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2019年07月18日 11:58

「根拠を無視した不適切な内容」~景表法違反による措置命令受けた大正製薬、消費者庁に対し法的措置も

 大正製薬は、同社が販売するマスク「パブロンマスク365」の表示について、消費者庁によって合理的な根拠がないとして措置命令を受けたことを不服とし、法的措置を検討するとともに、「消費者庁による措置命令に関する見解」として、措置命令に至るまでの消費者庁とのやりとりを公開した。

 同社は措置命令を出された経緯として、商品の表示内容に「マスクの表面に、さまざまな粒子が付着し、マスクに接している粒子が分解されているイメージ図とともに、「ウイルス」「花粉アレルゲン」「光触媒で分解」「太陽光、室内光でも」と記載した。

 また、蛍光灯やLEDなどの室内光(可視光線)や太陽光(紫外線)がマスクの表面に当たることにより、ウイルス、細菌、花粉アレルゲン、臭いの粒子がマスクの表面に付着し、分解されている「マスク表面での反応」と題するイメージ図とともに、「〈V-CAT〉は、太陽光(紫外線)のみならず、室内光(蛍光灯やLEDなど)でも高い分解反応を発揮する優れた光触媒、ウイルスや細菌はもちろん、花粉アレルゲンや臭いも分解し、除去します」と表示した。

 これに対し、消費者庁は、景品表示法に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求めた。同社は複数の第三者機関が実施した試験の結果を消費者庁に提出したが、消費者庁は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものではないと判断。景品表示法に基づく措置命令を出した。

 同社が提出した効果を証明する合理的な根拠となる資料は、(1)抗ウイルス試験として、マスク片にA型インフルエンザウイルス(H1N1)懸濁液を添加し、一定時間光を照射したところ、ウイルスが分解され、その99%以上が不活性化した、(2)アレルゲンに対する試料の反応試験で、マスク片にスギ花粉粗抽出液を添加し、一定時間光を照射したところ、スギ花粉アレルゲン(Cry j 1)が分解され、その濃度は98.8%以上低減した、(3)抗菌性試験でJIS R 1702(ファインセラミックス-光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)が定める試験方法に基づき、マスク片に黄色ぶどう球菌懸濁液を添加し、一定時間光を照射したところ、黄色ぶどう球菌が分解され、JIS R 1702が定める抗菌効果が確認された―の3試験による資料。このデータを基に、「マスクが光触媒によりウイルス、細菌、花粉アレルゲンを分解する効果を有する」ことの表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとしている。

 しかし、消費者庁は「独自に実施した試験により、表示の裏付けとなる合理的な根拠ではないと判断した」としている。これに対し同社は「消費者庁が独自に実施した試験は科学的に不適切」だとしている。

 消費者庁の試験は500mlの容器内に、当社マスクを8cm四方にカットし、そのうえに128mgの花粉を載せたものを封入し、白色蛍光灯を48時間照射。容器中の二酸化炭素濃度を測定する試験を実施したところ、容器中の二酸化炭素が増加しなかったことで、消費者庁は花粉などの有害物質が分解されなかったと理解したと説明されたといい、「花粉などを水と二酸化炭素に分解するとの表示をしていないにもかかわらず、消費者庁の試験は二酸化炭素に分解されるか否かのみに着目して当社マスクの効果を判断している点が不合理」と主張。

 「8cm四方のマスクに載せただけの花粉から発生しうる二酸化炭素量は、極小で検出が困難であることが想定されるため、不適切な試験。たとえ花粉量を増やしたとしても、マスクに接する花粉量に限界があることから、測定が困難であることに変わりはない」としている。

 また、「密閉容器中での二酸化炭素濃度の増加を測定する試験方法は、容器内の二酸化炭素濃度の微細な変化をとらえるうえで人の呼気・吸気による花粉の移動や、呼気に含まれる水分によるマスクへの花粉の接触頻度の増加を考慮する必要があるが、そういった状況がまったく考慮されていない」といい、「光触媒により発生した二酸化炭素は、花粉に含まれる水分や塩類などにより、一部は炭酸塩になる。よって気体中の二酸化炭素を測定するだけでは、花粉の分解の有無を判断することはできない」と消費者庁の試験は信頼性を確保できない不適切な試験であるとした。

 同社は消費者庁の試験内容について、措置命令を受けたことによる消費者庁への弁明において指摘したとしている。加えて一部報道でマスクの効果が「花粉などを水と二酸化炭素に分解する」と、実質的に虚偽表示を行ったかのように報道されていることについて、「そのような表示は行っていない」と否定しており、今後について「法的に採り得る対応・措置を検討中」としている。

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