• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年10月15日 16:28

ラグビーW杯、日本代表激闘制する─日本代表vsスコットランド代表─

 ラグビーワールドカップ2019日本大会(W杯)で、日本代表は10月13日に横浜国際競技場でスコットランド代表と対戦し、28-21で勝利した。この結果、日本代表は悲願のW杯ベスト8進出を決めた。1987年第1回大会から9回連続出場の日本代表にとって初めてのトーナメント進出である。

 「激闘・死闘・全力を尽くす」─両チームのベスト8を賭けた戦いは壮絶であり、試合後は精魂果てるほどの試合だったので、国民は固唾をのみながら観戦したことだろう。今回のW杯プール戦のラストマッチに相応しい歴史に残る一戦であることは明確である。

 日本代表は筆者の予想とは真逆の戦法で、スコットランドを徐々に追い詰めていった。筆者はSO(10番)田村優の多種で自在にコントロールできるキックで手堅く陣地を進めることを優先させると予想した。しかし、それとは違い、積極的に長短のパスで前進する、ポゼッション(ボール支配率)優先の戦法で挑んだ。結果、その積極的な戦法が功を奏して4トライを奪い、ボーナスポイントを獲得しての勝利となった。

 日本代表は、前半のボールポゼッションが74%とスコットランド代表を圧倒した。世界的な名手として名高いSH(9番)グレッグ・レイドロー、SOフィン・ラッセル、FB(15番)スチュアート・ホッグという中核に「仕事」をさせなかった。開始早々の前半6分に、タックルミスからフィン・ラッセルのトライで先制されたものの、日本代表は冷静かつ大胆にボールを縦横無尽に動かした。その結果、前半だけで3トライを奪い、完全に試合の主導権を握っていた。

 後半、スコットランド代表の逆襲により、1トライ1ゴール差まで詰められるが、終始ディフェンスは力強く、そしてスキルフルなタックルによりスコットランド代表のアタックを寸断した。

 マン オブ ザ・マッチには、スピードスターWTB(11番)福岡堅樹が選ばれたが、LOジェームス・ムーアとトンプソン ルークのディフェンス力の高さが全試合を通して日本代表のアタックとディフェンスを支えている。

 LO(ロック)のポジションは、スクラム・ラインアウトの支柱的な存在で、とくにピンチで頼りにされることが多い。そして空中線でのボール争奪、ブレイクダウンなど常にあらゆる局面でのプレイに参加しているLOの存在が勝敗を分ける。

 ジェームスとトンプソンは、どの代表のLOよりもハードワークをして献身的なパフォーマンスを披露している。それは、タックル成功率93%、95%と高い水準を示していることからもわかる。

 前述の通り、LOは誰よりも強靭でチームの中核的な存在で、タックルだけではなく、アタックの局面でもチャンスメークを求められる “鉄人”である。
その両名が、ディフェンス・アタックとも目立たないながらも、得点への重要なサポート役を担っていることを忘れてはならない。

 ほか、CTB(12番)中村亮土は正確無比なハンドリング&パスワークによるチャンスメーカーとなり、やや修正は必要なものの、ここ1番の強力なタックルも特筆すべき点がある。トライゲッターと同様、地味ではあるが、ぜひともこの3名のパフォーマンスにも注目していただきたい。

 日本代表はプールAの1位として10月20日、東京スタジアムにて、南アフリカ代表と対戦する。いうまでもなくスコットランド代表戦以上の激戦が予想される。

 南アフリカ代表は、世界有数の強靭なディフェンスを誇り、ディフェンスからチャンスをつくって逆襲する戦法がスタンダードだ。

 スコットランド代表に苦しめられた“チョークタックル”=相手選手を倒さずに上体を抱え込みボールキャリアーの重心をコントロールし、ターンオーバーかパイルアップ(ボールの動きを止める)を狙ってくる。これを阻止するためには、日本代表のボールキャリアーは、より低い姿勢でのランとコンタクトポジションが必要だ。さらには、しなやかなボディコントロールによってボール支配をキープすることである。

 積極的にオフロードを駆使することもオプションの1つである。ディフェンスは試合ごとに進化している。南アフリカ戦では、やはり90%以上の成功率が求められる。とくに自陣10mから22m付近でのタックルエラーは危険である。いずれにせよ、1トライ差の攻防が雌雄を決すると予想される。

 皆で声援を送りながら日本ラグビーの新たな歴史を、見届けよう。

【河原 清明】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年07月02日 17:27

IT化とデータ可視化の推進でジョブ型への対応を(前)NEW!

 東証マザーズ上場のナレッジスイート(株)の提供するサービスは社内の無形のノウハウの可視化・資産化を推進し、業務の効率性向上、リスクヘッジに役立つものであり、地方の企...

2020年07月02日 17:10

新型コロナウイルス~首都圏を中心に感染拡大NEW!

  【表1】を見ていただきたい。全国(47都道府県)の新型コロナウイルス感染者の順位表である。 ~この表から見えるもの~ ◆全国(47都道府県)の7月2日...

2020年07月02日 16:40

姪浜駅に憩いの場「めいのはまMarché」オープンNEW!

 JR九州フードサービス(株)は、福岡市地下鉄・JR「姪浜駅」構内に、個性豊かな専門店が集まる憩いの場「めいのはまMarché」をオープンさせる...

2020年07月02日 16:26

ストラテジーブレティン(255号)~Point of No Return、米国の対中金融制裁が俎上に~慎重な投資姿勢を(前)NEW!

 6月30日、「香港国家安全維持法」が制定され、即時施行された。香港の民主主義と自治が失われ、一国二制度が終わった。世界は熾烈な米中冷戦へと展開していくだろう...

2020年07月02日 16:17

【凡学一生のやさしい法律学】関電責任取締役提訴事件(前)NEW!

 関電事件は究極の国家犯罪の完成形である。法律犯罪国家における利権構造の雛形といえる本件事件は、日本は悪徳法律家が支配あるいは跳梁跋扈する法匪国家であることを示した...

2020年07月02日 16:00

イージス・アショア中止は日本発の防衛システムへの転換点(1)NEW!

 6月15日、河野防衛大臣は「イージス・アショア」の配備計画の停止を発表した。日本国内のみならず、周辺国や製造元のアメリカにも激震が走った...

2020年07月02日 15:30

サザン無観客ライブで売り上げ6億5,000万円!ウェブ配信動画に光明NEW!

 サザンオールスターズは6月25日、無観客リモートライブを開催。400人を超えるスタッフと40台カメラで演出されたライブは、有料視聴ライブとして8つのメディアで配信さ...

2020年07月02日 15:06

【特別寄稿/山崎伸二教授】新型コロナウイルス感染症は我々に何を教えてくれたのか(後)NEW!

 20世紀に入ると感染症の治療薬が次々と見つけられていく。1910年、自らが合成したヒ素化合物を1番から順番に調べていた秦佐八郎がドイツ人パウル・エーリッヒとともに...

2020年07月02日 14:31

【特別寄稿/西田亮介】冗長性の欠如がもたらしたもの 「民意」に揺さぶられるリスクマネジメント(後)NEW!

 不安感は不満となって顕在化する。向かった矛先の1つは政治だった。並行して、感染状況のみならず、制度や対処が違う他国の部分的な状況がマスメディアとSNSを介して人々に...

2020年07月02日 14:17

【インタビュー/玉城絵美】「リモート」のその先へ 10体のアバターを動かす世界がすぐそこに(後)NEW!

 日本では新型コロナウイルスの感染が広がる前から、〈リモートでコミュニケーションせざるを得ない社会が来る〉と、世界に先駆けて大きなプロジェクトが動き出していました...

pagetop