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2019年10月21日 07:00

「放射能でおもてなし?」~安全性を疑問視する国内外からの声が急増!(3)

元駐スイス大使・東海学園大学名誉教授 村田光平 氏 

「福島でオリンピック?気が狂ったのか」が上映された

 ――今「東京オリンピック」の安全性を疑問視する国内外からの声が急増しています。

 村田 今のところは、安全性を疑問視する声は海外からの声が大きいのが現状です。しかも、今年に入って急増しています。IPPNW(核戦争防止国際医師会議)は昨年“The 2020 -The Radioactive Olympics”という声明を発表し、東京オリンピックで野球やソフトボールの試合が福島で行われることを批判しました。IPPNWは医師の立場から核の脅威を研究し、核戦争に反対する組織で、1985年にノーベル平和賞を受賞しています。

 今年になって、5月26日にはカリフォルニア州バークレー市の公立図書館で、No Nukes Action Committee(サンフランシスコの反原発団体)によって、「福島でオリンピック?気が狂ったのか」が上映されました。

 7月25日には、アメリカの有力雑誌“The Nation”が掲載した「福島でのオリンピックは安全か?現地を訪れてわかった原発事故の重大な影響は終わっていない」という記事が大きな反響を呼びました。この記事では、現地を訪れた外国人記者たちが具体的な放射線量の数値を挙げながら福島の現状を描き出し、福島は安全ではないとしています。

 同じく、アメリカの雑誌“Scientific America”も安倍総理が福島原発事故を国民から隠すことによって、公衆衛生は危険にさらされ、とくに放射線の受けやすい子どもたちが危険な状況に置かれている旨を指摘しています。

 7月23日には、五輪反対運動を展開している世界の活動家が外国人特派員協会で記者会見を開き、五輪は中止すべきだと訴えました。会見に出席したのは、米国のサッカー五輪代表選手で、「オリンピック秘史~120年の覇権と利権」を執筆した政治学者のジュールズ・ボイコフ パシフィック大学教授ほか3名です。

「日本は言論の自由が制限されているのではないか」

 ごく最近では、ドイツのドルトムントで9月14日‐15日の2日間、東京オリンピック・パラリンピックの報道に対して、「東電福島原発事故による危険性や被災者の声を黙殺しないで欲しい」と求める、大掛かりな日独共同会議が開催されました。

 科学者、教育関係者や環境保護団体、国際医師団体、脱原発市民団体など、日本人を含む約50人が参加しました。同会議では、日独の有識者や市民団体からの現状報告と同時に、政府によるメディアへの圧力が強まっているとされる日本に「言論の自由が制限されているのではないか」との危惧も表明されました。

アスリートや観客・観光客に放射線被爆の危険性を警告

『東京五輪がもたらす危険‐いまそこにある放射能と健康被害』(東京五輪の危険を訴える市民の会 編著、編集 渡辺悦司、 緑風出版)

 日本国内の動きとしては『東京五輪がもたらす危険‐いまそこにある放射能と健康被害』(東京五輪の危険を訴える市民の会 編著、編集 渡辺悦司、 緑風出版)が9月に出版されました。

 ここには、東京オリンピックの危険を警告し、開催に反対する科学者・医師・避難者・市民など25名の傾聴に値する声が載っています。東京オリンピックの開催が、参加するアスリートや観光客にもたらす放射線被曝の恐るべき危険性を警告するために緊急出版されたのです。

 東京オリンピックへの福島原発事故の影響は「アンダーコントロールされており、東京には、いかなる悪影響にしろ、これまでおよぼしたことはなく、今後ともおよぼすことはありません」という安倍首相の発言が、いかに誤りであるかを科学的に明らかにしています。

 この本に書かれている真実はオリンピックが近づけば近づくほど、無視できないものとなり、「安全性の保証」を求めるとともに、ボイコットを表明する国、団体、選手が増えてくることは間違いありません。

 日本政府は現在、事故原発内に溜まり続ける「処理済み」のトリチウム汚染水(トリチウムは除去にコストがかかるので処理されていない)の海洋投棄を、地元住民の反対を押し切って、オリンピックが始まるまでに開始しようとしています。トリチウムは半減期が12年と長く、長期にわたって環境を破壊します。生体の大部分を、さらに遺伝子をも構成する水素の同位体であるので、希釈して投棄しても安全とはいえません。そのトリチウムの危険性は、小柴昌俊先生(ノーベル物理学賞受賞者)や長谷川晃先生(元米国物理学会・プラズマ部会長)などによってすでに指摘されています。

 両先生は2003年3月に小泉総理に提出した国際核融合実験装置(ITER)誘致反対の嘆願書のなかで「トリチウムはわずか1mgで致死量とされる猛毒で、ITERのなかに貯えられる2kgのトリチウムは200万人の殺傷能力があります」と指摘されております。

 「処理済み」というのはまったくの虚言でありストロンチウム90を含むいろいろな放射性核種に深刻に汚染されていたのです。オリンピックで訪れる世界のアスリートと観客・観光客を「放射能でおもてなし」しようとしていたと糾弾されかねません。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
村田光平氏(むらた・みつへい)

 1938年東京生まれ。1961年東京大学法学部を卒業後、2年間外務省研修生としてフランスに留学。その後、分析課長、中近東第一課長、宮内庁御用掛、在アルジェリア公使、在仏公使、国連局審議官、公正取引委員会官房審議官、在セネガル大使、衆議院渉外部長などを歴任。96年より99年まで駐スイス大使。99年より2011年まで東海学園大学教授。

 現在、日本ナショナル・トラスト顧問、日本ビジネスインテリジェンス協会顧問、東海学園大学名誉教授、天津科技大学名誉教授。

 著書として、『新しい文明の提唱‐未来の世代へ捧げる‐』(文芸社)『原子力と日本病』(朝日新聞社)『現代文明を問う』(日本語・中国語冊子)など多数。

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