国産めんまの市場を生み出し、放置竹林を再資源化
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2019年09月15日 07:00

国産めんまの市場を生み出し、放置竹林を再資源化

(株)タケマン

同社の取り組みは高く評価され、『地域未来牽引企業』にも選定された
同社の取り組みは高く評価され、『地域未来牽引企業』にも選定された

放置竹林を資源に

 日本国内市場で流通するめんまの99%が、中国・台湾産の麻竹(まちく)を原料とするものである。国産の孟宗竹(もうそうちく)に対する需要は限られており、竹が生い茂る里山の所有者が、竹の採集に本腰を入れて取り組むことは稀だ。市場性の薄さが国産竹の資源としての価値を減じさせ、放置竹林を生み出す一因となっているなか、国産めんまの普及に尽力している企業がある。福岡県糸島市を拠点に活動する(株)タケマンだ。

 同社は、めんまの製造・販売を手がけるとともに、放置竹林の管理も請け負う。里山の所有者から依頼を受けて竹林の清掃を行ったのが始まりで、2019年現在、糸島市内8カ所で里山の管理を任されている。

多種多様な趣向に対応する国産めんま製品
多種多様な趣向に対応する国産めんま製品

 「放置竹林の再生が声高に叫ばれていますが、実際にやると、とてつもない労力が必要なことがわかります。いくら竹を伐採しても、1年後には同じ場所にまた生えてくる。放置竹林再生のために本当に必要なのは、一過性の対処ではなく、継続的に人が竹林に足を踏み入ることができるように、里山の所有者と信頼関係を構築することなんです」(吉野代表)。

 同社では、人の手による清掃と、台風などの自然の影響による淘汰を考慮し、10年単位での持続可能な放置竹林の再生を計画。この間、新たに生えてきた竹を原料とする国産めんまを製造・販売し、市場形成にも努める。同社が提供するのは単なる製品ではなく、国産めんまを軸とした放置竹林、ひいては里山の再資源化なのだ。

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国産めんまの価値を底上げ

 国産めんまの製造・販売を通じて、放置竹林の再生にも貢献するタケマン。既存の価値観にとらわれないめんまの製品化も相まって、同社に対する注目度は高まっている。

 今後は、2020年春ごろの操業開始を目指して、糸島市加布里に2億4,700万円を投じて工場を新設。生産体制を現状の4倍に強化し、国産めんまを使用したお土産品を中心とした製造を行い、一般消費者の開拓を加速させる。

 「めんまはラーメンの付け合わせとして使用されることが多く、弊社のお取引先としても全国のラーメン店が大半を占め、関東・関西を中心に1,700店舗以上にめんまを提供しています。ですが、業界全体で見れば、安価な外国産めんまを使用するお店がほとんどです。国産めんまを普及させていくには、外国産との棲み分けも必要です。国産めんまに関しては、一般消費者を主なターゲットとしたお土産品として展開していこうと考えています」(吉野代表)。

 同社の国産めんまを使ったお土産品は現在、博多大丸やイムズ、福岡空港内で購入することが可能。今後は博多駅での販売も予定しており、新たな福岡土産の定番化を狙う。

 「ありがたいことに、弊社のめんまは味を評価していただき、口コミで広がっています。時折、めんまを食べている写真とともに『おいしかった』と感想が送られてくるのですが、その瞬間が一番嬉しいですね。めんまはラーメンの丼ぶり1つとっても、決して主役にはなれない食材ですが、その分、弊社以上にこだわりをもっている企業はいないと思います」(吉野代表)。

 本気でめんまをつくっている会社、タケマン。業務用と一般消費者向けとで、めんまの使い方をガラリと変えてみせる、強いこだわりをもつ同社だからこそ、国産めんまの価値向上=ブランド化に成功した。同社の存在が広く知られ、国産めんまが収益化可能だとわかれば、それは地方に残された里山の承継問題に解決策を見出す、きっかけづくりにもつながるだろう。

 放置竹林の清掃から、めんまの製造・販売、そして新たな市場への挑戦と、得られた成果の地元への還元。すべてが循環するこの仕組みを築いた同社の、次の一手に期待したい。

【代 源太朗】

<Company Information>
代 表:吉野 秋彦
所在地:福岡県糸島市神在1301-7
設 立:2013年9月
資本金:1,000万円
URL:https://mennma-takeman.jp

▼関連リンク
糸島の放置竹林で希少な国産メンマを製造

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