• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年10月07日 07:00

メガソーラーに揺れる宇久島~着工目前、島民の声(2)

 ある島民は事業者からの説明が不足している点を挙げ、「土地所有者の多くは高齢者だが、無知につけこんで目先のお金で釣った感じもする。事業者はきちんと説明しているのだろうか」「説明会に参加するたび、着工予定がコロコロ変わっている。『実のところはどうなのか』をきちんと島民に向けてわかるように説明してほしい」「事業に着工するといっておきながら、かれこれ5、6年が経過している。途中で事業者が変わっているようだが、その説明もない。島民に対して説明不足ではないか」という声も聞かれた。

 治安の悪化や災害に対する備えを懸念する声もある。「着工すれば1,000人超の人が島外から働きにやって来ると聞いている。島には高齢で1人身の家庭も多いので、防犯面が心配」「通学路の近くに作業員の宿舎ができるという話があるが、自治体の対応は間に合うのか」「地域によっては家に鍵をかけるという習慣が根付いていないところもある。島の駐在所にいる署員はたった2人。これで島の治安が守れるのか」「災害に対する備えは万全なんだろうか。以前、試験的に設置された風力発電の風車は、雷が原因でだめになったが…」などといった不安の声が聞かれた。

半ば「あきらめ」ともとれる声の真意

 島民に話をうかがうと、立場を問わず共通して聞こえてきたのが、半ばあきらめにも似た声。

 Aさんは「そもそも、この事業が行われるのかどうかも怪しいが、私も高齢で、もう長くは生きられないでしょうし、島の将来を考えられるような年齢ではないと思っている。もう、そんなことは考えずに、残りの余生を気楽に生きていきたい」と話す。Aさんに黒く覆われる島の図を見せたが、「パネルで島が黒くなるなんて思ったこともないし、考えたこともない。自分の子どもや孫世代は、もう島に帰ってくることはないし、この家も土地も私の代で終わりでしょうから、言葉は悪いが関係ないといえば関係ない」と話した。

 Bさんは「すでに歳を取っているし、跡継ぎ(子ども)がいないから土地を貸すことにした」というが、「土地の賃貸借期間が終わるころには、私を含め、この集落周辺の人は、ほとんどいなくなるだろう。先のことはわからない。その時はその時だ」とも述べた。

 宇久島に一時帰省中というCさんは、「島全体のことを考えると、島は島なりに自然がある故郷であってほしいとも思うが、島を訪れる度に知り合いが周りからいなくなっていくのが寂しい」と話す。「私のような普段島外に住んでいる人間が、島のことをあれこれいうのもどうかと…いい考えをもっている人がいれば、それに賛同していこうと思うが、今の自分にはその体力も知恵もない」とやや言葉を濁した。離れていても故郷を想う気持ちはあるが、その想いだけでは、もはやどうにもならないことを痛感しているのだろうか。その表情は幾分寂しげにも映った。

 Dさんは、「今でこそ、子どもや孫たちは帰省する度に『この島にきたら癒される』『元気になれる』と言ってくれている。しかし、私たちが亡くなったら島には来ないと思う。集落によっては一帯に樹木が生い茂り、車の通行もままならない状態。行政の管理も行き届いていないなかで、わざわざここまで来ようとは思わないのでは」と話した。Dさん自身は、自分が亡くなったら「墓じまい」をして、遺骨を島外に持ち運んでもらうことを望んでいるという。

 Eさんは「最初この話が出た時にもっと考えをしっかり持っておけばよかったとも思うのだが、今さら賛成・反対とはいえない」と話す。事業が進むことによって島の景観が失われることは確実だが、それでも構わないのか?という問いに対しても、「初めの段階できちんとしていれば、こうはならなかったかもしれない」と返答。記者が繰り返す質問に対して、他人事のように、「あの時こうしていれば」「初めからきちんとしていれば」と繰り返す様は、まるで「乗りかかった船だから」とでも言わんばかりだった。見方によっては、「あきらめ」ともとれる様子に言葉を失うしかなかった。

(つづく)
【長谷川 大輔】

▼関連リンク
「宇久メガ」着工へ前進も 島民からは水害への懸念の声が
「宇久メガ」一部進展も着工までに残された課題

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年09月27日 07:00

【凡学一生のやさしい法律学】有名芸能人の政治的発言(4)

 弾劾裁判所の実態を告発した文献は少ないため、筆者の体験を以下に紹介する...

2020年09月26日 07:00

国の「太陽光・風力発電推進」どこまで本音?再エネ政策に漂う不透明感(後)

 天候や時刻で発電量が変わる太陽光や風力発電は、電力を安定供給できるように溜めておける蓄電池が不可欠ですが、今年5月にインドで公募された「24時間365日運転可能な蓄...

2020年09月26日 07:00

孫正義氏の究極の選択~ソフトバンクグループの株式の非公開化はあるか?(4)

 「冒険投資家」の孫氏は、どうやってファンドを再生させるのか。1つの選択肢が、今年前半から欧米メディアでたびたび取り沙汰されているMBO(経営陣による買収)による株式...

2020年09月25日 17:23

東京オリンピックに間に合うか?激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争(前)

 世界では依然として新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大に歯止めがかからず、感染者数はついに3,000万人を突破した。死者も100万人を超えている...

2020年09月25日 16:21

「白髪・グレイヘアに関する意識調査2020」(ホットペッパービューティーアカデミー)~染め続ける人が減少傾向に

 (株)リクルートライフスタイルの美容に関する調査研究機関である「ホットペッパービューティーアカデミー」は、20~69歳の男女を対象に「白髪・グレイヘアに関する意識調...

2020年09月25日 15:54

工事費約14億円、那珂川市道善・恵子土地区画整理事業

 那珂川市道善・恵子土地区画整理事業の実施にあたり、道善・恵子土地区画整理準備組合は業務代行者の募集を行う...

2020年09月25日 15:31

九経連などが「台湾スマイルフェア」を実施

 24日、渡辺通り電気ビルにて「~がんばろう!! 台湾留学生応援企画~台湾スマイルフェア」が開催された...

2020年09月25日 14:42

国の「太陽光・風力発電推進」どこまで本音?再エネ政策に漂う不透明感(中)

 『今年7月から、発電所が発電できる能力を取引する「容量市場」の第1回入札が行われました。天候や時刻で発電量が変わる太陽光や風力発電は、これまで発電した電気を1kWh...

2020年09月25日 14:10

創業1926年の老舗料亭「三光園」が10月末で営業終了

 福岡市の老舗料亭「三光園」(中央区清川)が10月末で営業を終了することを明らかにした。三光園は1926年に創業。政財界人や芸能人らに親しまれてきた...

2020年09月25日 14:00

栗原渉前福岡県議会議長が福岡5区で立候補表明

 前福岡県議会議長で朝倉市・朝倉郡選出の栗原渉福岡県議(54)が次期衆院選で、福岡5区から出馬することがわかった。 

pagetop