2024年04月20日( 土 )

AI・ロボットの時代だからこそ待望される「新縄文人」の出現!(後)

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(一社)縄文道研究所 代表理事 加藤 春一 氏

「オノマトペ」は縄文と自然の共感共鳴の証

 ――少し、話は変わりますが、先生は縄文の言葉についても研究されていますね。

 加藤 アメリカの言語学者、ノーム・チョムスキーは、人間は基本的文法を先天的にもっていたと主張しています。私は、オノマトペと大和言葉(縄文大和言葉)は、縄文時代からもうすでにあり、しかも1万年以上にわたって育まれてきたと考えています。

 日本語はいろいろな点で興味深い特徴をもっています。そのなかで注目すべきものが「オノマトペ」です。川が「さらさら」流れる、風が「そよそよ」吹く。(擬音語)「テッペンカケタカ」(ホトトギス)、「ツクツクホウシ」(ツクツクボウシ)、「ブッポウソウ」(コノハズク)とか鳥や昆虫の声と人の言葉を重ねて表現(擬声語)。「じいっと」見る(擬態語)などがあります。

 世界には5000以上の言語があると言われます。日本語(約8万語あり、内オノマトペが約4500語ある)ほどオノマトペが発達した言語はないと言われています。このようにオノマトペが生活のなかに入り込んでいるのは、縄文人が1万年以上にわたって、自然と共存共栄してきたことの大きな証拠の1つではないかと考えています。つまり、自然との「共感共鳴」なのです。

新縄文人は、縄文道と武士道を兼ね備えている

 ――では、いよいよ、「新縄文人」です。先生は、先に挙げた日本の危機、さらには世界の危機を乗り越えるためには、新縄文人の出現が必要と言われています。

 加藤  私は、先に申し上げた日本の危機を乗り切り、日本を再生していくためには、「縄文道」と「武士道」という日本人の基本的なアイデンティティーをもって、グローバル社会で戦える人財を育成していく必要があると考えています。

そして、私はこのような現在に生きる人財を「新縄文人」(現在「縄文経営」と一緒に商標登録申請中)と呼んでいます。新縄文人とは、縄文道と武士道を併せもち、グローバリズムとデジタル社会の本質を理解し、野武士のアイデンティティーを有する人財のことを言います。そして、私はこのような人財は8C(下記参照)を兼ね備えており、必ずや21世紀の未来を日本人としてリードしてくれるものと固く信じております。

1.COURAGE(現状打破への勇気)
2.COMMOM SENSE (逞しい常識)
3.COMMONLY USEFUL SKILL&KNOWLEDGE(世界で共通する技能と知識)
4.COMPETENT(成果を出しうる能力)
5.COMMUNICATION SKILL(伝達能力)
6.COMPLIANCE (法令遵守精神)
7.COOPERATIVE MIND(協働精神)
8.CULTURALLY BARRIER FREE(異種文化との壁を破れる)

 「新縄文人」の資質を持つ人物といえば、今思い浮かぶのは下記の12名の方々などです。

 空海(弘法大師の諡号で知られる真言宗の開祖)、加藤藤四郎影正(瀬戸の陶祖)、支倉常長(安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将)、新渡戸稲造(日本の教育者・思想家)、朝河貫一(世界的歴史学者・日本人初のイェール大学教授)、吉田茂(日本の外交官・政治家)、鈴木大拙(日本の禅文化を海外に広く知らしめた仏教学者)、宇沢弘文(日本の経済学者・公共経済学)、加藤周一(評論家・小説家・医師)などです。

縄文文化と縄文人の生き様を教えるよう進言する

 ――時間になりました。縄文道研究所、および加藤先生の今後の活動予定を教えてください。

 加藤 縄文道研究所の今後の方向性を示す意味で、また自分への鼓舞を含めて以下の4つの提言をいたします。

 1.義務教育教科書で古代史を体系的に取り上げ、縄文時代の文化と縄文人の生き様を教えるよう働きかけます。

 今日、私たちの多くは縄文人の実態を知りません。小学校はもちろん、中学校や高校では縄文人のことはほとんど教えられていないからです。それは、「第2次世界大戦敗北後、GHQの占領政策の一環で、縄文時代は国史の教科書から抹消され、単に野蛮な原始社会と記載され、日本国民に摺り込まれた」からと言われております。

 2.学習塾などを通して、武道、稽古事、日本芸術の習熟と伝播に務め、若き「新縄文人」を啓育します。生き方改革を推進して失敗を恐れない人材を養成します。AI・ロボットの時代だからこそ、縄文人のように“五感”を鋭く磨き、六感と直感力を養う必要があります。

 3.学生の海外への留学を倍増し、海外の大学などと科目を互換できるようにします。社会人はなるべく早い時期に、なるべく厳しい地域に海外派遣するよう働きかけます。

今、経営者は、社員(幹部社員も含めて)への人財教育投資を激減させ、また日本人の海外留学も激減しています。

 4.日本在住の外国人に縄文時代からの歴史を伝えます。同時に、海外へ英語で「縄文文化」を発信します。今すでにその準備に取りかかっています。

縄文道とは―未来への道である―

 縄文文化の有する精神パワーを現代に蘇らせ、新しい世界と社会を形成し、全人類の共通の望みである平和を実現し、国連の唱えるSDGsと価値観を共有する。

(了)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
加藤春一氏(かとう・はるいち)

 (一社) 縄文道研究所 代表理事・東京エグゼクティブ・サーチ顧問。

 1944年満州大連にて日本の陶祖 加藤藤四郎景正の末裔(23代)として生まれる。1968年上智大学経済学部卒業後 大手商社・日商岩井にて資源ビジネスに30年間従事。西豪州代表、ベルギー・ブリュッセル製鉄原料部門欧州代表、この間5大陸56カ国訪問。1998~2016年 東京エグゼクティブ・サーチ勤務(2000年から2008年まで社長)、世界のサーチファームITPグループ日本代表。2016年(一社)縄文道研究所創設 代表理事に就任。

 明治大学公開講座 講師(2015年~現在)、上智大学非常勤講師、兵庫県立大学大学院客員教授を歴任。著書として、『能力Q セルフプロデュース』(ビジネス社)、『グローバル人財養成塾』(生産性出版)、『世界一美しいまち―オーストラリア‐パースへのいざない』(「国会図書館永久保存版」ヒューマノミックスめいけい)ほか多数。

(中)

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