2024年04月20日( 土 )

住みながら健康になる 建材・インテリアを工夫した健康住宅(前)

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 「0次予防」という言葉をご存知だろうか。病気になったら治す治療医学に対し、1次予防(健康づくり)、2次予防(健診等での早期発見)、3次予防(重症化予防)という概念がある。「0次予防」は1次予防の一歩手前の概念で、病気のリスクを少しでも減らそうという超早期の予防アプローチといえる。今、住宅産業では「0次予防」として、住みながら健康になる「健康住宅」を開発・普及する動きが広まっている。

免疫力を高める寝室をつくる

 家の壁に、天然鉱石を配合した漆喰を塗り込み、天然鉱石から発生するラドンを吸引することで健康になる――。こんな謳い文句で健康住宅を販売するハウスメーカーがある。ラドン効果を生かすことをホルミシスという。ラドンというと、湯治で有名な玉川温泉や三朝温泉が有名だが、住宅専用のホルミシス資材を室内空間に取り入れることで、温泉に行かなくても自宅でラドンを体感できるのだ。

 ホルミシス療法は、日本では民間療法だが、ドイツやオーストリアでは保険適用となる標準治療だ。このホルミシス療法を家づくりに応用したのがホルミシスハウスだ。伊豆山建設(株)(本社:千葉県千葉市、伊豆山幸男社長)では、-1美容・アンチエイジングの部屋、-2生活習慣病を予防するための部屋、-3重度な不調を抱えている方のための部屋――と3段階に分けた部屋づくりを提案する。

 伊豆山社長は、「寝ているだけで身体の免疫力を高められる寝室をつくることが当社の基本コンセプトです。それを実現させるために、ホルミシス作用を持つ鉱石を調合する技術を開発しました。今では“免疫生活ホルミシスハウス”として全国28社の建設会社や工務店に技術を提供しています」と話す。

 ホルミシスハウスを推奨し、自らもホルミシス療法を実践する水上治医師(健康増進クリニック院長)は、「壁から放出されるラドンを吸うことで血中に入り、健康効果があるという仕組みは、放射線治療にも通じます。三朝温泉は町全体がウラン鉱脈の上にありますので、ここで生まれ育った住民は赤ちゃんのときからラドンガスを吸い込んでいます。しかし、奇形児やがんが多発したという報告はありません。活性酸素を除去するSOD(スーパーオキシドジムスターゼ)などの酵素がホルミシス効果によって活性化されますので、逆にがんの罹患率がほかの地域の平均と比べて低いのです」と話す。

(つづく)
【取材・文・構成:吉村 敏】

(後)

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