月 米 オフィスデポ   撤退
2011年 8月 英 テスコ      撤退

(つづく)
【高谷 智】

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