• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年08月08日 10:47

松尾建設社員による暴行事件の被害者、補償受けられず

 仕事場で取引先の社員から暴行を受けた男性が労災保険を受けられないまま、半年以上が経過している。今年4月に報じた総合建設業「松尾建設(株)」(佐賀市)の社員が起こした暴行事件はまだ終わっていなかった。(詳細はコチラ)暴行を受け負傷した事実は明らかで、医療機関の診断書も揃っているが、なぜか男性の雇用主が労災の申請書を提出していないという。「なぜ速やかに対応してくれないのか」――男性は憤る。

 昨年11月、同社北九州支店の40代社員が、福岡県飯塚市の施工現場で別会社から派遣された建築士Aさん(男性50代)に暴行を加えた。加害者は今年3月、罰金10万円の略式命令を受けていた。

 その後、事態は収まるかに見えたが、Aさんによると、労災申請をめぐり、松尾建設とAさんの雇用主である建築士の派遣会社「アーキ・ジャパン(株)」(以下、アーキ社)が手続きを進めず、十分な補償が受けられていないという。

 被害を受けたAさんは施工現場での勤務中に暴行を受け、その時の怪我と後遺症で現在も体調が優れない。Aさんは「労災と認定されるはずだ」とし、補償を求めてアーキ社に相談した。通常なら、雇用主が速やかに労基署に報告したうえで、労基が調査に入り、認定するか否かを判断する。

 Aさんは暴行を受けた後、アーキ社へ報告を入れており、アーキ社は少なくとも数日後には事態を把握していた。しかし、いくら待っても、労基署からAさんに連絡が来なかった。アーキ社が事故発生を知りながら、労基署へ報告をしていなかったためだ。Aさんの指摘を受けて、アーキ社は今年6月に労基署へ報告したというが、時間が経過しすぎており、労災認定されない可能性もあるという。

 労災により対象者が4日以上休業した場合、雇用主は「労働者死傷病報告」を遅滞なく提出するよう規定されている。昨年11月の事件発生当日にアーキ社はAさんから報告を受けており、速やかに労基署への報告をすべきだった。

 松尾建設の動きも不可解だ。事件直後は「誠意をもって対応する」としていたが、対応が変わる。暴行事件として、社員が罰金命令を受けたにも関わらず、松尾建設側は「個人間での衝突」として、労災としては認めていないという。

 事件後の対応について松尾建設に質問状を送ったところ、「個人のプライバシーに係る内容でもあり、個別の回答は差し控えさせていただきます」として、労災については言及しなかったが、「これまで早期解決に向け、誠意をもって対応いたしており、今後もその姿勢に変わりありません」と回答している。同じくアーキ社に対しても、質問状を送ったが、回答はないままで事実上の取材拒否である。

 通常なら事件化するほどの事象でもない。Aさんが事件後の松尾建設の対応に不信感を抱いたため、示談交渉の継続を拒否。刑事事件として、罰金命令が下った経緯がある。今後Aさんは松尾建設と加害者個人に対し、賠償を求める予定だという。

※本稿掲載後、アーキ社より以下の内容の回答書が届いた。
「弊社顧問弁護士と相談の上、関係法規に従い適切な処理を行っております。なお、これ以上の回答につきましては対応致しかねます」

【東城 洋平】

▼関連リンク
松尾建設社員が施工現場で暴行 起訴される

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年07月02日 17:27

IT化とデータ可視化の推進でジョブ型への対応を(前)NEW!

 東証マザーズ上場のナレッジスイート(株)の提供するサービスは社内の無形のノウハウの可視化・資産化を推進し、業務の効率性向上、リスクヘッジに役立つものであり、地方の企...

2020年07月02日 17:10

新型コロナウイルス~首都圏を中心に感染拡大NEW!

  【表1】を見ていただきたい。全国(47都道府県)の新型コロナウイルス感染者の順位表である。 ~この表から見えるもの~ ◆全国(47都道府県)の7月2日...

2020年07月02日 16:40

姪浜駅に憩いの場「めいのはまMarché」オープンNEW!

 JR九州フードサービス(株)は、福岡市地下鉄・JR「姪浜駅」構内に、個性豊かな専門店が集まる憩いの場「めいのはまMarché」をオープンさせる...

2020年07月02日 16:26

ストラテジーブレティン(255号)~Point of No Return、米国の対中金融制裁が俎上に~慎重な投資姿勢を(前)NEW!

 6月30日、「香港国家安全維持法」が制定され、即時施行された。香港の民主主義と自治が失われ、一国二制度が終わった。世界は熾烈な米中冷戦へと展開していくだろう...

2020年07月02日 16:17

【凡学一生のやさしい法律学】関電責任取締役提訴事件(前)NEW!

 関電事件は究極の国家犯罪の完成形である。法律犯罪国家における利権構造の雛形といえる本件事件は、日本は悪徳法律家が支配あるいは跳梁跋扈する法匪国家であることを示した...

2020年07月02日 16:00

イージス・アショア中止は日本発の防衛システムへの転換点(1)NEW!

 6月15日、河野防衛大臣は「イージス・アショア」の配備計画の停止を発表した。日本国内のみならず、周辺国や製造元のアメリカにも激震が走った...

2020年07月02日 15:30

サザン無観客ライブで売り上げ6億5,000万円!ウェブ配信動画に光明NEW!

 サザンオールスターズは6月25日、無観客リモートライブを開催。400人を超えるスタッフと40台カメラで演出されたライブは、有料視聴ライブとして8つのメディアで配信さ...

2020年07月02日 15:06

【特別寄稿/山崎伸二教授】新型コロナウイルス感染症は我々に何を教えてくれたのか(後)NEW!

 20世紀に入ると感染症の治療薬が次々と見つけられていく。1910年、自らが合成したヒ素化合物を1番から順番に調べていた秦佐八郎がドイツ人パウル・エーリッヒとともに...

2020年07月02日 14:31

【特別寄稿/西田亮介】冗長性の欠如がもたらしたもの 「民意」に揺さぶられるリスクマネジメント(後)NEW!

 不安感は不満となって顕在化する。向かった矛先の1つは政治だった。並行して、感染状況のみならず、制度や対処が違う他国の部分的な状況がマスメディアとSNSを介して人々に...

2020年07月02日 14:17

【インタビュー/玉城絵美】「リモート」のその先へ 10体のアバターを動かす世界がすぐそこに(後)NEW!

 日本では新型コロナウイルスの感染が広がる前から、〈リモートでコミュニケーションせざるを得ない社会が来る〉と、世界に先駆けて大きなプロジェクトが動き出していました...

pagetop