2024年05月02日( 木 )

玄海原発の運転差止請求、福岡高裁で7月10日にも判決

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 福岡高等裁判所は、26日、玄海原発の運転差し止めを求めた仮処分申し立ての即時抗告について、7月10日に決定を出すと関係者に通達した。原告は佐賀の市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」で、2017年6月の佐賀地裁による決定では「運転により重大な被害が生じる具体的な危険が存在するとは認められない」として申し立てを却下されている。

 今年度に入り、安全対策の面で原子力規制員会(NRA)からの指摘が相次いでいる。いわゆるテロ対策施設である特定重大事故等対処施設(以下、特重施設)の建設の遅れが明らかとなり、NRAは19年4月に設置期限を超える原発には「稼働基準の不適合」として停止させる方針を決定。同様の建設遅れ原発に対して、期限を迎える一週間前には停止命令を出すこととした。
また、6月には関電が保有する高浜、大飯、美浜の3原発に対して設計変更命令を出し、最新の研究に基づく火山噴火リスクを盛り込むことを要求。原発事業に対して行政のチェックは厳格化している。

 上記のように安全性という面では不信感は残るものの、「具体的な危険」というには難しいことから却下される可能性は高い。原告側は取材に対し「裁判もまた地道なもの。あきらめることはないが、楽観視もしていない」と率直に述べている。

【小栁 耕】

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