19日午後5~6時頃(以下、現地時間)、台北市中心部の地下鉄台北駅構内と中山駅付近で殺傷事件が発生。発煙筒を投げた後、戸惑う市民を無差別に刃物で襲い、市民3名が犠牲となり、11名が負傷、容疑者はビルから飛び降り亡くなった。容疑者は7月に兵役妨害処罰条例違反で指名手配されており、警察の調査では事前に犯行計画を練っていたとされる。
現場は日本人の観光客も駐在員などの在住者も多いエリアの1つ。台湾に出張中であったこともあり、容疑者死亡が報じられた後の同日夜に中山駅、翌日に両方の現場を訪れた。
19日午後10時頃、中山駅の構内には普段見かけない警察官が複数名立っていた。事件現場では規制線がすでに撤廃されていたが、警察、メディア、そして市民が集まっており、大きな事件が起きたことを実感させた。
翌20日午前9時頃に中山駅を訪れると、現場に数束の花が供えられていた。その後も多くの市民が花を供え、午後4時頃に再び訪れると花が数十束に増えていた。同午後10時頃に台北駅構内の現場付近を訪れると、同様に数十束の花が供えられていた。どちらにも、容疑者を止めようとして犠牲となった被害者を英雄として惜しみ、讃えるメッセージなども見られた。
台湾ではこうした殺傷事件は比較的少ないとされる。類似の事件としては、2014年に台北の地下鉄車内で男性が乗客を無差別に切りつけ4人が死亡した事件がある。市民、現地在住の日本人数名に印象を聞いたが、一様に驚いていた。ある市民は、台湾では日本ほど自殺率は高くないと話し、個別の事件として捉えている様子であったが、今後同じように社会への恨みを抱く模倣犯による事件が起きないことを望みたい。

【茅野雅弘】
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