『脊振の自然に魅せられて』「秋の花 ツリフネソウ」釣船草 ツリフネソウ科
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9月に水辺や渓流沿いの登山道を歩くと、赤紫色の花がたくさん咲いているのを見かけます。水辺を好む花「ツリフネソウ」です。
この花は茎から花がぶら下がった独特のかたちをしています。形は袋状で、先端は大きな唇を上下に開けているかのようで、尻尾の部分は細くなり、くるりと渦を巻いています。唇の少し奥には黄色い喉仏のようなものがあり、虫を誘導するための目印となっています。
花びらの奥には蜜腺があり、昆虫はその蜜を求め奥へ潜り込んでいきます。そして、出てくる時には体中に花粉をいっぱい付けています。
昆虫のなかでもマルハナバチは、ちょうど花の奥に入ることができる大きさで、触覚や脚、体中に黄色い花粉をいっぱい付け、花から花へと潜り込んでゆきます。花は自家受粉を避け、昆虫に受粉を助けてもらい、見返りに蜜をプレゼントするのです。
花が咲き終わると、2センチほどの細い種になり、指で押さえると、パチンという音とともに種が四方に弾け飛びます。種の保全を保つため植物も色々と知恵を働かせています。
同じ仲間の植物に、葉の下にぶら下がるハガクレツリフネソウ、黄色い花のキツリフネなどがあります。脊振ではツリフネソウとキツリフネが自生しています。
「ツリフネソウ」とは古人も粋な名前を付けたものですね。
次回はキツリフネを紹介します。
2019年8月28日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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