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2019年11月05日 07:05

不正会計で既存店舗の競争力低下が顕に M&Aで活路を見出せるか(後)

(株)梅の花

不正会計処理が発覚

 19年6月26日、同社はHP上で「第三者委員会設置に関するお知らせ」と題したリリースを公表した。発端は、同社の会計監査を行っている有限責任監査法人トーマツから、「店舗に係る固定資産の減損処理に関し不適切な処理が行われている可能性があり、社外の有識者からなる調査委員会による調査が必要である」との指摘を受けたことがきっかけ。これを受けて同社は同日、第三者委員会を設置することを取締役会で決議。社外の有識者で構成された第三者委員会による調査が実施された。

 8月30日に開示された調査報告書によると、19年4月期の監査の過程で、同社の店舗別損益の内容で少額の黒字となっている店舗が多数存在しており、その根拠となる資料を改めて確認したところ、財務会計数値と一致しないことや、数値の一部が実態とは異なる数値で修正入力されていたことなどが発覚。これにともない、過去10年分にわたり決算内容の訂正を行ったところ、新たに3期分が最終損失だったことが判明した。不適切会計処理操作が行われた店舗数は10期平均58.5%にも上り、期によっては70%を超えていることも明らかになった【表I】【表II】。

 第三者委員会は不適切会計処理を生じさせた要因として、(1)取締役会の監理機能低下(2)各店舗の業績低迷(3)事業拡大にともなう部門間・会社間の体制不備(4)属人的な業務分担による責任所在の曖昧さ(5)業務チェック体制の欠如(6)組織内のセクショナリズム(縄張り意識)、コンプライアンス意識の欠如を指摘している。(1)に関しては、創業者である梅野氏の後を引き継いだ本多氏による強いリーダーシップ体制が、かえって組織の監理機能低下、セクショナリズムの増長を招いたと指摘。(3)、(4)については、本社業務を担当する取締役および執行役が子会社の役員を含む複数の職務を兼任しており、本来機能すべき管理責任者が実質的に不在、もしくは十分な役割を果たせていなかったとしている。(6)については、事業の急拡大に対して人員や管理体制が追い付いておらず、従業員間においても担当外の業務に対し積極的な関与や指摘を行わないことに対する弊害が指摘されていた。

 第三者委員会による調査報告を受け、同社は10月4日、「再発防止策などに関するお知らせ」をリリースし、社内処分と再発防止策を発表した。本多代表は役員報酬6カ月間30%、鬼塚崇裕取締役は役員報酬3カ月間10%減額するほか、上村正幸取締役は辞任が決定。今回処分の対象には挙がらなかったが、創業者梅野氏からは役員報酬50%以上の減額、取締役・梅野久美恵氏(創業者の妻)からは辞任の申し出があり、それぞれ受理された。その他の取締役も、取締役会としての監督責任に鑑み、それぞれ月額報酬の10%相当額の返上の申出があり、受理された。再発防止策としては、11月26日に開催される臨時株主総会で社外監査など委員を追加選任するほか、第三者委員会から指摘された点を踏まえ、人事制度の改革を進めていくとしている。

M&Aで活路を見出せるか

 直近3年間の同社は、M&Aの勢いをさらに加速させている。積極的な事業展開の裏で、「梅の花」既存店舗の競争力が低下していることが垣間見えるが、今年3月に買収したテラケンが運営する海産物居酒屋「さくら水産」の場合はどうであろうか。

 さくら水産は海鮮系居酒屋の草分け的存在として主に首都圏で広く認知されており、鮮度の高い鮮魚を中心とした低価格路線がウリ。しかし、テラケンの直近の業績を見ると、2019年2月期の売上高35億4,600万円に対し、当期損失1,749万円の赤字、2018年2月期は売上高52億3,700万円に対し当期損失5億1,400万円の赤字と、連続して赤字計上が続いていることが明らかとなっている。この影響もあってか、一部店舗では今年9月以降、さくら水産の目玉であった500円ランチが終了していることも明らかになっている。

 人件費高騰、原材料費の値上げや消費増税の影響など、業界を取り巻く環境は年々厳しさを増している。利益確保のために多くの飲食店が値上げに踏み切らざるを得ない状況に陥っているが、薄利多売・低価格路線がウリのさくら水産にとってはまさに死活問題とも呼べる状況だったことは容易に想像できる。利益確保がより一層厳しくなっていることに加え、昨今は働き方改革の推進により従業員の長時間労働が是正され、店舗によっては労働力の確保もままならない状況下で、今回のM&Aは実施された。

 梅の花にとってメリットとなり得るのは、テラケンのもつ仕入れルートや店舗運営ノウハウだろう。テラケンは豊洲市場を始め、全国の各漁港からの産直品を中心とした鮮度の高い鮮魚の仕入れルートを確保していることが強みである。また、さくら水産以外にも、大衆居酒屋「てらけん本家」や「豊漁居酒屋わっしょい」といった業態の異なる居酒屋も経営していることから、他業態の店舗運営ノウハウも有している。また、両社で食材の調達や店舗への配送などを効率化するなどといったコスト削減も見込まれる。高価格高級路線と低価格大衆路線、異なる企業風土を持つ者同士だが、両者の経営ノウハウのやり取りを通じて組織の活性化につながることが見込まれる。しかし、その効果が具体的に見えてくるのは、翌期以降になるだろう。

 昨今の飲食業界事情を見ると、今後は自社のみではなく、他社とのM&Aを通じて事業展開していくことが予想される。競合他社との競争だけでなく、他業態を巻き込んだ「呉越同舟」で、いかに厳しい局面を乗り越え、生き残っていくかが経営のポイントとなる。

(了)

【長谷川 大輔】

<COMPANY INFORMATION>
(株)梅の花
代 表:本多 裕二
所在地:福岡県久留米市天神町146
設 立:1990年1月
資本金:50億8,294万円
売上高:(19/4連結)194億9,960万円
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