2024年04月26日( 金 )

合同庁舎移転&跡地活用がカギ~博多駅・筑紫口再開発(3)

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博多駅の表裏をなす博多口&筑紫口

【左】西日本シティ銀行本店(1971年11月竣工)、
【中央】福岡センタービル(1972年3月竣工)、
【右】福岡朝日ビル(1970年2月竣工)

 これまでの駅周辺開発の経緯や周辺施設の配置などを考えていくと、博多口と筑紫口のエリア的な性格を分けた要因は、道路インフラを含めた交通動線に依るところが大きいと思われる。

 たとえば博多口側では、博多湾方面に向けて一直線に伸びる中央分離帯を挟んで片側4車線の「大博通り」や、博多から天神の都心部を東西に結ぶ片側3車線の「住吉通り」など、駅前の大型道路が開放的なイメージを付与。また、道路幅が広いことで、その沿線では比較的大型な物件の開発も進んできた。

 さらに、バスターミナルを始め、複数のバス乗降口が博多口側に設けられており、博多駅で降りた乗客がそのまま博多口を通ってバスに乗り継ぐ、もしくはバスを降りて博多口から電車に乗り継いでいくような人的動線が形成されている。また、天神と博多とのちょうど中間地点の位置に大型商業施設「キャナルシティ博多」(96年4月開業)ができたことで、博多駅からキャナルシティ博多方面への人の流れも形成。ほかに駅ビルが駅のホームを挟んで博多口側に建てられていることや、KITTE博多などの新たな商業施設があることも、自然と買い物客らを博多口方面に誘導していく仕組みとなっている。

 こうした交通動線の存在によって人々が博多口側に誘導され、筑紫口に比べて広大な駅前広場があることで、駅前に賑わいが創出。これら開放的で賑わいに溢れているイメージが、博多口を博多駅の“表玄関”たらしめているといえよう。

 一方の筑紫口側は、駅・線路と並行するかたちの「筑紫口通り」や、駅から垂直に伸びる「筑紫口中央通り」などの道路はあるものの、いずれも道路幅はそれほど広くなく、博多口に比べると閉塞的なイメージは拭えない。もちろん筑紫口側には新幹線駅があり、大きくはないものの駅前広場も確保されていることで、それなりの規模の人の流れや賑わいは生まれてはいるが、博多口側に比べると見劣りしてしまうように思える。

 また、駅から見て北および北東方面を流れる御笠川に阻まれ、筑紫口側のほうが敷地面での拡張余地が乏しいことも、同エリアにおいて大型の開発があまり進まなかった要因の1つだろう。

 とはいえ、合同庁舎を含めたオフィス街への動線的な部分において、筑紫口の利便性がそれほど劣っているわけではない。むしろ大型道路に阻まれていない分、駅とオフィス街との接続性や親和性においては、博多口よりも優れている部分もあるように思われる。いずれにせよ博多口と筑紫口との違いは優劣ではなく、周辺の交通インフラなども含めたうえでの役割分担といえるのではないだろうか。

(つづく)
【坂田 憲治】

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