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2020年02月02日 07:00

常に「食事の創造」を追求し新業態を開発 メーカー機能をもち、飲食店と独立者を支援 一樹百穫 

飲食業
(株)益正グループ

さまざまな飲食業態を開発

代表取締役社長 草野 益次 氏
代表取締役社長 草野 益次 氏

 益正グループの歴史は、「新しい食事の創造」への挑戦である。創業者で現社長・草野益次氏は1993年11月、九州の食材にこだわった居酒屋レストラン「益正」1号店を博多駅前にオープンした。すると行列ができる店として話題を集めた。1号店の成功から新店舗の引き合いがあり、1号店の向かいに2号店をオープン。こちらも繁盛店に仕上げた。

 1号店から5年後の98年5月には、300席の大型店舗を天神に出店し関係者を驚かせた。社運を賭けた出店だったが、1日1,000人の客を集める成功を収め、成長の大きな足がかりとなった。このころには、「益正」の名前は浸透し、多くの出店依頼を受ける存在になった。

 出店を加速するなかで、新たな業態を開発した。2007年には「おせち」の販売やナイルカレーの製造、09年3月には高速道路のサービスエリアで「益正レトルトカレー」の販売を開始、10年には自社養鶏場の運営開始、13年には極上の卵料理を楽しむ「卵のアート」を開業、15年には本格的なバリスタコーヒー「MASTARS CAFE 薬院店」をオープンするなど、常に新しい価値の創造に挑戦し続け、現在では8業態、16店舗を経営しながら、FC事業やコンサルティング事業も手がけている。

 そして昨年10月、佐賀県に新工場を完成させ新たな展開を見せる。

職場を選べる組織

MASTARS CAFE薬院店 外観
MASTARS CAFE薬院店 外観

 人材を生かすには、各人の適性と能力を見極めた「適材適所」が大事だといわれる。見極める力と受け入れる器の問題もあり、なかなか難しい。

 同社の強みを一言で表現すると「職場を選べる」ということだろう。居酒屋からカフェ、レストラン、定食屋など独自のスタイルをもつ8つの業態から通販、外販、商品開発、食品製造、FC事業など、その事業領域は多岐にわたる。そのため、さまざまな個性を生かすことができる環境が整っているということだ。

 草野氏も「店舗だけでなく、販売、生産、製造などさまざまな職場があるので、自分に合った職場を時間をかけて探すことができるし、社内でも『職場を選べる』ことを公言している。各セクションの上司も部下がどの仕事が合っているのか、その可能性を追求するようになったし、部下に対するアドバイスの内容も変わった」と笑顔を見せる。

 職場全体で本人の希望を最優先しながら力を発揮できる職場を探すことで、ミスマッチが減り、生産性も高まる。自分に合っている仕事を探すのは容易ではないが、益正グループであれば、きっと自分に合った環境を見つけることができるだろう。

製造機能が飛躍の原動力

MASTARS CAFE薬院店 店内
MASTARS CAFE薬院店 店内

 真空状態にした食材に時間をかけてじっくり熱を入れる「真空調理」が、「焼く」「蒸す」「煮る」につぐ第4の調理法として注目されている。食材本来の栄養を逃がさず旨味を凝縮して引き出す調理法であるが、独自の真空調理によるミールキットを製造する工場を18年11月、佐賀県内に建設した。工場では、カレーやハンバーグ、パスタソースなど、これまで開発してきた料理を個食パックとして製造する。ミールキットは、温めてそのまま提供、あるいは、店舗でアレンジを加えるなど、さまざまな活用ができる。すでに35品目の商品を製造しており、今後、さらに品目の拡大を図る。

 ミールキットは、店での仕込みの負担をなくし高品質の商品を安定的に提供できる。その分、スタッフは接遇などお客とのコミュニケーション頻度を高めることができる。また、長期保存が可能なため食品ロスがほとんどなく、調理人がいなくても完成した料理を提供できることから、コスト高や人手不足で苦しむ飲食店の支援にもつながると考えている。
 製造したミールキットは、グループ店以外にも百貨店・スーパーなどへの外販、通販、FC加盟店への供給も行う。このミールキットは、これまでの飲食事業では超えられなかった壁を超える可能性を秘めている。

メーカーとして独立も支援

三養基工場 真空調理「PROREAL」のミールキットはここでつくられる
三養基工場
真空調理「PROREAL」のミールキットはここでつくられる

 ミールキットの導入によって商品を開発、提供するというメーカーとしての機能をもつに至った。この機能を生かして新業態を開発し、これまでになかった食事の創造を提案する。

 コストを下げたい飲食店オーナーと低リスクで店を出したい人や企業をマッチングする「間借りランチ」である。飲食店の多くが人件費や家賃、設備などの費用負担に頭を悩ませているが、「間借りランチ」では使っていない昼間の時間帯に貸せば安定収入を得ることができる。また、借り手は、家賃や設備投資をせずに店舗を利用できるため、出店リスクを極力抑えることができる。マーケティングや運営ノウハウも同社が提供してくれる。ミールキットを使えば、メニュー開発の手間や時間も必要ない。このビジネスモデルであれば、すぐに店を出すことができるし、仮にうまく行かなくても比較的簡単に撤退することができる。

 同社はこの「間借りランチ」で、独立したい人や飲食事業を始めたい企業を支援するのだが、すでに、数件の契約が決まっているそうで、問い合わせも増えている。飲食関係者が抱える問題を解決する一手として大いに期待がもてる事業である。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:草野 益次
所在地:福岡市中央区赤坂1-4-27
創 業:1993年 11月
資本金:5,000万円
TEL:092-718-0883
URL:http://www.masumasa.jp

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

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