2024年04月26日( 金 )

LIMEXで「素材革命」を起こせるか?(後)

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LIMEXによる紙代替製品

循環型まちづくりにも参加

 今年5月、SDGs未来都市の神奈川県とTBMの連携のもと、「かながわアップサイクルコンソーシアム」が発足。循環型まちづくりに関する取り組みを開始した。同社はLIMEXの「アップサイクルテクノロジーセンター(仮)」の設置も検討している。アップサイクルの神奈川県モデルを構築し、全国、海外へ展開したい狙いがある。同社経営企画本部・ニュービジネスデザイナーの岡澤友広氏は「スキームをつくるのは容易ではないが、そもそもLIMEX自体が世界にチャレンジする製品だ。素材革命、サステナビリティ革命ととらえ、力を尽くす」と力を込める。

 参加団体には、22の行政、企業、団体が名を連ねる。参加メンバーは次の通り(19年5月29日時点)。

▽神奈川県
▽横浜青年会議所
▽日本青年会議所 関東地区神奈川ブロック協議会
▽神奈川県中小企業団体中央会
▽鎌倉市
▽葉山町
▽鯖江市
▽大日本印刷
▽凸版印刷
▽日本郵便(株)
▽リコージャパン
▽崎陽軒
▽三菱鉛筆
▽ニフコ
▽朝日オフセット印刷
▽大川印刷
▽ロイドレジスタージャパン
▽プロトラブズ
▽グローバルイノベーションズ
▽アクロス
▽プランティオ
▽ピリカ

 参加団体に名を連ねる凸版印刷は、「TBM様とは16年11月に共同開発の基本合意を締結し、以降LIMEX製品を商材化し販売活動を行い、昨年末には出資もさせていただいております。かねてより、TBM社の理念や企業活動に感銘を受け共創を進めてきておりますので、今回の神奈川県とのアップサイクルの取り組みへも参画させていただきました。環境配慮は我々にとっても最優先で取り組む大きなテーマですので、ともに推進していくことで、社会的価値を生み出していければと思っています」としている。

 このコンソーシアムは神奈川県内限定の取り組みではなく、全国からの参加を受け付けている。九州の自治体、民間企業に対しても、「昨今、毎日のようにプラスチックごみに関するニュースが報道されています。待ったなしの状況です。1企業、1団体、1自治体だけでは達成できないほど、大きな社会問題です 。日本の技術から生まれたLIMEXを応援いただき、ここ日本から世界に誇れるアップサイクルモデルを構築していきましょう」と話している。

日本経済牽引する新産業となるか

 世界を見れば、使い捨てプラスチックを規制する動きが強まっており、欧州議会は今年3月、使い捨てプラスチックの使用を禁止する法案を採択した。21年までに施行される見通しだ。かつて日本経済の高度成長を支えたのは、鉄鋼や繊維、化学などの素材産業だった。経済産業省は今でも「素材産業は日本のリーディング・インダストリー」と位置づけている。LIMEXは、紙やプラスチックに替わる新素材として、日本経済を牽引する新産業となる可能性を秘めている。TBMが目指す「素材革命」は決して遠い夢ではない。

(了)
【大石 恭正】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都中央区銀座2−7−17
設立:2011年8月30日
資本金:107億4480万,円
TEL:03-3538-6777
URL:https://tb-m.com/

<プロフィール>
大石 恭正(おおいし・やすまさ)

立教大学法学部を卒業後、業界紙記者などを経て、フリーランス・ライターとして活動中。1974年高知県生まれ。
Email:duabmira54@gmail.com

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