2024年04月19日( 金 )

人口だけに左右されない開発需要、2~3月のマンション供給上位3エリア

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 福岡市の7区それぞれのエリアで、今年2~3月に市に届けられた建築確認申請書を基に、福岡市内の開発状況を集計した。そこから見えてきたのは、衰え知らずのマンション供給の現状だった。

マンション開発棟数、トップは中央区

「(仮称)渡辺通り1丁目ビル」現場

 福岡市で新設予定の物件のうち、一番多い建築物はマンション。エリアごとの計画されている棟数では、東区9、博多区7、中央区14、南区5、早良区3、西区8棟となっており、一見して中央区が抜きん出ていることがわかる。

 中央区で開発予定のマンションのなかで、最も戸数が多いのが「(仮称)渡辺通り1丁目ビル」。建築物の概要はRC造の10階建て、延面積1,169.78m2のワンルーム全27戸。建築主は小川建設(株)、設計者は(有)オーケースタンダードで、2018年4月ごろ着工予定となっている。

 中央区でこれほどマンション開発が進んでいるのは、同エリアにおける人口増加が背景にある。福岡市が公表している「福岡市推計人口(18年3月1日現在)」によると、中央区の人口は19万7,460人で、全7区中5番目。単純な数だけでいえば少ないようにも思えるが、前年同月比では201人増加しており、福岡市内においては南区の232人増加に次いで2位となる人口増加数となっている。

 中央区では、エリア外からの流入による社会増加数と合わせて、エリア内の自然増加数が多いのも特徴といえる。福岡市内で、出生数から死亡数を差し引いた自然増加数がプラスになっているエリアは、東区と博多区、そして中央区の3エリアのみ。このうち、最も増加数が多いのが、プラス42人を記録している中央区である。こうした人口増加が、中央区におけるマンション開発を推し進めているといえよう。

人口最大の東区、開発ラッシュ続く西区

タワーマンション開発予定地と目されるマルタイ旧本社・工場跡地

 福岡市内で、開発戸数・開発延面積ともに最多・最大を誇る東区。開発棟数では中央区の後塵を拝しているが、1棟あたりの規模では他6区を圧倒している。

 東区の場合、市内最大の31万4,487人という人口を抱えている。150万都市福岡の維持発展に大きく貢献しており、この人口が、大規模マンションプロジェクトの提案・実行を支えている。

 なお、東区内で最も開発戸数が多いのは、「(仮称)グランフォーレ千早5丁目」。建築物の概要は、RC造の15階建てで、延面積8,812.42m2のワンルーム224戸、ワンルーム外28戸の全252戸。

 一方、開発棟数で3位となったのは西区。最も開発戸数が多い物件は「(仮称)九大元浜マンション」。建築物の概要はRC造の6階建てで、延面積2,110.22m2のワンルーム外全68戸。

 九州大学・伊都キャンパスの誕生以来続く、九州大学関係者を始めとする区外からの転入者の増加が、西区のマンション開発需要を牽引している。そろそろ一服つきそうだが、ここにきて「北原・田尻土地区画整理事業(11.8ha)」の具体的な構想(商業施設、公園、タワーマンションの整備など)も持ち上がっており、まだ当分の間は開発ラッシュの勢いは止みそうにない。

人口増加率が高いエリアで旺盛なマンション開発

 2~3月に届けられた建築確認申請書におけるマンションの合計戸数は、ワンルーム外919戸、ワンルーム797戸。2~3人以上のファミリー層をターゲットに据えたマンションが多いことがうかがえる結果となった。

 今回紹介した開発棟数の多い上位3エリアのうち、中央区と西区は、福岡市7エリアのなかでも人口の少ないエリアだ。しかし、両エリアとも人口増加数では他エリアを圧倒しているほか、「天神ビッグバン(建物の容積率・高さ制限緩和など)」や「北原・田尻土地区画整理事業」といった、まちづくりを促進させる話題を内包している。

 今後の市場展開に期待できるエリアかどうかが、マンション開発状況の結果に反映されていたといえよう。

 

【代 源太朗】

 

関連記事